核心に迫るネタバレはありませんが、「8番出口まで辿り着く」ということ以外すべてネタバレみたいなところがあるので、もう買うことを決めているという人はこの記事を見ない方がいいと思います。そういう方は遊んでから読んでもらえると助かります。
ただ、「8番出口ってどんなゲーム?感想を聞いて買うか決めたい」という人は買う前に読んでみて、購入の参考にしてもらえると嬉しいです。
・プレイ時間、ジャンル、遊び方
わたしは2時間くらいでゲームクリア+実績全解除しました。
ジャンルとしては……ホラー要素のある間違い探しの3Dアクションゲーム?かなと思います。アクションと言うほどアクションではないですが、まぁそういう要素もなくはないです。
プレイヤーは、駅地下めいた地下通路からスタートします。短い通路です。
その短い通路に、何か異変を見つけた場合は引き返し、異変がなかった場合は進みます。そうすることによって、出口へと一歩近づきます。
しかし、異変がないのに引き返したり、異変があるのに進んでしまうと、カウントはリセットされてしまいます。
この謎の地下通路を攻略し、異変の有無を当てる間違い探しを連続で成功することで、「8番出口」を見つけて地下通路から脱出しよう!……というゲームです。迷路ではないので方向感覚がなくても大丈夫です。
ちなみにわたしは、開始10分でいきなり「あと1回正解で脱出」という段階まで行って、「あれ、意外と簡単……?」と思いましたが、そこで失敗して振り出しに戻ってから、脱出まで2時間かかりました。まぁ、要するにまぐれでクリアできることもあります。運要素もあるということですね。簡単な異変を連続で引けばあっさりクリアできるでしょう。
それと、公式的にはプレイ時間:15~60分と記載がありますので、わたしは手間取った方だと思います。観察眼に優れた人なら、1時間以内でサクッとクリア&実績全解除してしまえると思います。
〇びっくり要素少なめのソフトなホラー
「あ、ホラーゲームなの? あんまり怖いの苦手なんだけど」
大丈夫です。
……と言いきるのもよくないですが、わたしもホラーはことさら得意ではありません。ただ、8番出口は楽しくプレイできました。
逆に、ホラー大好き!めっちゃ怖いの見たい!という人にはそこまでおすすめできないかもしれません。
8番出口は、出そうで出ない感じがあることで緊張し続けるところがホラーっぽいと感じます。
異変という名の間違い探しをするんですが、異変は割とストレートにホラーなものから、本当にただの間違い探しめいたものまで様々です。
ただの間違い探しといっても、集中してよく見ないと分からないものがけっこう多いですし、集中して見ていても分からないものも正直多かったです。というか、すぐ分かるものばかりなら5分でクリアしちゃいますからね、このゲーム。
とはいえ、間違い探し自体が本質というよりは、ホラーが本質だとは思います。難しい間違い探しが出題されることで、プレイヤーは神経を研ぎ澄ませて観察しないといけないので、その感度の上がった状態にホラー要素が突き刺さり、より感情が動きやすいんですね。
ところで、「パズルや謎解きで画面に集中させている時に急にホラー画像を出してくる系のびっくりホラー」は嫌いな人も少なくないと思います。精密作業で集中している時、急に耳元で「わっ!」と大声を出されると驚きますが、それはホラーというか反射ですからね。
歩行中につまずくと手が前に出るのは「まずい倒れる!手をつかなきゃ!」と思っての行動ではなく、パラシュート反射という神経系による自動行動、姿勢反射の一種です。レモンを見て唾液が出るのと同じで、やろうと思ってしているわけではないのです。びっくりホラーで怖いと感じるのもその類型かもしれません。まぁ個人的には、びっくり以外のホラーで怖く感じるというのもある程度本能的な部分がありそうに感じますけれどもね。
そんな感じで「びっくりホラーは嫌い!」という人もいると思いますが、8番出口のホラーはびっくりホラーではありません。いえ、その要素もなくはないですが、大部分はそうではありません。神経を研ぎ澄ませているところに、じわっとくるホラーが多めです。風情のあるホラー要素だとわたしは思います。まぁ逆に言うと、びっくりホラーの好きな人にはイマイチかもしれませんね。
〇独特のデザイン
8番出口をプレイすると、あの独特の地下通路が好きになります。
具体的に言ってしまうとよくないと思うので伏せておきますが、左の壁のアレとか、正面のアレとか、わたしは色々と気に入りました。通路自体はSteamのストアでも画像が出てますので、プレイする前に見てみたいという方は見てみてください。
ネタバレ抜きでは語れないですし、別に地下通路自体が奇抜で前衛的なデザイン!とかではないんですが、何十回と通ることになる通路が特に不快なものではなく印象に残っており、読後感というか、プレイ後感?がいいです。昨日のわたしより今日のわたしの方が、駅の地下通路を好きになっていると思います。
〇気づくと嬉しい異変、謎解きのカタルシス
異変の中には「誰が見ても分かるだろ!」という大がかりな異変もあれば、「あっこれ見つけたの自分天才じゃない?」と思うような小さな異変もあります。
「自分には出来たけど、これ他の人には厳しいんじゃない? 作者さん、難易度設定大丈夫?」と多くの人に思わせるのが最も絶妙な難易度設定、と言っていたのは堀井雄二さんだったでしょうか? そういう異変もあった気がします。まぁ、わかんない異変の方が多かった気もしますけどね。
これも具体例を挙げると完全にネタバレになってしまいますし、しかも一番たちの悪いタイプのネタバレ、ミステリー小説で犯人をばらすタイプのネタバレになるので、ここでもわたしは口をつぐんでおきます。
△難しいので、詰まるとちょっとダレる
わたしは2時間プレイしましたが、正直なところ2時間ずっと最高に楽しかったわけではありません。
大きめな異変に遭遇したり、小さな異変を発見したりした時は楽しいのですが、異変の発見難易度はけっこう高く、「特に何も見つけられず振り出しに戻り続ける」という事態が発生しました。
あと、謎解きが分からなくて失敗した時に正答を知る方法がないのはちょっとストレスに感じました。まぁゼルダの伝説BoWなんかも別に正答を教えてはくれないんですが、祠は難易度設定的に多くの人がそれほどつまずかずクリアできる塩梅のものが多いため、あまり「失敗した」と感じてストレスを溜める体験がなかったように感じます。8番出口は「失敗した」と感じることが多いものの正答は分からないんですよね。
まぁ、おそらく異変のパターンもそう膨大ではないため(2時間強でコンプリートできてますし)、外した異変の答えを逐一ばらしているとすぐにクリアできてしまうのかな、と思いますが、難問が続くうえ間違えても答えを教えてもらえないので、よく分からないまま0~2問正解あたりをうろついている時間が長くて、そこはちょっとだけ退屈でした。あまりに分からないので、「実際は異変なんて無くて、もっと注意深く観察させるための強制失敗ターンなのでは?」とか勘ぐってしまっていたくらいです。
観察力が高くて50%くらい正答できる人なら、「詰まってて退屈」とは感じにくいのかもしれません。まぁ、クリアした今となっては別に……という感じなんですが、プレイ中は「イージーモード追加してくれないかな……」とか思っていました。
■まとめ
・プレイ時間は公式の表記で15~60分、わたし自身は2時間強で、サクッと遊べる小さな傑作。
・びっくり要素は少ない、風情あるソフトホラー。駅地下めいた日常の中の非日常が独特で楽しい。
・異変を探す謎解きは分かると気持ちいいけど難しい、観察力に自信のない人は詰まって少し退屈かも。
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