色んなポケモンのワザを使い分けるデッキっていいですよね。構築の自由度が高くて、環境に合わせてチューニングする楽しみがありますし。
今回はそんな色んなポケモンのワザを使い分けられるレジドラゴVSTARデッキで、ワザ「りゅうむそう」によってワザを拝借するドラゴンポケモンたち、俗に「ワザマシン」と呼ばれるそれらについて、考えてみたいと思います。
中火力枠 | ダメージ | 個人的評価 | 役割 |
オノノクス | 230 | ★★★★☆ | 中~高火力(反動:山札トラッシュ) |
ミライドンex | 220 | ★★☆☆☆ | 中~高火力(無反動) |
ヒスイヌメルゴンVSTAR | 200 | ★★★★★ | 中火力+耐久 |
ドラパルトex | 200+60 | ★★★★★ | 中火力+ベンチ攻撃 |
カイリュー | 180 | ★★☆☆☆ | 中火力+エネ加速 |
ギラティナV | 160 | ★★★☆☆ | 中火力+無効化対策 |
高火力枠 | ダメージ | 個人的評価 | 役割 |
タケルライコex | ∞ | ★★★★☆ | 青天井火力(反動:エネルギートラッシュ) |
ギラティナVSTAR | 280 | ★★★☆☆ | 高火力(反動:エネルギーロスト) |
コライドンex | 280 | ★★★☆☆ | 高火力(反動:自傷) |
カイリューVSTAR | 250 | ★★☆☆☆ | 高火力(反動:行動制限) |
特殊枠 | ダメージ | 個人的評価 | 役割 |
キュレム | 110×3 | ★★★★★ | 範囲攻撃 |
オンバーンex | 70/140 | ★★★☆☆ | たね対策+特殊エネ対策 |
チルタリスex | 140 | ★☆☆☆☆ | ワザの効果対策 |
チルタリス | 110 | ★★☆☆☆ | 中火力+行動制限 |
ガブリアスV | 220 | ★★☆☆☆ | ベンチ狙撃 |
・オノノクス
単体中~高火力枠の期待の新人です。
特殊エネルギー対策となる「アックスダウン」に目が行きがちですが、「りゅうのはどう」はほとんどのたねex/Vを倒せる230ダメージという高威力に加えて、場に反動が来ないという利点があります。230以上のダメージを確定で出せるドラゴンポケモンのワザの中で、場に反動が来ないのはこれだけです。
HP240のタケルライコexやHP260のガチグマ アカツキexを倒せないというデメリットはあるものの、たねex/Vを倒すワザとしては汎用性が高く、採用価値があります。自分の山札を3枚トラッシュしなければなりませんが、最悪レガシースターで回収もききますから、場に反動が来るよりはマシな場合が多いでしょう。
進化ポケモンであり、対戦がオノノクススタートすることはありえない、というのも利点の1つです。
もちろん「アックスダウン」も刺されば強力ですが、刺さる環境でなければ意味がありません。ミストエネルギー以外の特殊エネルギーが流行っているなら、オノノクスの採用価値はより高まるといえるでしょう。
・ミライドンex(サイバードライブ)
単体中~高火力の安定枠です。
オノノクスの「りゅうのはどう」より10低い220ダメージですが、一切デメリットがないワザというのが特徴で(りゅうむそうでサイバードライブは連発可能です。類似例)、海外大会の準優勝構築で採用実績があるものの、採用数は少ないです。
その理由はおそらく、220ダメージという微妙に足りない火力ですね。たねex/VでHP240以上のポケモンというのはごく一部なのですが、HP230はありふれており、ここを倒せないというのは大きなデメリットです。
ですから、220ダメージ出せれば十分という環境や、レジドラゴVSTARのワザのダメージを+10~20できる使いやすいサポートポケモンが登場した環境であれば採用の可能性は上がりそうですが、そうでないならオノノクスの方が強そうに思います。オノノクスと違ってたねポケモンですから、ミライドンexスタートしてしまうリスクもありますしね。
・ヒスイヌメルゴンVSTAR
単体中火力+耐久枠です。
アイアンローリングは200ダメージという、単体攻撃ワザとしてはやや低めの火力ですが、ワザの効果で次の相手の番に受けるダメージが-80されるという、破格の防御性能が付与されています。
レジドラゴVSTARのHPは280ですから、これにより実質HP360となり、リザードンexの最大威力のバーニングダークすら耐える鋼の耐久力が手に入ります。
これによって相手にボスの指令を要求する動きが強く、ナンジャモで相手の手札を流しつつベンチのネオラントVやミュウexを呼び出してアイアンローリングで倒し、相手がボスの指令を引けなければ勝ち……みたいな流れにできます。
「HP200以下の相手のポケモンを倒す」という前提で考えるなら、200を超えたダメージは無駄ですから、そのぶん防御性能に振られているアイアンローリングこそ強いというわけですね。非ルールのポケモンを倒すのにも有用です(ファントムダイブ等との選択にはなりますが)し、ロトムV、ネオラントV、ミュウex、イキリンコexなどシステム寄りのポケモンex/Vを倒せるのも利点です。
・ドラパルトex
単体中火力の決戦兵器、伝家の宝刀ファントムダイブです。
ベンチにダメカンを6個乗せるという強力な追加効果を携えた200ダメージのワザであり、アイアンローリングと双璧をなす有用中200打点ワザマシンです。攻めのファントムダイブ、守りのアイアンローリングですね。
単純にHP60以下のベンチポケモンを倒してサイドを追加で引けるのがとても強いですし、あるいは耐久が高めのエースポケモンを削っておくことで、りゅうのはどう(オノノクス)などの圏内に押し込むことができます。ルチャブルと組み合わせることで、HP70を倒すこともできます。
ドラパルトexデッキについては、打点の低さに付け込まれてVSTARデッキや回復で対策されるという弱点がありましたが、レジドラゴVSTARは高打点ワザを併用することができるため、より弱点の少ないデッキに仕上がっていると思います。速度があるのもいいところですね。
多くの環境で言わずもがなの必須採用枠、刺さる環境なら2枚採用すら考えうる範囲だと思いますが、単純な範囲攻撃であればキュレムという選択肢もあります。110×3と200+60は全然違うので、役割が被っているとは思いませんが、多少重なるところはありますね。
・カイリュー(エナジーハリケーン)
単体中火力+エネ加速枠です。
アイアンローリングを下回る、単体180ダメージというやや低い火力ですが、その代わり山札から基本エネルギー3枚を場に加速できる性質を持ちます。アルセウスVSTARのトリニティノヴァの20ダメージ低い版みたいなものですね。
あまり採用はないですが、レジドラゴVSTARはエネルギー供給がネックになるデッキではあるので、採用の余地はあるかと思います。レジドラゴVSTAR、3エネ付けないと攻撃できませんが、エネ加速の手段がみどりのまい+エネルギーつけかえであることがほとんどであり、エネルギーつけかえが有限かつ博士の研究やレガシースターで落とすことがあるため、3体目のレジドラゴVSTARを用意することが困難な場合が多いです。
まぁ、レジドラゴVSTARは2体で十分ということも多いのですが、相手からすると「エネルギーの付いているレジドラゴVSTARを2匹落とせば勝ち」みたいな部分もありますから、サイドプランの組み立てに利用される場合があります。オーガポン みどりのめんexも攻撃できますが、弱点を突けないと火力は少し頼りないですからね。
一方で、エナジーハリケーンがあれば3匹目レジドラゴVSTARの準備も自由自在ですので、環境次第では検討に値する1枚かと思います。
ただ、倒される前提で後続を用意するよりアイアンローリングで耐えにいく動きの方がサイドレース的に強くなりがちなのと、アイアンローリングを下回る180ダメージなのがネックです。200と180で倒せる相手はそこまで大きくは変わりませんが、スーパー汎用ポケモンのロトムVがHP190あって倒せないのはしんどいところですね。
・タケルライコex
単体高火力の選択肢です。
ナイトワンダラー環境でドラゴンポケモン唯一の青天井ワザであり、280はおろか350、420といったダメージも出せます。
2進化exをはじめとする対高耐久ポケモンの最終兵器です。ただし、場のエネルギーを大量に消費するため、基本的には対戦中1回使うのがせいぜいだと思います。
タケルライコexスタートしたくないのは山々なのですが、ナイトワンダラー環境のレジドラゴVSTARはどうぐ等に依存せずワザだけでHP300を超える大型の2進化exを一発で討ち取る方法がこれくらいしかないため、致し方なしかと思います。逆にタケルライコexを不採用にするならば、そういった2進化exに対してどうするか?という代替案は考えておく必要があります。「ファントムダイブで削ってロストインパクトで仕留める」みたいな話ですね。
ちなみに、手札が詰まっていてにっちもさっちもいかない場合、はじけるほうこうで6ドローできることを覚えていると拾える勝ちがある、かもしれません。
・コライドンex(ほうふくてっつい)
単体高火力の選択肢です。
280ダメージのカイザータックルが使えます。反動でギラティナVSTARも60ダメージを受けてしまうため、サイドレース的にはHP280の硬さを押しつけられずたねex/V相当の耐久力となってしまうのが心苦しいのですが、ワザが使えないとかエネルギーをトラッシュするとかとは違って行動制限は一切かからないので、そういう意味では軽めの反動と考えることもできるでしょう。
大ダメージを出しながらも場にエネルギーを残したい、という時にロストインパクトのギラティナVSTARよりも採用が優先される可能性があります。たねexでありコライドンexスタートのリスクがある点を考慮してまで採用する価値があるか?という点を考慮する必要があるでしょう。
なお、ほうふくてっついも有用です。レジドラゴVSTARはHP60を下回ると自滅リスクがありカイザータックルを使えないのですが、HP60でほうふくてっついをすれば240ダメージが出るので、たねex/Vを倒すには十分なダメージです。
レジドラゴVSTARが本当に完全なる無反動で撃てるワザの最大火力はサイバードライブの220ダメージですから、ほうふくてっついは最強の無反動高火力ワザとして使える可能性があります。
・カイリューVSTAR
単体高火力の選択肢の1つです。
250ダメージを与えるギガインパクトを借用できますが、基本使われないと思います。エネルギーをトラッシュするわけでないとはいえ、HP280を活かして一発耐えたあと次の攻撃を繰り出したいレジドラゴVSTARとしては、次の番にワザが使えないというデメリットが大きいからですね。
その割にダメージも中途半端な250なので、まぁ……微妙だと思います。レジドラゴVSTARの構築が抜本的に変化し、入れ替えまくる前提になるのであれば実質無反動250として使えるでしょうけど、考えにくいと思いますね。
なお、カイリューexは更にイマイチです。コイントスで毎回オモテが出せる奇術師の方なら無反動280ダメージといえますが……
・キュレム
110ダメージ×3の複数攻撃担当です。
小粒なポケモンを並べるデッキに対する最終兵器で、下手をすると先攻2ターン目から飛ばせるため、対戦相手は戦々恐々とすることになります。
キュレムスタートのリスクがありえたり、レジドラゴVSTARのエネルギーを全てトラッシュする必要があったりするとはいえ、110ダメージ×3は刺さるデッキに対してはもうほとんどそれだけで挽回不可能な大打撃を与えて実質勝ちになる可能性が少なくありません。
特定の2進化をエースとするデッキで、その進化前のたねや1進化を一挙2~3匹持っていくことで進化ラインを涸らす、とかですね。こうなると相手は少なくとも返しの番で2進化を出すことができず、盤面の立て直しに2ターンかかるうえ、仮にレジドラゴVSTAR側もエネルギーの付け直しに2ターンかかったとしても、サイド3枚差がついていますから挽回は難しいでしょう。
・オンバーンex
対たねデッキの詰ませ要員です。
ワザ「おんみつひこう」は70ダメージと弱っちいですが、返しの相手の番でたねポケモンからワザのダメージを受けません。ボスの指令でベンチを狙われるリスクもありますが、自分の場をレジドラゴVSTARデッキ1匹だけにしておんみつひこうを連発することで、たねポケモンだけで構成されたデッキを詰ませる戦い方ができます。
主にタケルライコex+オーガポン みどりのめんex(ライコポン)等のデッキに対して強く出られます……が、ライコポンは闘エネルギーを採用する都合上、対策としてオーガポン いしずえのめんexも採用できるため、その場合はあまり刺さりません。
なお、レジドラゴVSTARデッキはできれば2ターン目から動きたいですし、現代ポケカのスピード感だと出足が遅れた際に取り返せないことも多いため、仮に「おんみつひこう」を連発する戦い方をするにしても、イキリンコexやオーガポン みどりのめんexなどをある程度展開しないとレジドラゴVSTARを完成させられない試合も少なくなく、この詰ませ戦法を視野に入れる場合は「ポケモン回収サイクロン」の採用が検討されます。
動けるレジドラゴVSTARが1匹完成するまでの間に、それ以外でサイドを6枚取られるほどベンチを展開しなければいいのですが、後攻1ターン目から280ダメージ出してくるライコポン相手にそれが可能か、轢かれて終わらないかという懸念があります。ボタンもあるとはいえ、サポートですからね。ボタンを使う番は博士の研究やナンジャモは使えないわけですし、サポート権を博士の研究に割きながらレガシースターと組み合わせて1ターンに2匹回収できるポケモン回収サイクロンの性能は折り紙付きです。
なお、ナイトワンダラー環境にはいませんが、エネルギーカードを特殊エネルギーしか採用していないデッキというのがポケカ史には存在しました。古くはキングドラ(neo3)を用いた無水(No Water)等ですが、最近でもサンムーン環境のルガゾロやUBジラサン、剣盾環境のセキタンザンVMAX、初期のれんげきウーラオスVMAXと、割と多いです。
そのため、そういうデッキが台頭してきた場合、手札から特殊エネルギーをつけさせないドミネートエコーによって、完封できる可能性があります。現在唯一特殊エネルギーだけで構築されている環境デッキのルギアVSTARについては、アーケオスが山札からエネ加速してしまうのでドミネートエコーが刺さらないのですが、アーケオス不在の特殊エネルギーデッキはこれで詰ませられます。
オノノクス(アックスダウン)でビートダウンしてもいいんですが、こちらは相手が高火力非ルールでもサイドレースで負けませんし、ミストエネルギーで無効化されない利点があります(ドミネートエコーはプレイヤーにかかる効果なので、ワザの効果を受けないポケモンに対してであっても特殊エネルギーを付けることはできません)。
・チルタリスex
単体中火力+ワザの効果への耐性を得られます。
ワザの効果を主に活用してくる相手に対して有効に作用します……が、140ダメージというのが頼りなく、ex/Vはほぼ倒せないというのがデメリットです。ワザのダメージは素通しですし、ワザの効果だけに勝ち筋を依存したデッキというのもナイトワンダラー環境ではほとんど見ないので、利用価値も微妙な感じです。
有効な相手がいるとすれば……トドロクツキexとトドロクツキ(あだうちやばね)のデッキに対して、返しの「あだうちやばね」で280ダメージ出ない可能性が高い状況で、非ルールのトドロクツキを「ひかりのはどう」で倒せば、返しに「くるいえぐる」を受けないため、レジドラゴVSTARが生存する可能性が高そうです。
ただ、それも微妙な感じはしますが……今後、「勝ち筋をワザの効果に強く依存したデッキ」が出てくるなら、その対策として採用される可能性はあるかと思います。要はオンバーンex枠ですね。
・チルタリス(じゅくすいソング)
110ダメージ+75%の確率で覚めない眠りを与えます。
返しの番、3/4の確率で相手のバトルポケモンが動けないため、マヒとねむりの中間くらいの感覚です。入れ替えに対しては無力ですが、ねむりだと逃げることもできないため、入れ替えの少ないデッキなら一時的に縛れる可能性があります。
じゅくすいソングでなければ切り抜けられない状況がありえるのは事実ですが、あったとしても25%で失敗するリスクも併存するため、人を選ぶカードだと思います。
・ガブリアスV
220ダメージのベンチ狙撃担当です。
ミライドンexと同じく微妙に足りないダメージではありますが、ベンチが狙える点が優秀で、バトル場に大型ポケモンを出されていてもベンチを狙撃してサイドを取りに行くことができます。ボスの指令でいいじゃん、という感じもありますが、博士の研究でドローしつつベンチも狙えるというのは悪くないと思いますね。サーナイトデッキのサケブシッポのベンチ狙撃も強いですし、ベンチを狙うワザは複数攻撃でなければ弱いということはありません。
ただ、その反動として自身のエネルギーを3個トラッシュする必要があり、準備万端のレジドラゴVSTARが急に0エネの置物になってしまうデメリットがあります。エネルギー加速手段が有限なレジドラゴVSTAR+オーガポン みどりのめんexのデッキでは大きな痛手であり、タケルライコexの青天井ダメージと違ってボスの指令という明確な代替手段がある分、ややイマイチには感じますね。
なお、たねポケモンなのでガブリアスVスタートがありえますが、にげる0なので邪魔になりにくいのはメリットといえます。メリットというか、フェイルセーフみたいな感じですが……
……以上、独断と偏見によるワザマシン評価になります。
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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