PTCGP:Pokemon Trading Card Game Pocket初報感想

 ついに来た!
 ……と思いました。上の公式動画の5分50秒~です。
PTCGP
 Pokemon Trading Card Game Pocket、略してPTCGPです。

「PTCGOの先を行くもの」という感じの略称で、いいですよね。
かつてWinMXというファイル共有ソフトがありましたが、その後新しく出てきたファイル共有ソフトの名前がWinnyでした。これは「WinMXの先を行くもの」という意味合いをこめて、WinMXのMをNに、XをYにと、アルファベットを1つずつ進めることで名づけられたそうです。
それを踏まえてみると、PTCGPも、PTCGOからO→Pと1つ進んでいる感じがしませんか? しませんか。そうですか……

それはさておき。
PTCGPの情報を見た時、わたしは小躍りしました。
わたしはPTCGLを遊んでいるのですが、PTCGLって日本語版は無いし遊ぶまでが面倒だし日本の環境から数ヵ月遅いしで、かゆいところに手が届かないなとずっと思っていました。
まぁそれでもオンラインでポケカができるなら……と思いつつ遊んでいましたが、日本語版のオンラインポケカが出るなら、こんなわずらわしいことはしなくてよくなるわけです。日本製TCGのデジタル版でデッキを組むのに、「シマボシの英語名ってなんだっけ……」とか考えないといけない悲しみを味わわなくて済む解放感、素直に嬉しかったです。(ちなみにシマボシを検索したいなら「flip 2」とかでテキストから検索した方が早いと思います)
そういうわけで喜んでいたのですが……
ただ、どうもルールが違うようです。
サイドカードがなく、「exポケモンは倒されると2ポイント取られる」みたいなことが書いていますし、「エネルギーゾーン」という謎のワードも出てきています。ミステリーゾーンかな?(※1) よく見れば、紙のカードと同じイラストを使っていながらタイプやワザが違ったりしていますし、ガワだけ同じでゲーム的には別物になってそうな感じです。

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テキスト量が極限まで圧縮されたヤドン。キャラクター的にはある意味こっちの方が合ってるかもしれません。(開発中画像であって実物と異なる可能性はありますが……)

まぁ、ルールが違うと聞くと、ちょっとがっかりしてしまいますね。
なぜなら、ポケモンカードゲームは既に遊んでいて面白いと思っている、つまり自分に合うと分かっているわけで、PTCGPは新しいがゆえにまだ自分に合うか分からないわけですから。それに、日本製のオンラインポケカが遊びたいという願望は元よりありましたから、勝手な期待と言えばそうかもしれませんが、肩透かしというか……残念ですよね。
もちろん、PTCGPが本家ポケカと同等あるいは上回るくらい面白いという可能性もありますから、別に見切りをつけたわけではないのですけどね。まぁ、なんていうか、アラビアータがすごく食べたいと思ってたらマトンカレーをお出しされて、いやそれはそれで食べてみたら最高においしいのかもしれないけどわたしはアラビアータを食べたかったよ、みたいな……?
アラビアータであってほしかったというのが今の素直な気持ちではありますが、マトンカレーはマトンカレーでおいしくて口に合うかもしれないし、なんならアラビアータよりお気に入りになるかもしれないので、とりあえずPTCGPは遊んでみようと思っています。

あと、紙のポケカのルールとDCG専用ルールの2種類あって、それぞれカードが分かれている……という可能性もなくはないです。カードヒーローDSにスピードバトルがあったみたいな話ですね。(※2)
ただ、スピードバトルはあくまで元ルールのカードをそのまま使った特殊ルールの対戦であり、テキストが書き換わったりはしていないです。それによって導入になっていたところもありますし、カードごとに簡易ルールと公式ルールの2種類テキストがあるというのもややこしい話なので、まぁアプリ用新ルールだけの可能性が高そうかなと予想しています。



・ハーフデッキに近い?
3ポイント(サイド3枚相当)先取で勝ちっぽそうな見た目が、ちょっとハーフデッキっぽいと言われています。おそらくルールもそれに近い部分があるのではないか、とのことです。
ハーフデッキというのは昔のポケカに存在したルールで、デッキ枚数が30枚かつ同名2枚まで、サイド3枚で遊ぶ手早いポケカです。1試合10分もかからないことが多く、なるほどスマホ向けと言えるでしょう。公式大会でも予選をハーフデッキでやって、決勝トーナメントだけ60枚デッキでやる、ということがあったそうです。

 DCGって通勤通学で遊んだり片手間にプレイしたりしますから、あまりどっしり構えて遊ぶようなスタイルは好まれなそうなんですよね。わたしはハースストーンでコントロールデッキが好きでしたが、お昼休みにコントロールミラー30分試合とかやってるとさすがに長いなと感じてました。ハースストーンは元々PCゲームですし、自宅でゆっくり遊ぶべきなのかもしれません。

話を戻しますと、ハーフデッキなのだとしたら、あれはあれで面白いので、ありだとは思います。スタンダードほど奥深くはありませんけどね。ベンチも5枠使わないデッキがほとんどで、PTCGPのベンチが3枠っぽいと言われているのともマッチしています。

 ちなみに、「サイド3枚だと、倒されるとサイド2枚引かれるexのデメリット大きくない?」と思われるかもしれませんが、ハーフデッキではレックウザexとかカメックスexとかミュウツーexとかルギアexとかラティアスexとか、普通にexポケモンが暴れまわっていたので、調整次第ですがPTCGPでも普通に強いと思います。

HPのスケールも、ファイヤーexがHP140だったりして、現代ポケカのインフレに逆行しているふしがあります。現代のたねexポケモンはHP240とか普通にいますからね。一方、ex初登場のADVではHP90~100のたねexポケモンが多くて、PTCGPの水準はその間を取っている感じがあります。

 数値インフレについて、紙のポケカとは全く別の基準を採用しているようなので、やはり紙のポケカとは別のDCGを作ろうとしている、というのがわたしの見立てです。紹介映像にバニラに近いシンプルなカードが多いのも、複雑さのインフレを緩和すべく、またPTCGPからの新規ユーザーも意識して、リリース時点ではかなりシンプルなDCGとして調整しているのかな、と。
 再三書きますが、もちろん開発中画像なので仮テキストという可能性はあります。ハースストーンでも発売前PVで出てくるカードはイラストだけしっかりしてて、コストやスタッツやテキストはテキトーだったりしましたからね。
 
・サイドカードがなくなってポイント取得性に
 具体的なルールは不明ですが、相手を倒した時に「サイドをn枚取る」ではなく「nポイント得る」になっていることで、おそらくはサイドカードという概念がなくなり、「先に3ポイント取った方の勝ち」みたいなルールになっていると思われます。「nターンで取ったポイントを競う」かもしれませんが、ポイント表示のランプが3個しかないため、おそらくは3ポイント先取でしょう。

そもそもサイドカードって必要?という議論もあるかと思いますが、今の紙のポケカのルールならあった方が面白いかなとわたしは思います。

 昔はいらない派でした。サイド落ちって運ゲーじゃん!みたいな。ただ、ポケカはサーチやドローがとても強いため再現性が高く、サイド落ちという揺らぎがなければ毎試合同じことをしがちなのだと思います。再現性は高い方がデッキとしては強いですが、ゲームとしては飽きやすくなってしまいます。サイドを無くすなら、飽きを防ぐため別の方法で再現性を下げた方がいいと感じます。

一方で、「サイドカードはポケモンを倒された側が引いた方がよくない?」という意見には賛成です。ご褒美としての存在(英語ではPrize Cardですしね)、攻めが強いバランスにしたかった等の都合はあるようですが、まぁ対戦のバランスという意味では負けてる側の手札が増えた方が自然と劣勢側にチャンスが生まれるので、わたしとしてはその方が好みです。
もちろんそれだとナンジャモやカウンターキャッチャーが壊れちゃう!みたいな話はありますが、あれらのカードはサイドカードの仕様自体が「優勢のプレイヤーを更に有利にする」ものだからこそ作られたカードであって、サイドカードのルールが違えば作られていないカードではないでしょうか。

 「サイドカードというルールの不備をナンジャモのようなカード単位で是正している」という意見を見たことがありますが、サイドカードのルールを不備とするのが妥当かはさておいて、ナンジャモやカウンターキャッチャーがサイドカードの「有利な側が更に有利になる」性質と逆行したものであることは確かです。ナンジャモやカウンターキャッチャーの採用率の高さを考えると、事実上サイドカードの性質によって優勢側が更に有利になりやすいゲームの性質を是正している構造にはなっているでしょう。
 なお、開発側がルールの不備と考えているかは、個人的には少し疑問です。ポケカは先攻サポート使用の可否、先攻ワザ使用の可否など、何度もルールを変更をしていますし、新裏移行によって大改革をしています。相手のポケモンを倒した側がサイドを取ることを本当にルールの不備だと考えているなら、今に至るまでそれ以上の変更をしてきている歴史があるわけですから、何度でも変更の余地はあったはずです。
 にも拘わらずそうしていないということは、何かしらの理念があって現在のサイドの仕様を維持していると考えるのが自然です。まぁ、PTCGPという別のゲームならさておき、本家ポケモンカードにおいてサイドの仕様は現状変える必要がないと考えているのでしょう。
 そんなわけで、わたしの感想を簡単にまとめますと、
・スマホで遊べるポケカ、PTCGPが2024年新登場。面白そう!
・でも紙のポケカとはルールがだいぶ違うみたいなので、いつものポケカをオンラインで遊びたいならPTCGLを続けるしかなさそう。
・相手を倒すとサイドじゃなくポイントを入手、ベンチ3枠など、独特のルールがありつつも、感覚的には昔あったハーフデッキ(デッキ30枚、同名2枚まで、サイド3枚)に近そう。たしかに時間を考えるとその方がスマホ向けかも。
 ……という感じです。
 まぁ、PVを見てもらえれば分かりますが、対戦というよりもコレクション面がフィーチャーされていたので、「対戦もちょっと出来る、ポケカ収集ゲーム」みたいな感じかもしれません。
 TCGの中でもポケモンカードってコレクターが多いんですよね。より正確には、ポケモンカードを購入している人の中でコレクターの占める割合が高いんです。ポケモンが好きで、お気に入りのポケモンのカードを1枚だけ持ってるとか、そういう人もいますから。競技がメインのデュエルマスターズ等と比べると、かなりコレクターの多いTCGといえるでしょう。
 そういう意味では、収集メインのポケカアプリというのもニーズに合っている気がします。もっとも、コレクターのコレクターたるゆえんである所有欲をデジタルで満たせるかな?という疑問もありはしますが、まぁソシャゲのカード1枚出すのに何万円と課金する人がいるわけですから、そこはさほど問題にならないのかもしれません。
 あとは、単体のDCGというわけではなくTCGのポケカを原型にした派生のゲームですから、PTCGPからTCGのポケカ(PTCG)に移行する人が出てくれれば、みたいなところも視野に入っているのかもしれませんね。
 とりあえず、いつ始まるのかが気になるところです。
 一応、わたしは「紙のポケカと同じルールがPTCGPでも遊べるかも」という一縷の希望をまだ捨てていませんので、PTCGLのデイリーをこなしながらPTCGPのサービス開始を心待ちにしています。
 それでは、また。

※1 ミステリーゾーン:手札の進化ポケモンを山札に戻すことで基本エネルギーをサーチできる、一風変わったスタジアム。ポケモンカードeに収録されています。

※2 スピードバトル:カードヒーローというカードゲームのカードを流用し、より短期決戦のスピードバトルという特殊ルールでの対戦ができる仕様がカードヒーローDSにありました。というか、カードヒーローDSはまずスピードバトルから始まって、途中からシニアルールやプロルールといった本来のルールをプレイすることになっていました。

※本記事の画像はPokémon Trading Card Game Pocketの紹介映像からの引用です。

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