磁気嵐とポケモンカード

 最近、太陽フレアが云々で磁気嵐が話題になっています。
 そのあたりの科学的なことについては蒙昧なわたしですが、ポケモンカードプレイヤーとして磁気嵐という言葉にはビビッとくるものがあります。

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 磁気嵐、というそのまんまのカードがあるからですね。
 磁気嵐はADVシリーズ最後の拡張パック、ADV4「とかれた封印」で登場しました。超タイプと闘タイプのポケモンの使うワザが相手の抵抗力の影響を受けなくなるスタジアムです。超抵抗と闘抵抗が消えるのとは少し異なり、たとえば超と鋼の複合タイプのメタグロス(ADV4-S)が鋼抵抗を無視できるようになったりもします。
 なぜ磁気嵐で超ポケモンと闘ポケモンが抵抗力を無視するのか? 原理は不明です。磁気嵐の機序に詳しければ分かるのでしょうか。磁気が乱れるから? ただ、あまり深い意味はないような気もします。なぜなら、XYで再登場した時はタイプの縛りがなくなっていたからです。

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 再録、磁気嵐。
 汎用性は上がりましたが、自分だけに利する可能性は下がってしまったので、単純に強化かは微妙なところですね。「マグマの滝壺が全タイプ対応になるのは強化か?」「ボウルタウンでルール持ちを呼べるようになるのは強化か?」みたいな話です。まぁ、いずれにせよ抵抗力を消すという効果はあまり強くない気もしますね。

 なお、なぜ超抵抗と闘抵抗を選択的に消すスタジアムだったのか?という疑問については、科学的見地でなくポケカ的見地から言うならば、2タイプずつ強化する、いうなれば「天候サイクル」の一環だったからだと思います。
 ADV4ではスタジアムが6枚収録されていました。そのうち3枚が天候サイクルに該当します。

 天候サイクルは、傭兵の無色と当時基本エネルギーの存在しなかった特殊タイプの悪・鋼を除いた炎水草雷闘超の6タイプについて、それぞれ別の2タイプを強化するスタジアム群のことです。当時の呼び名が分かりませんので、いま仮に天候サイクルと名づけました。
 これらのカード、面白いデザインだと思いますので、磁気嵐にかこつけて紹介してみたいと思います。


・高気圧

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 天候サイクルの1、炎と水を強化する高気圧です。
 炎ポケモンと水ポケモンのにげるエネルギーが1個少なくなります。けっこう便利ですね。相手を利する可能性もあり、特に炎デッキで使うと苦手な水デッキをも利するのが少し難しいところです。当時はバシャレックという、バシャーモとレックウザexのデッキでバシャーモ等を逃がすのに使っていたプレイヤーがいた、と聞いたことがあります。ちなみに、WCS2004マスター準優勝のバシャレックことBlaziken Techには入っていなかったようです。

 2024/5現在の環境でも、つけたポケモンのにげるエネルギーを1個減らす緊急ボードや、たねポケモンのにげるエネルギーを1個減らすビーチコートは十分採用されうるカードですから、高気圧が現代に蘇れば使い出すデッキはあると思います。
 なお、とかれた封印のほか、構築済みのボーマンダデッキにも採用されています。ボーマンダが炎と水の2色要求だからですね。いずれもADVシリーズですが、PCGシリーズ以降再録はありません。

・低気圧
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 天候サイクルの1、草と雷を強化する低気圧です。
 草ポケモンと雷ポケモンの最大HPが+10されます。「たった10? エイチ湖は水闘の受けるダメージ-20だが?」という感じですが、当時は2進化exですらHP150とかの時代ですから、「たかが10、されど10」です。(※1)
 草と雷に利するカードですが、両者に弱点抵抗力の関係は基本ないため、どちらのタイプでも使いやすそうに見えます。タイプの組み合わせについては「低気圧の悪天候で雷が落ち、雨で水分補給できて草が喜ぶ」みたいな感じだと覚えやすいですね。まぁ、いまさら覚える必要もないですし、雨とか言い出すと水タイプにも利するイメージが出てきますが……

 当時は、ユレイドルとランターンを軸にした通称「ドルランタン」が低気圧を採用していた例があるそうです。まさに草と雷の組み合わせですし、ユレイドルのHPは100ですから110になると弱点の50ダメージワザを耐えられるようになったりと恩恵も大きそうですね。
 なお、とかれた封印のほか、構築済みのフライゴンデッキにも採用されています。フライゴンが草と雷の2色要求だからですね。いずれもADVシリーズですが、やはりPCGシリーズ以降再録はありません。

・磁気嵐
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 天候サイクルの1、超と闘を強化する磁気嵐です。
 効果は既に説明した通りですが、磁気嵐についてはとかれた封印およびADVのメタグロスデッキに採用されているほか、PCGシリーズの構築済み裂空のデオキシスデッキに再録され、果てはXYのワイルドブレイズにも(全ての抵抗力を無くす効果に改変され)再録されました。
 ポケモンカードLEGENDシリーズでは「アルフの遺跡」が全ての抵抗力を消す効果だったようですので、おそらくは「全ての抵抗力を消す」という効果がスタジアムとして作りやすいがゆえに複数回の採用を見込まれ、ジョウトの地名であるアルフの遺跡よりはニュートラルな印象の磁気嵐の方がポケモンLEGENDシリーズ以外でも採用しやすかった……みたいな都合かな?と想像しています。
 ちなみに、とかれた封印には水闘鋼に利するスタジアム「小島の横穴」もありましたが、これは名前からして天候とは無関係で、おそらくは「とかれた封印」がレジ系の封印解除を意味しており、レジ系を強化するスタジアムとして作られたものと考えられます。レジアイスの水、レジロックの闘、レジスチルの鋼ですね。

 まとめです。
・太陽フレアによる磁気嵐が最近話題になったが、いちポケモンカードプレイヤーとして「磁気嵐」というスタジアムカードが存在したことに思いを馳せてみた。
・磁気嵐は天候に由来し2タイプを強化するスタジアム群こと天候サイクル(仮)の一種であり、お互いの超ポケモンと闘ポケモンのワザが相手の抵抗力の効果を無視するようになる。
・天候サイクル(仮)には高気圧、低気圧、磁気嵐の3つが含まれ、高気圧は炎水ポケモンのにげるエネルギー-1、低気圧は草雷ポケモンの最大HP+10の効果だった。高気圧と低気圧はADVだけの採用だったが、磁気嵐はPCGとXYでも再録された。
・天候サイクル(仮)が個人的に好きだったので、またいつか再録してほしい。
 という感じですね。

 個人的にはこの3枚のカードが大好きなので、現代のポケカにも蘇らないかな……と少し期待しています。エーテルパラダイス保護区なんかは割と低気圧っぽい効果でしたね。
 エーテルパラダイス保護区やビーチコートと違って、別にゲームの地名でもなんでもない高気圧と低気圧ってなんなの?という感じですが、おそらくはグラードンとカイオーガによって生じる「ひでり」や「おおあめ」に端を発するカードなのかな、と思っています。おおあめが元だとしたら低気圧が水タイプ強化じゃないのはちょっと不自然な気もしますけれどもね。
 なお、磁気嵐は……分かりません。レックウザって磁気嵐と関係ありましたっけ?
 よく分かりませんが、カッコイイのでまた再録してほしいと思いつつ、けど別に抵抗力を消されてもあんまり嬉しくない気もしますので……どちらかというと高気圧と低気圧の再録が見たいかな、という身も蓋もない告白を記事の締めとさせていただきます。
 それでは、また。

※1……ホエルオーexという1進化HP200の外れ値もいますが、外れ値なので割愛しました。ホエルオーのHPがやたら高いのはポケカの伝統です。

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