2024年6月7日の新拡張で、初めてのACE SPECスタジアムが登場します。
ニュートラルセンター。
かつてのACE SPECはグッズとポケモンのどうぐだけだったようですが(※1)、SVシリーズのACE SPECはグッズにポケモンのどうぐ、スタジアムに特殊エネルギーと色々あります。個人的には、そろそろサポートのACE SPECが出てこないかな?と思っています。プリズムスターのサポートみたいな感じで。
……まぁ、エーススペックって「最高級仕様」って意味ですから、人物に使うのはどうなの?という感じもありますけれどね。ただ、俗な言い方で「ハイスペックな人材」みたいな表現もありますし、少なくとも日本語でACE SPECサポートはまぁ許される範囲かなと思います。原作の設定的には、ACE SPECという字面で違和感が少ないのはフトゥー博士やオーリム博士でしょうか……
閑話休題。
ニュートラルセンターの効果は「ルールを持たないポケモンが、ex・Vからワザのダメージを受けなくなる。(このカードはトラッシュから手札・山札に戻せない)」です。
要するに、ルールを持たないポケモン全員がミミッキュの特性しんぴのまもりを獲得する、みたいな感じですね。実際は特性ではないのでクレッフィやキャンセルコロンにより無効化もされません。とても強い代わりにACE SPEC枠を消費しデッキに1枚きりの採用、かつトラッシュからの再利用が発売時点ではおそらく不可能です。(※2)
再利用困難かつ1枚採用のみということで、構築の軸としてはやや使いづらい性質があります。まぁ、そうでなければexやV主体のデッキが容易に詰んでしまいますからね。
そんなニュートラルセンターについて、発売前の2024/5/9時点で色々と考えてみましたので、読んでみてもらえると嬉しいです。
・全ての非ルールが「しんぴのまもり」を得ることの強さについて
かつて、ADVシリーズでexポケモンが初登場したのが2003年1月の拡張パックです。
そして、2003年4月に発売したADV拡張第2弾「砂漠のきせき」で、既にexポケモンに対する耐性を持ったソーナンス(ADV2)が登場しています。特性はミミッキュと同じ「しんぴのまもり」。ワザの効果も防ぐ点でミミッキュよりも少し強力です。(※3)
ポケモンカードにおけるルール持ちポケモンの歴史はすなわち「しんぴのまもり」持ちポケモンとの戦いの歴史でもあります。なお、「バンデットガード」「みつりんめいさい」など、同様・類似の性質を持つ別の名前の特性もよく登場していましたが、ここでは便宜上それらも「しんぴのまもり」に含めます。
そういうわけですから、ルール持ちポケモンがメインのデッキで、「しんぴのまもり」対策を入れるのは当たり前です。もちろん、環境的にほぼ採用がないとかなら別ですが、逆にその環境を利用して「しんぴのまもり」軸で勝ち抜くプレイヤーもいます。
そんな昨今ですから、「ミミッキュ対策くらいしてるよ」というプレイヤーは数多くおられるでしょう。しかし、相手がミミッキュなのと非ルールデッキのメインアタッカーなのとではわけが違います。そもそも、ミミッキュを簡単に倒せてもギルガルドは難しい、というデッキだってあるでしょうしね。
たとえばリザードンデッキではリザード(ヒートタックル)で2エネ70点を出してミミッキュをワンパンしたり、あるいはリザード(フレアヴェール)でゴーストアイを無効化できたりするのですが、「しんぴのまもり」を持ったイイネイヌ(HP230、2エネ170打点)やコライドン(HP140、2エネ120~180打点)と渡り合えるか?と言われれば難しいでしょう。かがやくリザードンならこれらを焼けますが、これらもかがやくリザードンをワンパンできますから、五分といったところです。
また、非ルールデッキ側からすればかがやくリザードンのような厄介な非ex・非Vのアタッカーだけロストシティなどで放逐してしまえばかなり有利になりますから、そこを目的にするのもありですね。
ルール持ちポケモンがメインのデッキについて、元々非ルールも半分メインになっているトドロクツキデッキのような類のものであれば強力な非ルールアタッカーがいますが、そうでないデッキであれば非ルールポケモンはあまり強くないことが多いです。
たとえばミライドンデッキはサンダーを積んでいますが、HP120の110打点なので、ミミッキュには一方的に勝てます。しかし、イイネイヌに対しては3回、コライドンに対しても2回攻撃しないと倒せないうえに、自身はどちらからもワンパンで倒されてしまいますから、圧倒的に不利といえます。
ミミッキュはルール持ちへの耐性が高いという点以外については、さほど強くありません。HP70の70打点より強い無進化のたねポケモンはいっぱいいます。なので、非ルールでありさえすれば無進化ないし中間進化であっさり対策できることも多いのですが、非ルールデッキのエースポケモンは別です。ルール持ちデッキの中間進化やサブアタッカーでは倒せないことが多く、しかし主力のルール持ちポケモンの攻撃はニュートラルセンターで通りません。
また、ミミッキュもそうですしギルガルドもそうなのですが、この手の「しんぴのまもり」系統の特性持ちは、SVシリーズではワザに「ダメカンを乗せる」とか「相手にかかっている効果を計算しない」とか書いてあり、ミュウexなどでワザをコピーして使えばダメージを通せるようになっています。そのため、ルール持ちポケモンのデッキは非ルールを採用しなくてもミュウexを採用すれば「しんぴのまもり」対策ができるようになっているんですが、ニュートラルセンター下のポケモンなら関係ありません。
全ての非ルールポケモンが「しんぴのまもり」を得る、というのはとても強い効果です。「しんぴのまもり」はその強さゆえに、与えるポケモンの強さを制約していますからね。その制約を取り払えるのですから、ミミッキュの何倍も強いモンスターが登場するのは必然といえるでしょう。
そんな効果を持つニュートラルセンターの使い方について、いくつか考えてみました。
・スタジアムロックと組み合わせてルール持ちデッキを詰ませる
相手にスタジアムを出させないようにロックするカードと組み合わせることで、ニュートラルセンターをトラッシュできないようにして、詰ませる戦法が使えます。
変幻の仮面時点でのカードプールだと唯一古びたかいの化石がこの特性を持ちます。ただ、グッズなのでボールやポフィンでサーチできず、HP60なのでドラパルトexのファントムダイブによるダメカン乗せで倒されてしまうという、あまり強くない性能です。
オンバーンexのドミネートエコーでもスタジアムロックができるんですが、オンバーンex自身はルールを持っているのでニュートラルセンターの保護対象外ですし、変幻の仮面時点のカードプールでは味方のオンバーンexのワザを非ルールのポケモンに使わせる方法がないため、ワザによるスタジアムロックは非現実的です。
ただ、ボスの指令で解除される、HP60しかない、ワザの効果は貫通するなど古びたかいの化石は穴も多く、そもそもこれでロックが成立するなら別にミミッキュでも成立しそうですし、こちらの手法については他に組み合わせて強いカードが出ない限りあまり有効ではなさそうな気もします。
いちおう、古びたかいの化石にミストエネルギーを付けることでワザの効果を防げますから、比較的隙が少なそうなのはそのあたりかなと思います。自分の盤面はミストエネルギー付きの古びたかいの化石1枚だけ、という状況なら詰むデッキもありそうな気はします。まぁただ、やはりやってることはミミッキュ単騎+ミストエネルギーと同じですね。
・相手がスタジアムカードやスタジアムを壊すカードを使い果たしてから出す
相手にスタジアムを壊す手段がなければ、効果は永続するも同然です。
サンムーンではブラックマーケット◇が「悪エネルギーの付いた悪ポケモンが倒された時に取られるサイドの枚数が1枚減る」というスタジアムでしたが、これは壊せないと勝敗に大きく関わるうえ、グッズやサポートによる破壊耐性があったため、スタジアムを必ず1枚は積むというデッキが多かったです。使用率は低かったですが、出されると詰んでしまうカードは対策が必要になります。
ニュートラルセンターについても、実際に積まれているかはさておき、非ルール主体のデッキを相手にする時はACE SPECが見えるまでは積まれている想定で動かないといけないかもしれません。出されて壊せない場合、デッキ次第ではそのくらい容易に負け筋になりえます。
なので、ニュートラルセンター実装後はスタジアム対策のないルール持ちデッキが減るかもしれませんが、そのスタジアム対策を使い果たした後ならニュートラルセンターは砕けません。もちろん、そこには相手の構築への読みも必要です。「テンプレ構築ならスタジアム対策は1枚のはずだから……」みたいな予断が根拠になりますね。
あるいは、相手のスタジアム対策を叩き落としにいく!という積極的アプローチもありなのですが、ロストスイーパーはビワで消せる可能性があるものの、相手のスタジアムを手札や山札からトラッシュする手段というのは少なく、狙ってやれるのはレントラーVやレントラーexといったルール持ちですから、相手に警戒されスタジアムを1枚温存されるとしんどいかなとは思います。
更に言うなら、ヒトカゲ(まるやけ)やルギアVSTARなど、ワザの効果でスタジアムを壊せるポケモンが環境にけっこういるので、スタジアムを使い果たした後でも詰ませられないパターンがあることを考えると、あまり割のいい使い方ではないのかもしれません。
・時間稼ぎや相手の要求を上げるのに使う
非ルールの強いポケモンに「しんぴのまもり」が付くだけで強いので、そうやって相手の要求値を上げる、つまりスタジアムやロストスイーパーを使わないといけないようにして盤面解決の難易度を上げる(ことにより時間稼ぎをしたりリソースを消費させたりする)のが1つの使い方というか、最も基本的な使い方かなと思います。
特に対戦の終盤にツツジやナンジャモを使いつつニュートラルセンターを展開することで1ターン猶予が生まれ、それによって勝ちきれる可能性もあるかと思います。在りし日のギラティナデッキの頂への雪道+ツツジみたいな感じですね。
「詰ませる」運用は難しくても、このくらいの使い方であれば現実的な範囲かと思います。仮にヒトカゲやルギアVSTARで壊されてしまうとしても、相手を1ターン足止めできればサイドレースの軍配がこちらに上がることも少なくはないでしょう。
なお、ルール持ちデッキで非ルールサブアタッカーをバトル場に出しつつニュートラルセンターを置く運用もありえますが、ボスの指令をされると意味がないですし、効果は低いと思います。それなら非ルールサブアタッカーにレガシーエネルギーを付けた方がまだ通りやすい気がしますね。スタジアム対策より特殊エネルギー対策の方が頻度の低い環境なら、ですけれど。
まとめです。
・ニュートラルセンターの「非ルールポケモンにミミッキュのしんぴのまもりを与える」効果について、ミミッキュ対策をしているデッキでも非ルールのエースポケモンがしんぴのまもりを持っていると対処困難なことが多く、使い方次第で非常に強力だと思う。
・スタジアムロックと併用することでルール持ちデッキを詰ませられる可能性があるものの、2024/5時点で古びたかいの化石しか該当せず、「解除されないしんぴのまもり持ち」というだけならミミッキュでいいので、この使い方は現状微妙そう。
・相手のスタジアムやスタジアムをトラッシュできるカードが使い果たされてから出すことで、効果を永続させられる。でも、相手のスタジアムをトラッシュさせる手段は限られるし、非ルールデッキを使う以上ACE SPECが見えるまでニュートラルセンターが警戒されスタジアムを温存されるかもしれないので、それも難しそう。
・非ルールのメインアタッカーにしんぴのまもりを与えられるのはとても強い効果なので、解除されるリスクは排除しきれなくとも、ツツジやナンジャモとの併用でトラッシュされるリスクを減らすことで、相手の要求値を大きく上げて、非ルールデッキがルール持ちデッキに対してサイドレースで有利に立つためのキーカードになりえる。
以上です。
現状では「これで詰ませる!」みたいなクリティカルな使い道はあまり思いつきませんが、とっても面白いカードだと思います。非ルールがメインのデッキを使う時は、一度使ってみたいですね。
それでは、また。
※1……ポケモンのどうぐについては元々グッズのサブジャンルであり、SVシリーズでルール変更されグッズとは独立したカテゴリになりました。なので、当時の基準で言うなら「かつてのACE SPECはグッズだけだった」が正しいのですが、現代の基準を前提として「グッズとポケモンのどうぐだけだった」と記載しています。
※2……いちおうエクストラであればゴチルゼル(テレポートルーム)で再利用できるのですが、逐一注釈するのも骨ですので、「将棋は〇〇である」と書く時にはさみ将棋や中国将棋を想定しないように、特に注釈がなければ本邦で最もメジャーなスタンダードルールを想定して書くようにしています。
※3……しんぴのまもりは、元々倒されるとサイドを2枚以上取られるようなルール持ちポケモンから「ワザのダメージと効果を受けない」という特性でしたが、同名の特性持ちではミミッキュが初めて「ワザの効果を受けない」性質を除去された弱体化版を与えられています。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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