札幌CLで、新拡張「ナイトワンダラー」の新カードが発表されました。
キュレムです。
ワザ「トライフロスト」は水水鋼鋼無の5エネで、自身のエネルギーをすべてトラッシュし、相手のポケモン3匹に110ダメージを与えます。サンムーンに登場したファイヤー&サンダー&フリーザーGXのスカイレジェンドGXみたいですね。
特性「アンチプラズマ」は、名前に「アクロマ」を含むカードが相手のトラッシュにあるなら、ワザ「トライフロスト」のコストが無色1個だけになる、というものです。
ウッウのロストプロバイドなどと違い、トライフロストのコストしか下がらないため、ワザマシンのコストを踏み倒すことはできません。ガチグマ アカツキexと同じですね。
この新カードについて、発表直後の情報で色々と考えてみたいと思います。よろしくお願いします。
・110ダメージ×3という破格の性能
相手のポケモン3匹に110ダメージ、非常に強力です。
進化デッキであれば進化前はほぼほぼHP100以下ですから、一発でサイドを3枚持っていくことも夢ではありません。非ルールのたねポケモンを使う小粒なデッキに対しても有効でしょう。古代バレットはHP140のポケモンが多いので微妙ですが……
変幻の仮面の環境デッキでいうならば、ドラパルトデッキならドロンチ、ドラメシヤ、シャリタツ、ネイティオ、ネイティ、ポッポあたりは一網打尽にできますし、ドラパルトexにも110ダメージ乗せることでデヴォリューションで倒せるようになります。ルギアデッキもチラチーノがちょうどHP110ですし、一発でチラチーノラインを盤面から枯らすことで相手のダメージを抑制し自陣のアタッカーを守ることができそうです。
ただ、Vポケモンやたねexを主体とするデッキに対してはそこまで強くないかな、とも思います。たねexって110×2の220で倒せないHP230以上が普通にいますし、たねなのでデヴォリューションも効きません。VSTARなら2回撃ってデヴォリューションは効きそうですが、さすがに悠長な感じもします。
・重すぎるコストと踏み倒し特性
水水鋼鋼無の5エネはさすがに重いです。
たねポケモンなのでリバーサルエネルギーも使えず、メタングやセグレイブといったエネルギー加速要員を使おうにも2色要求なので満たすのが難しく、アーケオスもいるものの現環境では無条件で多色になる特殊エネルギーがレガシーエネルギーくらいなのでそれも困難です。
まぁ、簡単に使えてしまったらそれこそ110ダメージ×3が飛び交う野放図な環境になってしまいますから、ちゃんと制約しているのはいいことだと思いますけれどもね。今よりもむしろ、HIJ環境とかになってから相性のいいカードが出て壊れそうな気もします。
デッキ全体をトライフロスト用に特化し、トライフロストを撃つだけのデッキにするという手もなくはないんですが、それでも5エネはしんどいですし、トライフロストの刺さりが悪いVSTAR主体のデッキなどに対してあまり強く戦えないでしょうから、やはり踏み倒すのが前提でないと厳しいかな、と思います。今でも超ドラパルトがドラゴンランチャーで100ダメージ×3を撃てますが、ドラゴンランチャーを撃つだけのデッキが環境にいるか?といえばいないですしね。
・ロストゾーン軸デッキなど、アクロマ対策で真価を発揮
王道の使い方は、やはり特性を利用することでしょうね。
なんだかんだで一生使われているロストゾーン軸のデッキですが、さすがに110ダメージ×3はあまりにクリティカルです。サイドを3枚持っていかれる可能性が高いですし、マナフィで防げるとはいえどのデッキにも積めるカードなので、どんなデッキ相手にもマナフィ出すの?となってしまいます。それはそれでパフォーマンスが落ちますね。
ただ、あまりにも刺さりすぎているため、ロストゾーン軸のデッキについては下火になる可能性があります。もちろん、その結果キュレム採用がなくなったらまた出てくるかもしれませんが……
アクロマの執念についても、とても強力なカードだと思いますし、アクロマの執念の採用がデフォルトのデッキが増えてくれば、ロストゾーン相手でなくても採用価値は出てくると思います。この手のメタカードって、結局環境にどのくらいメタ対象があるか?が要点ですからね。でなければただデッキの枠を1つ埋めているだけになりますし。
まぁでも、ジラーチ(ステラヴェール)もほぼロスト軸デッキピンポイントでの採用でしたし、同じ感覚でキュレム採用というのも普通にあると思います。むしろロスト軸デッキ以外でもアクロマの執念入りに刺さる分、ジラーチより使いやすいまであるかもしれません。ジラーチと違ってにげる2なのが重いですが……
逆にロストゾーン軸のデッキやアクロマの執念・アクロマの実験が採用される非ロストのデッキでは、マナフィを優先的に採用したり、状況によってはキュレムケアを心掛けたりする必要がありそうですね。
ロストゾーン軸のデッキ、ジラーチやらハバタクカミやら無限に対策カードを刷られてなおピンピンしているので、キュレムもなんとかなりそうな気もします。直接サイドをゴソッと取られる対策は、ステラヴェールやあんやのはばたきとはまた違った感じではありますが、まぁミュウVMAXも0エネでワンパンしてくるドラピオンVがいてなおある程度活躍していましたから、「ロストが終わった」というのは早計かもしれません。
結局のところ、メタカードってメタ対象のデッキが環境から減れば減るほど、そこに枠を1枚割いている分メタ対象以外に対しての勝率が下がるというデメリットが重くなりますからね。メタカードを入れたぶん総合勝率が下がるのならメタカードは抜くべきですし、そうでないなら入れるべき……ということで、環境次第でしょうね。
ちなみに、相手のトラッシュを参照するので、キュレムを使われる側からすれば、アクロマの執念やアクロマの実験を使ってしまっても、ともだちてちょうでトラッシュから回収することで特性を不発にできます。アクロマの執念を1枚だけ入れているデッキでキュレムケアをする、とかならともだちてちょうを即使うのもありかもしれません。
逆に言えば、アクロマのカードを使わなくてもレントラーexなどでトラッシュされてしまうと特性が発動します。踏んだり蹴ったりですね。
・ワザをコピーして踏み倒す
5エネなんて払ってられるか! わたしは踏み倒させてもらう!
……ということで、必要なエネルギーを踏み倒したうえでワザをコピーして使う、という手段があります。
しかし、変幻の仮面環境だと必要なエネルギーを踏み倒して相手のワザを使うポケモンはいっぱいいるんですが(ミュウex、ピクシーなど)、必要なエネルギーを踏み倒して味方のワザを使うポケモンはほとんどいません。メタモンみたいな踏み倒さないタイプならいますが……
ただ、唯一レジドラゴVSTARだけが味方のドラゴンポケモンのワザを踏み倒して使えますから、キュレムのワザをコピーして使うのならおそらくはレジドラゴVSTARデッキを使うことになります。
このりゅうむそうというワザ、草草炎の3エネなのですが、5エネのトライフロストを3エネで踏み倒して使う価値があるか?という話ですね。使う価値はあると思います。
エクストラだとダブルドラゴンエネルギーがあるので非常に撃ちやすいのですが、スタンダードでも110ダメージ×3はさすがに強力というか、相手次第ではそのまま勝ち筋になりうるワザですから、2エネ分踏み倒すだけだとしてもやる意味はあるでしょう。
もともと対単体高火力の枠としてはギラティナVSTARのロストインパクト・スターレクイエムがありましたし、オンバーンexやヒスイヌメルゴンVSTARで防御面を固めたり妨害したりするという手もありましたから、トライフロストで小粒なポケモンを倒せるようになることで、攻めの幅が広がりますね。
上の方で「5エネでトライフロストするだけのデッキは強くなさそう」と書きましたが、上記のような単体高火力や妨害・耐久などの手が色々ありつつも、サブプランとしてトライフロストを現実的な範囲で採用できるとなれば、アクロマ非採用デッキに対してもけっこう強く使えるのではないでしょうか。
まとめます。
・トライフロストの110ダメージ×3はとっても強力、進化exデッキや非ルールたね主体のデッキなど、小粒なポケモンが多いデッキを一網打尽にでき、あまり刺さらないデッキもあるが刺さるデッキに対しては単独で勝ち筋になりうる。
・ただ水水鋼鋼無の5エネはさすがに重すぎ、特性によって踏み倒す前提でないと難しそう。
・相手のトラッシュにアクロマのカードがあれば無色1個で使えるため、ロストゾーン軸への対策としてジラーチ代わりに採用がありえる。アクロマの執念も汎用性が高いので、まとめて対策できそう。マナフィで防がれるけど、踏み倒す前提なら入るデッキを選ばないことが対策を難しくしている。
・メタカードとして使う以外だと、レジドラゴVSTARでコストを踏み倒して使うというのが一番現実的っぽい。単体高火力のギラティナVSTARや妨害・耐久のオンバーンex、ヒスイヌメルゴンVSTARのワザを使いつつ、小粒なポケモンの多いデッキへの勝ち筋として110ダメージ×3もあるのは強そう。
……という感じです。
まぁ、基本的にはアクロマを採用するデッキへのメタカードですが、それ以外の使いみちを模索するならば現状ではレジドラゴVSTARのワザマシンとしての採用くらいかな、というのがわたしの感想です。
範囲攻撃とコピーワザが三度の飯より大好きで、ミュウツー&ミュウGXも擦りまくっていたわたしとしては、ぜひ一度レジドラゴVSTARデッキで使ってみたいものですね。
ちなみにキュレムの特性について、「ロスト対策ならロストゾーンにカードがn枚以上ある時、の方がよくない?」という意見も見ましたが、ポケモンカードではロストゾーンというのは常に存在する概念ではなく、事実2024/5時点でG以降のカードテキストにロストゾーンという文言は存在しないため、Fのレギュ落ちと同時にロストゾーンという概念をなくす可能性を考慮して、「ロストゾーン」という言葉を使わずにロストゾーン軸デッキの対策カードを準備した結果こういうカードになったのかな、と思っています。
まぁ、Eレギュ落ちにより「いちげき・れんげき・フュージョン」という概念が消失し、絶対に発動しない謎特性を持つにいたったFのドラピオンVという前例がありますから、別に「相手のロストゾーンに4枚以上カードがある時」が条件のキュレムがいてもいい気はしますが、美しくないと言われれば確かにそうですから、アクロマ対策として刷りつつ新規のアクロマカードを用意する方が綺麗かなと思います。個人的には、アクロマの執念は対策カードを準備するほど壊れているカードだとは思いませんが……
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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