2024/6/7発売の新拡張、ナイトワンダラーの新カードが1枚(もとい3枚)公開されました。
オノノクス(アックスダウン)です。
特殊エネルギーのついたポケモンを一発で倒せる「アックスダウン」に、闘鋼で自分の山札を上から3枚トラッシュする代わりに230ダメージもの大ダメージを与える「りゅうのはどう」を持ちます。
今回はこのカードについて色々と考えてみたいと思います。よろしくお願いします。
・レジドラゴVSTARのワザマシン
「面白いワザマシンが増えたね」というのがわたしの第一印象でした。
レジドラゴVSTARは「りゅうむそう」により、草草炎の3エネでトラッシュにあるドラゴンポケモンのワザを使い放題です。オノノクスにワザを使わせようと思うと2進化デッキになりますし立てるのも一苦労ですが、レジドラゴVSTARのワザマシンにする分にはトラッシュに投げ込むだけでOKです。
以前ゲッコウガexの記事でも書きましたが、今日のポケカにおいて2進化ポケモンであるというのは盤面完成の難易度等から大きなデメリットであり、リザードンexやドラパルトex、サーナイトexくらいのパワーがないと採用には至りません。
そして、これらの2進化ポケモンはいずれも、ただ火力が高いだけでなくそれ以上の強みがあります。リザードンexはエネ加速兼最大330ダメージの超火力、サーナイトexは無限のエネ回収&加速と大量の自傷、ドラパルトexは防御手段の少ないベンチダメージですね。
「でも、ドラパルトexが2エネで200+60ダメージなんだから、非ルールで2エネ230ダメージならかなり強そうじゃない?」と思うところも少しあります。
ただ、非ルールの高火力持ち2進化といえばオーダイルがいました。2エネ280ダメージは自傷もあるとはいえオノノクスをゆうに超えるパワー型でしたが、残念ながら環境入りすることはありませんでした。まぁもちろん、火力が高いだけだと絶対に環境入りできないということはなく、たとえば1エネ330ダメージならさすがに環境入りしていたのではないかと思いますが……
要するに、「水水280出せるオーダイルですら環境入りしてないんだから、闘鋼230じゃ厳しくない?」というのがわたしの感想です。230ダメージはほとんどのたねex/Vを倒せるすごいパワーなのは間違いないのですけどね。
特殊エネルギーが環境にあふれかえったなら、あるいは使えるかもしれません。上ワザだけ使うつもりなら、2進化デッキに1-0-1で積んで闘エネなりルミナスエネなりで攻撃……いや、それでも2枠使うのはちょっと重い気もしますね。
山札を3枚トラッシュする効果をメリットとして使えるコンボがあるなら強そうですが、現状厳しそうです。山札からトラッシュされた時に強い効果を発揮するカードを暗号マニアの解読で山札の上に2枚置いて……みたいなことができれば強いかもしれませんけれど、たしか2024/5/28現在、山札からトラッシュされると強い効果を発揮するカードというのは存在しなかった気がします。
なお、レジドラゴVSTARのワザマシンとして使うにあたって「りゅうのはどう」は……どうでしょうね。
山札からのトラッシュを有効活用できるならいいですが、そうでない場合は比較対象がexやVのワザになりますから、少なくとも抜きんでた強さはないようにも思えます。
ただ、いちおう安定して230ダメージ以上出る中では盤面に反動のない唯一のワザではあります。ロストインパクトは280でエネルギー2枚ロスト、ギガインパクトは250で次のターン自分はワザが使えない、カイザータックルは280で反動60ダメージですから。
とはいえ、10ダメージ下げれば220ダメージで実質無反動のサイバードライブがあります。サイバードライブは「次の自分の番、このポケモンはサイバードライブを使えない」という効果ですが、りゅうむそうでサイバードライブを借用する分にはあくまで「使っているワザはりゅうむそう」ですから、連発できるはずです。
これは類似の裁定として「ゲノムハックでれっかばくしんを連発できる」というものがあるので、ほぼ確実だと思います。
まぁ、HP230のex/Vがいる以上、220ダメージと230ダメージには埋めがたい大きな差があるのも事実なので、時には「りゅうのはどう」を借用することもあるかもしれません。別にそのためだけにオノノクスを採用する価値がないとしても、「アックスダウン」のために採用する価値はありそうですし、山札トラッシュはレジドラゴVSTARにとってはメリットでもありうるうえ、トラッシュしてしまった重要なカードはその気になれば後からレガシースターで回収できますからね。
あと、サイバードライブには「ミライドンexでスタートしてしまうリスク」が付きまといます。ミライドンexスタートするとワザが使えなくて邪魔なうえ、盤面にいるためレジドラゴVSTARでワザを借用することもできません。一方、オノノクスでスタートすることはありえないので、そこもオノノクス側の優位点といえます。(ちなみにサイバードライブのミライドンexは200人規模の海外大会に準優勝したレジドラゴVSTARデッキで採用例があります)
・アックスダウンが刺さる対象
ルギアVSTARデッキについては特殊エネルギーを大量に積んでいるので鮮やかに刺さりそうですが、ミストエネルギーでアックスダウンの効果を打ち消されると空振りになってしまいます。ルギアVSTARデッキからしても、ルール持ちポケモンには優先的にミストエネルギーを付けてくるでしょうから、やや弱いかもしれません。
なお、シンオウ神殿を使うとミストエネルギーを付けていても関係なくアックスダウンが通ります。シンオウ神殿はあくまで特殊エネルギーの効果を打ち消すスタジアムであり、特殊エネルギーを特殊エネルギーでなくすスタジアムではないため、アックスダウンは通るはずです。
ゲッコウガexもダブルターボエネルギーを使いますが、付けたターンにトラッシュすることが多いため、あまり刺さらないと思います。レジドラゴVSTARやキバゴが見えた時点でゲッコウガex側も警戒するでしょうから余計にですね。
なお、レガシーエネルギー持ちも一発で倒せるうえ、取られるサイドの枚数が1枚減るレガシーエネルギーの効果はワザのダメージによるきぜつにしか適用されず、アックスダウンで倒した場合はこの効果を無視して普通にサイドが引けます。レガシーエネルギーへの対策としては抜群ですね。まぁ、変幻の仮面環境でレガシーエネルギーを採用しているのはほぼほぼルギアデッキなので、ミストエネルギーと一緒に付けられると倒せなくなってしまいますが……
・進化系考察
新キバゴはHP70あり、ファントムダイブの余波で倒されないのが魅力です。
ワザは弱いので、HP60とどちらを使うかは環境次第ですね。地味ににげる2と重めなのは注意点です。
キバゴ(ちょうしんか)はHP60しかありませんが、ワザでオノノクスに進化できます。
ふしぎなアメをワザとして使うような性能で、しかも山札からサーチできるためオノノクスを手札に持ってくる必要すらありません。ファントムダイブの余波で倒れるHP60ですが、ワザを使って進化すればHP170になって番を返せるため、見た目ほど脆くはなさそうです。にげる1なのも魅力ですね。
新オノンドはHP100かつ特性きんちょうかんでグッズ・サポート耐性もあるので、これでよさそうです。ボスの指令やカウンターキャッチャーで呼び出されないほか、改造ハンマーやクラッシュハンマーあたりも受けません。ただ、ドロンチほど強くはないため、採用しても1~2枚でしょうね。
オノンド(するどいキバ)はバニラ味ですね。HP100でにげる2なのも同じですし、火力も新オノンドに劣りますから、特性を持つことが不利に働きやすい環境でない限りは採用価値があまりなさそうです。
オノノクス(きりさく)は……無色1個で60ダメージはそんなに悪く見えませんが、下ワザは同じ闘鋼要求なら新オノノクスで230ダメージ出した方がよさそうに思えます。
まとめです。
・オノノクス(アックスダウン)は一撃ワザがあって2エネ230ダメージもあって強いけど、2進化なので微妙な気がする。2エネ280ダメージ出せてカイの使えるオーダイルですら全然流行ってなかったのもその印象を補強している。
・レジドラゴVSTARがワザマシンとして採用する分には使えそう。ミストエネルギーで阻まれるとはいえ、ルギアVSTAR、ダブルターボエネルギー採用のアルセウスVSTAR、ネオアッパーエネルギー採用型のドラパルトexあたりに刺さってるし、りゅうのはどうも盤面無反動+トラッシュにドラゴンポケモンを落とせる230ダメージワザとして悪くない。
・もしレジドラゴVSTAR以外で使う場合、進化系についてはオノンドはきんちょうかんがある新しい方が強そう。キバゴは新しい方がHP70、古い方がHP60だけどワザでオノノクスに進化できるのが強いから、どっちも採用価値がありそう。
……という感じです。
特殊エネルギー大好きなわたしとしては「厄介なのが出てきたな……」という感じですが、まぁ2進化ですしレジドラゴVSTARデッキ以外ではあまり見ないんじゃないかなと思っています。
ただ、かつて同様の一撃ワザを持っていたスピアー(いってんばり)と比べると、下ワザが強いため主力になりえるのと、そもそもスピアー自体がシティリーグ入賞デッキでもたまーに見る程度には使われていたんですよね。もっとも、マスタード いちげきのかたで出す前提のビードル0枚ばかりでしたが……
なんにしても、面白いカードですね。特殊エネ対策の一芸特化でなく、2エネ230ダメージのパワフルなりゅうのはどうがあるのが可能性を感じさせて素敵です。上手に使われているのを見てみたいポケモンだと感じますね。
あと、今後強いオノノクスexが登場した場合、分岐進化先として1枚採用されることが出てきそうですね。その場合は主力ではなくあくまで特殊エネ対策や非ルール230打点のオプションとしての採用かつ、構築を大きく歪めず無理なく採用できるため、特殊エネを使うデッキにとってはちょっとしんどい逆風になりそうです。
特殊エネルギーについては、変幻の仮面環境ではあまり採用が多くない(うえに採用しまくっているルギアVSTARデッキにはミストエネルギーが入っている)ため、発売直後にすごく強いというよりは、強い特殊エネルギーが増えるにしたがって存在感を増してきそうなカードだと感じます。
同じナイトワンダラーに入っているアクロマの執念も特殊エネルギー採用デッキを強化してくれるサポートですから、特殊エネルギー採用が今後増える可能性もありますし、特殊エネルギーを取り巻く環境がどうなるのか楽しみですね。
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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