ポケポケは黎明期TCGの魅力に満ちている【Pokémon Trading Card Game Pocket】

 ポケポケ、始めました。


 ミュウツーexのイマーシブカードを引いたので、デッキを作ってみました。
 排出率を確認したところ、イマーシブカードってノーマル版の3分の2くらいの確率で出るので、別にそこまでレアではないようなのですよね。背景が金ピカの方がレアなようです。
 ただ、わたしはイマーシブ派です。背景というか、そのポケモンがどんな場所にいるのかが描かれている方が好きなので。GXポケモンもSR、HR、URよりRR派でした。SARは大好きです。

 わたしは元々、ポケカを紙の頃から遊んでいます。
 デッキもいっぱい作りましたし、もう1つのポケカDCGことPTCGLも遊んでいます。最近の好きなデッキはサーナイトex、ピジョットコントロール、古代バレットです。
 そんなわたしが今回ポケポケを遊んでみた感想を書いてみました。2024年10月30日にポケポケがリリースされ、4日目の記事になります。よろしくお願いします。

過半数がバニラのシンプルなカード群


大エースカモネギ

 とにかくシンプルなカードが多いように感じました。
 「効果のない、ダメージだけのワザ」しか持っていないポケモン、いわゆる「バニラ」のカードがとても多いです。数えてみましたが、実に半分強がバニラでした。ちなみに紙のポケカもちょこちょこバニラがありますが、最新拡張「超電ブレイカー」のバニラポケモンは13%なので、さすがに段違いですね。
 また、特性やワザの効果があるポケモンにしても、コインによってダメージが変動するとか、コインを投げてオモテならマヒさせるとか、全体的に分かりやすく誤解の少ないものが多かったです。

 おそらく、ポケポケ自体がTCGに触れたことのないポケモンファンの方を対象に、ポケカに慣れ親しんでもらう(そしてあわよくば紙のポケカを始めてもらう)という目的があって、そうなっているんじゃないかな?と思います。
 紙のポケカでいうところの「ファミリーポケカ」や「バトルアカデミー」といった初心者向けスターターセットに通じるものがありますね。


 バトルアカデミーのゲッコウガexと、拡張パックのゲッコウガexの比較です。
 バトルアカデミーの方は非常にシンプルな能力になっていますが、拡張パックの方はサーチに複数攻撃と、やや変化球になっています。
 世のTCGはカードテキストを一読してもよく分からないような複雑なものも多く、ポケカのカードテキストについてはTCGの中でも元々シンプルな方ではあるのですが、バトルアカデミーは初心者向けセットなので輪をかけてシンプルです。ポケポケのパック「最強の遺伝子」もそんな感じですね。

 ちなみに、HP60で1エネ40打点のカモネギが「強い」と言われている感じですが、能力を持たないバニラだから弱いとは限らない、というのは紙のポケカでも同じです。


 こちらのイワークは、バニラながら紙のポケカの公式大会で優勝したデッキに採用されていた1枚です。
 ワザに必要なエネルギーにタイプの縛りがないため、エネルギー加速の得意なある種の超デッキにおいて、超ポケモンが苦手とする悪ポケモンに対して弱点を突けるがゆえの採用です。渋いですね。

 まぁ、このイワークが活躍できたのは紙のポケカが「弱点は2倍ダメージ」という仕様だから、というのが大きいですけどね。120ダメージの2倍の240ダメージなら主力exポケモンも一発なので。+20だとまた話が違うかもしれません。


 ちなみにポケポケのイワークのワザも「ランドクラッシュ」です。公式大会優勝イワークにあやかっているのかもしれません。(ランドクラッシュはポケカではよくある名前のワザですが)



黎明期TCGの風合い


 シンプルなカードが多い点については、紙のポケカに慣れ親しんだ人からすると「ちょっと物足りないかも?」というところもありますが、個人的には「これはこれであり」という感じです。
 なんていうか、黎明期TCG(始まったばかりのTCG)って感じなんですよね。紙のポケカは25年以上続いていますが、ポケポケはあくまでポケポケという新たなTCG(DCG)の門出めいているというか。

 DCG時代の開拓者と言われるハースストーンなんかも、初期のカードはシンプルでした。4マナ4/5バニラのチルウィンドのイエティとか、2マナ3/2バニラの烈火の戦斧なんかは、バニラながらガチデッキでも採用されることがありました。特に烈火の戦斧は見飽きましたね。

 TCGプレイヤーの方にも嗜好があるかと思いますが、「ワンショットキルコンボで気持ちよくなりたい!」みたいな方には現状のポケポケは向いていないかもしれません。でも、「盤面で戦ってビートダウンしたい!」という方であれば、ポケポケを楽しめると思います。
 バニラカードの活用法を考えるのも楽しいものですしね。TCGはどうしてもインフレすると決着ターンが短縮したりコンボゲーになったりしがちですが、そうではなくちゃんと盤面でじっくりやり取りできて1ターンが長すぎない黎明期のTCGが好き、という方には一押しです。まさに2024年10月30日に始まったばかりの「黎明期のTCG」ですから。

 ちなみに、黎明期TCGというと「ポケカの旧裏初期みたいな感じ?」と思われるかもしれませんが、旧裏ポケカはのっけからやりたい放題でしたから(※1)、対戦のスピード感としてはVS/eシリーズに近いと思います。
 旧裏ポケカが最初からフルスロットルすぎたために、すべて無かったことにして一新されたのが新裏ポケカなわけで、ポケポケの初期環境は新裏ポケカの黎明期に近いと言って差し支えないと考えています。ちまちまエネルギーを付けてぺちぺち殴り合う感じですね。


 VSシリーズで最強ポケモンとうたわれた環境の覇者の一角、イブキのキングドラです。
 SVシリーズの感覚だとアンプレイアブルにしか見えませんが、たしかに新裏黎明期はこういうカードが幅を利かせていたのですよね。

 なお、TCG黎明期といっても、最近始まったワンピースや名探偵コナンやホロライブのカードゲームがここまでシンプルかというと、そんなことはないと思います。
 冷静に考えて、第1弾のモンスター/キャラクター系カードの過半数がバニラのカードゲームってそうそうないですからね。ポケモンカードの旧裏第1弾でも15%とかですから、50%を超えているのは対戦メインというよりも収集メインの側面が強い印象もあります。ポケポケの紹介動画も収集したり飾ったりする要素がフィーチャーされてましたしね。

 ですので、対戦について際限なくやり込めるくらい底なしの奥深さか?といえば、そうでもない印象があります。別にわたしはやり込み尽くしたわけではないので、ただのイメージではありますが……
 DCGには標準搭載のランクマッチが現状ないあたりからも、競技性より「剝いて楽しい、集めて楽しい、ついでに対戦もできて楽しい」みたいな、TCGのプリミティブな楽しさを重視している感じがして、個人的にはとても好印象です。(※2)

 プロ野球や高校野球だけが野球ではなく、草野球もキャッチボールもパワプロも広く見れば野球であるように、大会もランクマッチもなくたってカードゲームなのですよね。もちろん、今後ランクマッチが追加されたり賞金付きの公式大会が開催されたりする可能性もありますが、そうでないから魅力がないとはわたしは思いません。

 ……まぁ、対戦メインで遊ぶ人からすれば、ランクマッチがないとモチベーションに欠けるところがあるのも事実ですから、そのうち追加してくれた方が嬉しくはありますけどね。集めるのも楽しいのですが、今の状態が1年続いたとして、1年後も集めているかは疑問です。
 既に自主大会めいたものも開催されているようですし、あえて公式で競技性を打ち出さなくてもユーザーが競技化していく部分はあるのですが(マリオカートやスマブラみたいに)、ユーザーコミュニティに参加するハードルって低くはないので、公式でもランクマッチくらいは用意してくれると嬉しいな、とは思います。


 

これからのこと


山札の上に戻すか下に戻すか選べてほしかった(よくばり)


 ポケポケはポケカ初心者はもちろん、TCG未経験でも遊びやすいよう配慮された、シンプルなカードゲームだと思います。
 ただ、これから先どうなのか?は分かりません。カードゲームにインフレは必然ですし、全くインフレしないカードゲームもそれはそれで面白みに欠けるでしょう。ずっと似たようなことをしていると、普通の人は飽きますからね。

 でも、その速度がどうなのか?は、神のみぞ知ると言ったところです。
 たとえば遊戯王デュエルリンクスも初期は割とゆったりとした環境でしたが、かなりのスピードでインフレし現代遊戯王に肉薄していったというお話です。ポケポケがそうならないとも限りません。
 「新裏ポケカ黎明期のスピード感」と書きましたが、実際のところeシリーズが終わりADVシリーズに移行するとexポケモンが登場してゲームスピードは上がったわけですし、毎ターン手札を1枚捨てて3枚引けるエナジードローという特性も登場しましたし、サーナイト・バシャレック・呼び水ラティ・マグマ団などポケパワーによるエネルギー加速も環境デッキは標準搭載になりました。VSシリーズ登場からADVシリーズ登場まで1年半です。

 ですので、ポケポケも1年後はインフレが進み、もしかしたら今の紙のポケカと似たような環境になっているかも……という可能性はあります。
 まぁ、ルールからして違いますし、紙のポケカは新裏移行から23年以上経ってますし、そもそもが収集要素メインのDCGという感じのスタイルでもありますから、あえてそんな爆速でインフレさせることもないだろうし杞憂かな、と思いますけどね。
 第1弾のポケモンの過半数がバニラというあたりからも信念めいたものを感じますし、少なくとも当分は「かんたんポケカ」のスタイルを崩さないんじゃないかな、と個人的には思っています。



まとめ

・ポケポケは第1弾「最強の遺伝子」に収録されたポケモンの過半数がバニラであり、そうでないカードも非常にシンプルなテキストのものが多い。でもシンプルだからつまらないということはなくて、黎明期のTCGのような素朴な手触りで楽しい。ただワンショットキルみたいなド派手な必殺コンボに凝りたい人はちょっと退屈かも。

・収集がメインっぽい触れ込みだったのもあって、ランクマッチはないけど、友達とカードを集めてるだけでも楽しい。ただ、対戦メインで遊ぶ場合はランクマッチが動機付けになりやすいから、そのうち追加されると嬉しい。

・紙のポケカでいう新裏黎明期のVSやeシリーズに近いスピード感だけど、紙のポケカがそうであったようにポケポケもインフレしてくる可能性はある。ただ、努めてシンプルなカードを多くしている印象もあって、少なくとも当分は平易なポケカのままじゃないかと予想している。

 ……という感じでしょうか。
 あのポケモンの遊びやすいDCGということもあり、TCGは好きだけどポケカは遊んだことがないという友人がポケポケを始めていて、ポケカの話ができるのが個人的に嬉しかったです。ありがとうポケポケ。
 つい「このポケモンは紙だとねぇ……」と言いたくなるのですが、ひかえめにするよう努めています。知らないTCGの話をされてもあまり楽しくないでしょうしね。でも、ゼブライカを見るとはやがけの話をしたくなるのが人情というものではないでしょうか。

 少なくとも友達と共通の話題になる限りは、これからもポケポケを遊んでいこうと思います。「だれかと」のバトルで当たったら、お手柔らかにお願いします。

 それでは、また。


※1……当時はインターネットによる情報共有も盛んではなかったですから、環境の研究速度は現代の比ではなく、「突き詰めれば」やりたい放題だった、がより正確かもしれません。ポケモンのゲームの第1世代や第2世代の対戦についても、当時のプレイヤーは発見できなかった最強編成が現代で見つかっていたりします。
※2……ただコインを投げるのはあまり好きではないので、効果つきのカードもコインと無関係なものを増やしてくれると個人的には嬉しいですね。



※本記事の画像は株式会社ポケモンのポケモンカードゲーム、Pokémon Trading Card Game Pocketおよびポケモントレーナーズウェブサイトからの引用です。

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