8番のりば【ゲーム感想】

8bannoriba
 8番出口が楽しかったので、8番のりばも買いました。
 そして異変をコンプリートしました。なので、感想記事を書いてみました。
 核心に迫る?ネタバレは書いていません。8番のりばの核心に迫るネタバレって何?という感じですが、まぁ「この異変はこのタイミングでこの音が鳴るのが怖くて……」みたいな異変の詳細あたりはそうでしょうか。そういうのは書いてません。
 それでは、よろしくお願いします。

 

 
 
・異変を探す要素は簡単に
 8番出口は異変を探すゲームでした。
 異変を見つけてなおゲームオーバーのトラップはあれど、基本的には異変を見つけ出すというのが主題だったように思います。異変を探すために目を皿にして神経を尖らせた状態になることで感受性が鋭敏になり、ホラー要素がより鮮烈に感じられて楽しい……みたいな。作者の方の意図は存じ上げませんが、遊ぶ側としてわたしはそんなふうに感じました。

 

 ですが、8番のりばはちょっと違う感じですね。
 そもそも「異変があったら引き返す」という、異変を見極めるゲームではありません。異変があろうとなかろうと進むゲームです。この時点で別のゲームだと分かりますね。
 パッと見た瞬間「あ、異変だ」と分かる異変が多いのですが、そのうえで「異変を切り抜ける」みたいなシチュエーションが多かったように思います。
 あとは、異変を探す系の異変は若干8番出口に似ていますが、異変があるのが分かったうえで異変を探す、というのが毛色の違うところですね。そして、異変を探す難易度も8番出口よりだいぶ易しく感じました。

 

 8番出口でいう、特に異変が見つからずに悶々としている時間がなくなって、8番のりばは異変を楽しむ部分に特化されている感じがして、楽しかったです。より自分に合っていると、そう思いました。
 個人的なプレイ時間としては8番出口より短いのですが、それは異変を探し回っている時間——あえて言うならあまり楽しくない時間——がなくなり、太く短く楽しめたからだと思っています。プレイ時間が長ければいいというものでもないですからね。だらだら10時間遊ぶゲームよりジェットコースターみたいな1時間を味わえるゲームの方が満足度が高かったりするものです。
 
・びっくりホラーはやっぱり控えめ
 大きな音や光でびっくりさせるホラーは相変わらず控えめに思えました。
 いわゆるジャンプスケアというやつですね。わたしはあまり好きじゃないので、ありがたかったです。
 神経を尖らせている時に急に大きな音が鳴ったり視界に何かが現れたりするとびっくりしますが、それってホラーというよりも動物的本能に基づく反射に近いものですから、あまり風情がないように感じてしまいます。急にスマホのアラートが鳴ってびっくりするのと同じ、けつまずいて転んだら手が前に出る(パラシュート反射)のと同じです。

 

 8番出口でもびっくりホラーは少なかったですが、8番のりばも多くはないと感じました。まぁゼロではないんですが、個人的には不快なびっくりホラーはなかったように思います。
 ただ、ホラー要素自体は多めに感じるかもしれません。ゲームシステム自体が変わっていて、「ただのささやかな異変」みたいなものがほとんどないので、どの異変もある程度スケールの大きい異変であり、ホラー系の異変も多いです。ただ、ホラーの上限値としては8番出口とあまり変わりないように思いました。
 言ってみれば、8番出口ではホラー度合いが0~1のものが大半で、そういった「怖くない異変」を探しているうちにたまに5や10のものに出会う、という感じですが、8番のりばは0や1のものが少なくて大半は5~15という感じです。
 ただ、ホラー要素単体としてのホラー度合いは8番出口より上でも、8番出口みたいに異変探しのため神経を尖らせていないので、体感的には8番出口と大差なかったです。8番出口は「来そうで来ずに緊張が解けない怖さ」がありましたが、8番のりばは「来るぞ来るぞ、ほら来た」みたいな感じですから。同じ運動エネルギーでも、後ろから不意打ちで頭を打たれるのと正面からの素人丸出しテレフォンパンチをガードするのとではダメージが違う、みたいな話ですね。

 

 わたしが好きだったのは、一旦安心させて後からホラーになるタイプですね。指令を無視して進んでみたら進めて、「あれ、大丈夫……?」と思ったら……というタイプの。あれは好きです。若干びっくり要素もあるんですが、指令を無視したのは自分なので、あれで驚かされても納得感がありますし、そもそも指令無視で若干身構えてますからね。
 
・雰囲気が好き
 8番出口に引き続き、雰囲気が好みでした。
 電車の中をループし続けるというのが、日常の中の非日常という感じで。
 ただ、雰囲気の好み度合いでいえば、わたしは電車の中よりも地下通路の方が好きなので、8番出口の方が好きでした。でも、あのほとんど無人の電車もいいですよね。地域や路線によっては終電手前でも混雑していたりもしますが、ものによっては深夜の電車ってあんな感じですよね。素敵です。

 

 正直、ちょっとマネしたくなりました。つまり、夜遅くでほぼ無人のガラガラの電車を、最後尾から先頭まで踏破したいと思いました。混雑する電車を踏破するのは迷惑千万ですが、ガラガラなら迷惑もかからないしいいですよね、とか。いや、やりませんけどね。わたしが小学生だったなら分かりませんでしたが……
 
・しいて言うなら、の不満点
 8番のりば、おおむね大満足のゲームでした。
 が、しいて不満点を挙げるなら……そうですね……

 

 8番出口については、些細な異変についても「見つけた!」という嬉しさがありました。分かりやすい異変であっても、とにかく異変を見つけてゴールするというのが多少の難易度を持った挑戦になっていましたから、異変は見つけられることが最重要で、それ自体の凝り具合とかはそんなに気になりませんでした。

 

 ただ、8番のりばについては異変を楽しむことに主眼が置かれているというか、クリア自体は8番出口よりもだいぶ簡単なため、より異変1つ1つにクオリティを求めてしまう部分がありました。もちろん上質な異変が多くて楽しめたのですが、あくまで個人の感想であることを踏まえたうえで申し上げますと、広告系の異変はあんまり「いいね!」とは思いませんでした。空気読みは好きでしたけどね。

 

 まとめです。
・8番のりば、楽しかった。
・前作の8番出口同様、ホラー要素はあるけどびっくり系のものは少なくて心臓に優しい。
・前作と同じく雰囲気がいいし、日常見る景色が舞台だから、マネしたくなる魅力がある。
・異変を探す要素が少なめ+簡単で、前作とはちょっと毛色が違うかも。でもどっちもいい。
・ホラー演出は増えてるけど、8番出口みたいに常に神経を尖らせてないから、体感的な怖さとしては同じくらいだった。
・不満点は、しいて言えば広告系の異変はあんまり面白くなかったかも、というくらい。
・8番出口も8番のりばも大好き。
 個人的に好きだったのは「降りるな」と、異変コンプリート後です。
 Steamで470円、お昼ごはん1回分ですが、わたしは満足いくくらい楽しめました。少なくとも、470円を費やして後悔はしていません。
 ホラー好きだけどびっくり系はヤダという方、電車が好きな方、日常の中の非日常な雰囲気が好きな人は、いかがでしょうか。個人的におすすめのゲームです。

 

 それでは、また。



※本記事の画像はKOTAKE CREATEのゲーム、8番のりばからの引用です。

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