バトルマスターデッキ「パオジアンex」および同「テラスタル リザードンex」が発売されました。
現在の環境デッキそのまんま!……ではさすがにないですが、それに近いものが販売されており、60枚そのままでも十分戦えますし、改造することで更に強くなる可能性もあります。
そんな2デッキのうち、パオジアンexデッキの方はやや扱いが難しいと感じたので、今回はパオジアンexデッキの使い方を(初心者の方向けに)解説してみる……つもりだったんですが、思ったより難しそうな内容になってしまいました。
なので、「TCG未経験で、パオジアンexデッキで初めてポケカを遊びます!」という方よりは、「最近ポケカを始めたけど、パオジアンexデッキもこの機に触ってみたいな」とか「TCG経験あるけど、パオジアンexデッキを機にポケカもやってみようと思った」くらいの方のほうがおすすめな記事かもしれません。また、この記事の内容はわたし個人の意見・感想であることをご留意ください。
では、よろしくお願いします。
■序盤
・ビッパとセビエを並べて、ビーダルとセグレイブに進化させる
序盤の戦い方は、盤面の完成像から逆算するのが一番分かりやすいです。
パオジアンexデッキの盤面の完成像は、「ビーダルで山札を引きまくりながら、セグレイブで水エネルギーをつけまくり、パオジアンexで大ダメージを出したり、かがやくゲッコウガで複数攻撃をしたりして相手の重要なポケモンを倒しまくる」です。
つまり、ビーダル、セグレイブ、そして水のアタッカー(パオジアンexやかがやくゲッコウガ)といった盤面を作る必要があるわけですね。
パオジアンexデッキは、盤面の完成と維持が難しいデッキです。
リザードンexデッキはリザードンexさえ出してしまえばなんとかなることもありますが、パオジアンexデッキはビーダルとセグレイブを両方並べておかないと戦えません。
ただ、そのぶんこの2匹が揃った時のポテンシャルは凄まじく、リザードンexがちまちま180ダメージを出している間に360ダメージを叩き出し、どんな大型ポケモンも2ターン目から倒せるパワーがあります。
ここで重要なのが「序盤にビッパとセビエを並べること」です。
ポケモンカードでは、原則「その番出したばかりのポケモンは進化できない」「自分の1ターン目以前に出したポケモンは、1ターン目に出したポケモンとして扱う」というルールがあります。
なので、対戦準備で置いたポケモンは1ターン目に進化できませんし、1ターン目に置いたポケモンも1ターン目には進化できません。進化できるのは早くとも2ターン目からですし、それも1ターン目にちゃんと進化前を置けたら進化できるという話です。試合展開によってはビーダルやセグレイブを出すのが3ターン目以降、というのもありえます。
そのため、とにかく序盤はビッパとセビエをいっぱい並べてください。具体的に言うなら、ビッパ2匹とセビエ2匹を並べるのがベストです。
そうすれば、返しの相手の番で誰か1匹倒されたとしても、「自分の場にビッパとセビエが両方いる状況」は維持できます。であれば、2ターン目に両方進化してビーダルとセグレイブを展開し、パオジアンexのワザで相手に大ダメージを与えられる可能性が生まれます。
3ターン目以降も、ビーダルとセグレイブの片方がいなくなった瞬間にデッキが回らなくなりやすいので、ビーダルの進化系とセグレイブの進化系は常に2匹ずついる状態を作り、どこか1匹が倒されたとしてもすぐにビーダル・セグレイブがいる状態に戻すのが理想です。
「え、セグレイブは2進化だけど、1進化のセゴールは使わないの?」という点ですが、別に使っても構いません。ただ、2進化ポケモンは1進化を経由するよりも「ふしぎなアメ」を使って1進化を飛ばして即2進化にしてしまう方が早いです。
1ターン目にセビエを置いて、2ターン目にふしぎなアメでセグレイブにしてしまえれば話は早いですが、1ターン目にセビエを置いて、2ターン目にセゴールに進化、3ターン目にセグレイブに進化……というのは遅いです。悠長です。ポケカのスピード感としては、2ターン目にはセグレイブが場に出ていてほしいです。
じゃあなんでセゴールが採用されているの?という話ですが、「2ターン目にふしぎなアメを使って1匹目のセビエをセグレイブに進化させ、2匹目のセビエはセゴールに進化させておく」という動きをすれば、仮にセグレイブが倒されてしまっても、すぐに2匹目のセグレイブを場に出せるからですね。2匹目のセビエをセビエのまま置いておくと、次にセグレイブを出すためにまたふしぎなアメが必要になってしまいます。
……とはいえ、大会上位リストはセゴール0枚の方が多いくらい(75%)ですし、セゴールを引きにいく余力がないことも多いですから、「頑張ってセゴールに進化させる」よりは「余裕があったら進化させておく」くらいでいいと思います。(一般論として)
なお、かがやくゲッコウガも出しておけるとベストです。
水エネルギーをトラッシュして1枚引く特性について、メインアタッカーのパオジアンex自体が水エネルギーの量に応じて与えるダメージの増えるポケモンなので、「なんだかトラッシュしちゃうのがもったいないな」と感じる方ももしかしたらおられるかもしれませんが、たいていトラッシュしていいです。
その理由としては主に2つあり、1つはパオジアンデッキの序盤は何よりも盤面の完成が最優先されるがゆえに、とにかくドローして盤面を整えないと始まらないからです。もう1つは、パオジアンデッキはトラッシュしたエネルギーを回収するのは容易なので、むしろトラッシュに水エネルギーをさっさと溜めておくことでいつでもダメージを出せるようにしているからです。
「水エネルギーをトラッシュに捨てている」ではなくて、「いつでも汲み上げられるようトラッシュという貯水池(ため池)に水エネルギーを貯めている」くらいの感覚でいいと思います。
序盤の理想の盤面を1つ例示するならば、バトル場にパオジアンex、ベンチにビッパ・ビッパ・セビエ・セビエ・かがやくゲッコウガ、でしょうか。これなら返しの番で相手にどこを狙われても立て直すことができます。
オリジンパルキアVも余裕があれば置いていいと思います。オリジンパルキアVSTARが1進化でHP280と高耐久かつ特性が優秀、かつワザも強いです。ワザのダメージが相手の場によって変動するデメリットもありますが、自分の盤面がしっかりできていれば相手の盤面が多少スカスカでもそこそこダメージを出せますし、相手の盤面がスカスカならそれはそれでパオジアンexやかがやくゲッコウガで崩壊させやすいですからね。
■中盤
・アタッカーで攻撃する(パオジアンex、かがやくゲッコウガ、オリジンパルキアVSTAR)
盤面が完成したら、アタッカーで攻撃しにいきましょう。
……この動き、遅くとも3ターン目にはやりたくて、早ければ2ターン目にやることなのですが、まぁ現代のポケカは4ターンくらいで決着がつくことも少なくないですから、2ターン目も中盤戦と言って過言……かもしれません。が、序盤に理想的な立ち上がりをすれば2ターン目の途中には盤面が完成し中盤の展開に入れる、くらいの感覚でいいかもしれません。
どのアタッカーを使うか?は、対戦相手と相手の盤面によって変えましょう。
たとえば、リザードンexデッキが相手で、既に相手のバトル場にリザードンexがいて、ベンチがビッパ、ビーダル、マナフィだとします。
この状況であれば、バトル場のリザードンexを倒せば相手の動きが止まる可能性が高いですから、パオジアンexの「ヘイルブレード」で360ダメージを出して相手のリザードンexを倒すのが理想の動きになります。リザードンexデッキは火力とエネルギー供給の大部分をリザードンexに依存している可能性が高く、サブアタッカーも水で弱点を突ける炎タイプである可能性が高いので、リザードンexを途切れさせたら勝ちに大きく近づけるからです。
一方、相手のバトル場にヒトカゲ、ベンチにリザード、ビッパ、ビーダルと並んでいたとします。
これなら、かがやくゲッコウガの「げっこうしゅりけん」でヒトカゲとリザードの2匹を同時に倒すのが理想です。前述した通り、リザードンデッキのメインアタッカーはリザードンexですから、リザードンexの進化系をすべて枯らしてしまうのが勝ち筋です。
なぜなら、ポケモンは出したばかりの番に進化できず、一度進化系を盤面から一掃されると返しの番で進化後は出せないからですね。1つ目の状況もそうですが、リザードンexがメインアタッカーのデッキで、中盤以降リザードンexを絶対に出せないターンが発生する、というのはかなりしんどい展開です。
では、相手のバトル場にヒトカゲ、ベンチにヒトカゲ、リザード、ビッパといたら?
これならば、ビッパを呼び出して倒すのが最善かもしれません。リザードンexの進化系を狙い撃ちにしたところで1匹は残ってしまいますから、それならビッパを倒して相手がビーダルでカードを引けないようにした方が、相手の動きが止まって勝ちやすくなるというのは十分考えられます。
なお、どうせやるならビッパだけを倒すのではなく、ビッパを呼び出してかがやくゲッコウガでビッパ・リザードの2匹を倒すのがだいたいの状況で強そうですが、こちらの盤面やサイド枚数によって変動する部分もあるかもしれません。
……といった塩梅です。
このあたりについては、理屈で突き詰めていく部分もありますし、あとは経験的に分かっていく部分も多いです。
「どの手順で相手のポケモンを倒せば、より勝ちやすいか?」というのは、相手のデッキを知らないことには分かりません。つまり、相手のデッキに対する理解を深めることが自分の勝利に繋がります。「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」ですね。
そして、ポケカ初心者がいきなり相手のデッキへの理解を深めるというのは無理難題です。まずは経験的に、対戦を通じて知っていくものだとわたしは思います。まぁただ、最初から知らないデッキと当たりまくってボコボコにされるのもあまり気持ちのいいものではないので、一緒にポケカを始められる友達がいると最高だな、とは思いますね。なので、わたしもポケカを始める時は友達と一緒でした。
なお、「相手のデッキリストを見てないのに相手のデッキが分かるわけなくない?」という疑問があるかもしれませんが、何も分からないということはなく、デッキリストにはある程度の型、テンプレートがあります。「リザードンexデッキなら大体あのカードは積んでいる」とか「リザードンexデッキでこのカードを積んでいるなら、あのカードも積んでいる可能性が高い」とかですね。
そういった部分と相手の動きから推測する……というのを慣れたプレイヤーはしているわけですが、初心者のうちからそんなことができる必要はないと思います。ポケカに慣れてきて、気が向いたならそういうこともやってみるかな、くらいでいいと思います。
■終盤
・「この番自分が勝つ方法」をまず考える。
・それが無理そう、難しそうなら「次の相手の番を耐えて次の自分の番に勝つ方法」を考える。
終盤は、中盤にも増して詰将棋の様相を呈してきます。
お互いに勝つための手順、「勝ち筋」が見えてきて、後はそれをどのくらい的確にたぐりよせられるか、相手の「勝ち筋」をどのくらい妨害し遅延できるか、という展開になります。
たとえば、こちらはサイドが残り2枚、相手も2枚の状況で、こちらはバトル場にビッパ、ベンチにビーダル、かがやくゲッコウガ(いずれもエネルギーなし)。相手はバトル場にリザードンex(炎エネルギー2枚)、ベンチにかがやくリザードン、ビッパだとします。オリジンパルキアVSTARはサイド落ちしているものとします。
相手の攻めでセグレイブの進化ラインを枯らされているため、こちらはどうしてもこの番に攻撃ができそうにありません。つまり、この番に勝つことはできない、ということです。
「どうしてもこの番に勝てない」のなら、「次の相手の番をやりすごし、次の自分の番で勝つ」ことを考えます。つまり、まずは「どうすれば次の相手の番、相手を勝たせないようにできるか?」を考える、ということです。
「対戦ゲームは相手の嫌がることを徹底してやる動きが強い」なんて言われますが、まぁゲームに限らずどんな対戦もそうですよね。野球だって、ピッチャーはなるべくバッターが打ちにくいよう、バッターが嫌がるようになるべくストライクゾーンの隅にボールを投げるわけですから。
では、リザードン側が返しの番に勝つにはどうすればいいのか?を考えます。
リザードン側はサイドを2枚取りたい、つまりポケモンexやポケモンVを倒すのが一番簡単な勝ち方です。既にリザードンexの「バーニングダーク」のダメージは300に跳ね上がっていますから、ここでパオジアンexやオリジンパルキアVを出すのは相手に勝ち筋を与えているようなものです。大体の状況において、手札に持っていても出さずに我慢するのが正解です。ボスの指令1枚で相手を勝たせてしまいますからね。
そして、自分が次の番に勝つには?と考えると、当然リザードンexを倒せば勝ちです。あるいはかがやくゲッコウガで2匹倒すのも勝ち筋です。相手もそれは分かっていますから、返しの番でHP90以下を2匹置いて番を返してこないようにも思えますが、相手視点でそれが一番勝ち筋として可能性が高いのであれば、そうしてくる場合もあります。
ただ、パオジアンexでリザードンexを倒すにせよ、かがやくゲッコウガで2匹倒すにせよ、自分の場にエネルギーがない以上、セグレイブが重要となります。つまり、セビエを2匹準備して、片方倒されてもセビエが場に残るようにする必要があるわけですね。
更に言えば、「ナンジャモ」で相手の手札を2枚に減らしたりして、相手が勝ち筋をたぐりよせられる可能性を下げるのも有効です。ナンジャモを使うとこちらも手札が2枚に減ってしまいますが、こちらにはビーダルがいますから、手札を5枚に増やすことができます。相手を妨害して勝ち筋から遠ざける、というのは基本戦術の1つですね。
……という流れです。
要するに、「この番自分が絶対に勝ちきれないのなら、次の相手の番に相手が勝ちにくいようにしたうえで、次の自分の番に勝てるよう盤面や手札(と山札)を整えておくことが重要」ということですね。(各カードのトラッシュにある枚数などを考慮せず、分かりやすいようだいぶ単純化していますが、ご容赦ください)
なお、上記のように「この番自分は絶対に勝てない」なら話は早いんですが、実際の試合は必ずしもそうではありません。
「この番がんばって運がよければ勝てそうだけど、もし運悪く勝ちきれなかった場合、次の相手の番に高確率で負けそう」「次の相手の番さえ凌げばだいたい勝てそうだけど、仮にこの番の勝ちを捨てて守りに入ったとしても、次の相手の番に負ける可能性は低くなさそう」「どっちの方が勝てる可能性が高いだろう?」みたいな、確率の問題になりがちです。
正直なところ、ここについては知識・経験・勘がトータルで作用する部分であり、熟練したプレイヤーですら正解は分からないことも多いです。自分の手順だけならともかく、相手の手札や山札の中身まで類推して精密な確率計算をするのはさすがに難しいですからね。プレイヤーにもよりますが、あまり確率計算にこだわりすぎず、色々試してみる段階から始める方がいいんじゃないかな、と個人的には思います。まぁ、確率計算も楽しいですけどね。
なお、「相手の次の行動を予測して自分の行動を決める」「確率計算・予想から最善の行動を考える」というのは終盤で特に顕著というだけで、基本的にはいつもやるべきことではあります。ただ、特に終盤は重要になりますから、特記させてもらいました。
■大局観
また、盤面単位だけでなく試合全体の展開を考える、いわゆる大局観も重要です。
よく「2-2-2」とか言われているのもその一環です。これは「相手のex/Vのいずれかを3ターン連続で倒す動きで勝とう」ということです。対リザードンexなら「ここは序盤から先制できそうだからかがやくゲッコウガで2匹倒してサイド2枚取り、そこから立て直されたら頑張って最悪リザードンexを2匹倒そう」みたいな試合全体の組み立てですね。
これによって、序盤、中盤、終盤にするべきことの指針が立てられます。
この指針は展開次第で常に揺れ動くため、最初は可能性を絞らず広く構える必要がありますが、試合が進むにつれてお互いの勝ち筋が狭まっていき、自分の勝ち筋を増やすために何ができるか、相手の勝ち筋を減らすためにどう動けばいいか、を考えていく必要があります。
ポケモンカードはカード1枚1枚の処理はさほど複雑ではありませんが、1ターンにできることが多いため、自分の番にするべき行動の組み立てがけっこう難しいです(特にパオジアンデッキは)。自分の番だけを見た最善の行動の組み立てが既にパズルめいていることがままありますし、お互いの場や相性から導かれる「そもそも最善の行動とは何か?」がそもそも分かりにくかったりもします。
そういった最善の行動の組み立てを考えていくにあたっては、自分の番に1枚でも多くサイドを取ることを考えるだけではなく、その後の展開をも視野に入れた大局観が重要になってくるはずです。
まとめます。
・パオジアンexデッキは強いけど、ポテンシャルを引き出すのが難しいデッキ。
・序盤はなるべくセビエとビッパを2匹ずつ置くことが重要。
・中盤はセグレイブとその進化系、ビーダルとその進化系を各2匹以上維持しながら、パオジアンexやかがやくゲッコウガ、オリジンパルキアVSTARといったアタッカーで攻撃していくことが大事。セグレイブとビーダル、どっちかのいないターンが生まれると失速しやすい。
・終盤は「自分がこの番勝てるか」「勝てなそうなら、次の相手の番耐えたうえで次の自分の番勝てるか」を考えながら最善の行動を組み立てる必要がある。
・試合全体の展開を見通す大局観も重要。序盤は色んな可能性を見据えながら、試合の展開に応じて自分の勝ち筋を増やし、相手の勝ち筋を減らす戦い方を考えていくのが重要。
……といった具合です。
最後に、パオジアンexデッキを改造するにあたって、わたしのおすすめカードを書いておきたいと思います。
以前も書いたので重複があるかもしれませんが、対象プレイヤーの想定を少し変えたので、カード選択も少し変わっているかと思います。
・なかよしポフィン
1枚1000円くらいします。高いです。最近のポケカのアンコモンカードとしては。
ただ、強いです。HP70以下の進化前ポケモンを採用しているデッキの多くが3~4枚積みたいカードなので、需要が大きすぎて市場価格が下げ止まっています。つまりそのくらい強いんです。
パオジアンexデッキはとにかく序盤からセビエとビッパを大量展開したいのですが、この展開をネストボールだけでやるのとなかよしポフィン込みでやるのとでは話が違います。だいぶ違います。カイ1枚でたねポケモンを3匹展開できる安定感は折り紙付きです。なかよしポフィン単体ではパオジアンexやかがやくゲッコウガは持ってこられませんが、それでも3枚は入れたいです。
序盤の重要性をあれだけ語っていてこのカードを出さないのは嘘なので、出しておきました。ただ、これ3枚でバトルマスターデッキ「パオジアンex」と同額です。高いですよね。しかし、ポケカを今後やっていくにあたって、進化デッキでは大抵使うことになるので、一度集めきっておけば向こう3年は使い回せそうと思えば、ありじゃないでしょうか。なしですか? そうですか……
まぁ、友達と一緒にバトルマスターデッキを買って、お互いなかよしポフィンを入れない、というならふつうに勝負になると思います。というかポケカを作っている方たちも、さすがにバトルマスターデッキ同士で戦ったらおおむね五分になるよう作っているんじゃないかなと思います。
なので、欲しくなったら買う、でもいいかもしれませんね。3枚は欲しいなんて言いましたが、1枚あればカイでサーチできると考えると、後攻なら1ターン目になかよしポフィンを使える確率もそこまで低くないですし、まずは1枚だけ買ってみる、とかでもいいかもしれません。まぁ、普段カードゲームを遊ばない人はカード1枚に1000円出すのってだいぶ抵抗あると思いますけどね。
ちなみに、2024/5/18現在、変幻の仮面環境でシティリーグ入賞したパオジアンデッキのなかよしポフィン採用率は96%です。ほぼ採用されていると考えていいと思います。
・テツノカイナex 1枚+雷エネルギー 1枚
未来の科学技術が生んだ最高の力士です。
「ごっつあんプリファイ」というワザは、エネルギー4個で120ダメージと、exポケモンとしてはだいぶ弱い威力ではありますが、これによって敵を倒した場合、サイドを1枚余分に取れるというとてもパワフルな効果を持ちます。
これがとにかく強力で、サイドの取り方、試合の組み立て方に幅が生まれます。エネルギーが足りなくてパオジアンexで相手の大型exを倒せない、でもHP90以下のポケモンも2匹以上いなくてかがやくゲッコウガでもサイドを2枚取れない、そんなときにHP120以下のポケモンを呼んできてテツノカイナexで攻撃するだけでサイドを2枚取れてしまいます。
終盤勝ちきる展開でも強いですし、中盤でも強いです。パオジアンexデッキは盤面の完成度が重要なので、セグレイブかビーダルの進化系を場から消すことで動きを止められてしまうリスクがあります。両者の進化系を2匹ずつ置けていればおおむね大丈夫ですが、毎試合置けるとは限りません。
そもそも、なぜアタッカーを無視してサポーターのセグレイブやビーダルを倒されてしまうのか?というと、パオジアンexもかがやくゲッコウガもワザを使うとエネルギーをトラッシュしてしまうため、返しの相手の番でアタッカーの脅威が減弱しており、アタッカーを排除する優先度が低くなっているからです。
しかし、テツノカイナexはエネルギーをトラッシュすることなく、しかも「ごっつあんプリファイ」という大いなる脅威をもって場に留まります。相手からしても、HP120以下のポケモンが1匹もいない盤面構築は容易ではないことが多く、「ごっつあんプリファイ」で2回もポケモンを倒されてしまうと趨勢が決してしまいがちなため、さすがにテツノカイナexを無視できません。
そのため、相手が返しの番でテツノカイナexを倒しに来ることが多く、それはすなわちベンチのセグレイブやビーダルが守られるということです。テツノカイナexは強いうえに、自身の高い脅威度によって味方を守る壁の役割を果たすんです。まさに力士ですね(?)。
……というわけで、テツノカイナexと雷エネルギーを1枚ずつ入れておくことで、戦い方が立体的になります。入れすぎるとそもそもの盤面完成の難易度が更に上がって安定感が損なわれすぎる可能性があるため、まずは1枚ずつ入れてみるのがいいと思います。まぁテツノカイナexもお高いですが、必要枚数が少ないのでなかよしポフィンよりはマシかと思いますね。
ちなみに、なかよしポフィン採用率96%と書きましたが、テツノカイナexの採用率は73%なのでみんな採用しているわけではないですし、なんならシティリーグ優勝デッキでテツノカイナex抜き構築もありましたから、必須ではないと思います。ただ、4人いれば3人は採用しているくらいの人気カードなのもまた事実ではあります。
・ヒスイのヘビーボール
上の解説を読んでいただいた方はお分かりかと思いますが、このデッキ、かがやくゲッコウガがかなり重要です。
対戦相手と試合展開によっては、かがやくゲッコウガのげっこうしゅりけんが早めに撃てるかどうかだけで試合を決することもあります。仮にげっこうしゅりけんを撃たないとしても、エネルギーをトラッシュして2枚山札を引ける特性は非常に強力です。
ただ、かがやくゲッコウガはデッキに1枚しか入れられない「かがやくポケモン」であるがゆえ、かがやくゲッコウガのワザが試合を全て決めてしまうような重要な対戦で、サイドに落ちてしまう可能性があります。
そんな時、サイドからかがやくゲッコウガを救い出せるのがこのヒスイのヘビーボールです。もちろん、ヒスイのヘビーボールも一緒にサイドに落ちてしまうとか、そもそもヒスイのヘビーボールを引けないとか、あるいはカイで無理やり引いてきても結局かがやくゲッコウガがいいタイミングで攻撃できなかったとか、色々と裏目もありますが、それでも10%の確率で生じるかがやくゲッコウガのサイド落ちに対して、何%か救済の可能性を提示してくれるのがとてもありがたく感じます。
ヒスイのヘビーボールの採用率は83%とかなり高いです。やはりかがやくゲッコウガの有無が試合展開に大きく関わるのと、あとは「セビエが2枚サイド落ち」などの不運をカバーできるのもいいところですね。
グッズで言うならば採用率98%のプライムキャッチャーとか93%の大地の器も重要すぎるくらい重要ではありますが、あまり高いカードばかり並べるのもどうかなと思ったのと、安くても実際ヒスイのヘビーボールはかなり大事だと思ったため、挙げさせてもらいました(あと個人的に好きなカードだから)。1枚100円前後で買えると思います。買うとしたら1枚でいいはずです。
……といったところです。
ほとんどの方は既にブラウザバックされているかと存じます。初心者の方向けの記事を書こうとしたつもりが、わたしが初心者なら読まなそうな記事になってしまいました。わたしの不徳の致すところです。
ここまで読んでくださった方はありがとうございました。わたしはバトルマスターデッキ「パオジアンex」を購入された方々を心より応援しています。わたしも以前、同時発売のスターターを友達と買ってポケカを始めよう!となった際、難しい方のスターターを買って悪戦苦闘したことがあったので……
わたしの記事が、あなたのポケカライフの一助となれば幸いです。
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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