※本記事は、管理人まどではなく、友人の医師Dによる寄稿記事となります。
2025年度皮膚科専門医試験に無事合格しました「D」です。
皮膚科専門医試験前日・当日の過ごし方についてのn=1の経験談と、同じように合格した友人や先輩からの情報も勘案して個人的に考えた「合格のコツ」をご紹介したいと思います。参考になれば幸いです。
前日の過ごし方
皮膚科専門医試験は通例、年1回日曜に東京で開催されます。
自分は東京在住ではないため、新幹線で東京に向かいました。専門医試験の日程や試験会場はだいぶ前から分かるのですが、専門医試験受験資格を得られるのは9月頃なので、それからホテルの予約を取りました。
直前になると近場のホテルの予約が取れなくなったり高額になったりする可能性があるため、その年に専門医試験を受けられると分かったら早めに予約するのをおすすめします。もちろん、東京在住の方は不要です。
前日の過ごし方としては、(ホテルに行って)寝る。それだけです。
直前期の勉強……といってもまぁ難しいですが、自分は単純暗記系を中心にやりました。組織の染色とか生物学的製剤の投与スケジュールとかですね。単純暗記系は時間あたりに詰め込める効率がいい代わりに抜けていくのも早いので、試験直前の復習に適しているように思います。
お陰で試験当日、乾癬の生物学的製剤は全て投与間隔・投与量増減の可否・投与間隔短縮の可否を諳んじることができました。まぁ、1問も出ませんでしたが……
ただ、記述問題は前日に読んだところから2問出たので、直前勉強自体は無駄ではなかったですね。
もっとも、前日の詰め込みでパワーアップするというよりは、体調を整えた方がいいだろうと思い、勉強量よりも睡眠時間を確保することを優先しました。
緊張でなかなか寝つけませんでしたが、いちおう6時間は寝ました。寝不足は脳の動作周波数を落とすので、しっかり寝た方がいいと思います。いちおう、寝坊だけはしないように気をつけてください。ホテルならモーニングコールをしてもらうのもいいかもしれません。
当日の受付と時間
自分の時は、朝8時30分から受付開始し、9時20分までに受付を済ませる必要がありました。
別にいつ着いてもいいと思いますが、8時30分に行くと混んでいて少し待つそうなので、特にこだわりがなければ少し遅めでもいいのではないでしょうか。自分は8時50分頃に到着し、待たずに入れました。
早く着いたところでやることはあまりないので、受付終了に余裕をもって間に合う程度に着けばいいと思います。自分は大学受験でも医師国家試験でもそうしていました。まぁここは好みが大きいかと思いますので、ご参考まで。
服装について
季節に合っていればなんでもいいと思います。面接があるわけでもないですし。
あえていうなら、温度調整はしやすい方がいいかなというくらいでしょうか。自分は12月の試験でしたが、会場が広いので少しだけ寒めかなというくらいでした。別にコートを着て受験するほどではなかったです。
持ち物について
筆記用具(シャーペン、鉛筆、消しゴム)と皮膚科学会会員証は必須です。
鉛筆を使い慣れているという方はシャーペンなしでもいいかもしれませんが、たいていの方はシャーペンの方が使いやすいと思うので、記述問題用にシャーペンはあった方がいいです。
鉛筆はあまり尖らせず、やや丸めにしておいた方がマークしやすいです。釈迦に説法かもしれませんが、7年ぶりの試験という方も多いでしょうから念のため……
あと、オプションとして持っていける物品についても記載します。
ルーペは不要な気がしました。
過去問の病理画像を見ていると「見づらいな」と思うかもしれませんが、実際の試験でも見づらいです。ただ見づらいのは解像度の問題なので、(眼鏡等も込みで)普通の視力の方はルーペで拡大しても新たな知見が得られることは基本ないのではないかと思います。
念のため持っていってもいいかもしれませんが、必要は感じませんでした。
ペットボトル飲料は持ち込み推奨です。
時間がタイトな試験と聞いていたので、答案にぶちまけたら終わりそうで、怖くてあまり飲めませんでした。ただ、置いておく分には損はないので、置くだけ置いておきましょう。150分も試験があると喉が渇くかもしれません。転ばぬ先の杖です。
飲料の内容は指定がなかったので、水やお茶ではなく、カフェインと糖分が入っているカフェオレあたりも選択肢としてありかもしれません。でも、利尿作用がある飲み物はイマイチかもしれませんね。
時計は持っていき、置くかどうかは現地で決めればいいと思います。
いちおう持っていきましたが、部屋のスクリーンにバカデカい時計が映し出されるので、顔を上げれば時間が分かります。自分はかなり後ろの方の席でしたが容易に見えました。ですので、時間が見たいだけであれば自前の時計は不要だと思います。
ただ映し出された時計はアナログ式であり、デジタルの方がパッと時間が分かりやすくて好きな自分は、基本的に手元の時計を見ていました。
まぁ、時計は持っていくだけ持っていって、会場の時計を見てから卓上に置くか否かを決めればいいと思います。年度によって試験会場の時計も変わるかもしれませんしね。
専門医試験はスピード勝負
皮膚科専門医試験の制限時間は150分です。
しっかり長いような気がしますが、けっこうギリギリです。
もちろん人によるとは思いますが、多くの受験者がギリギリだったと言っています。時間が足りなくて解き切れなかったという人も知っています。
1つの目安として、いまの医師国家試験は合計13時間40分で400問を解きます。
820分で400問ですから、平均して1問あたり2分3秒ある計算になります。
しかし、皮膚科専門医試験は150分で120問ですから、1問あたり1分15秒しかありません。
すなわち、1問あたりにかけられる時間は医師国家試験の約6割です。医師国家試験の時間設定がだいぶゆるめとはいえ、制限時間6割となるとかなりタイトであることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
ちなみに、自分は全問解き終えた時点で残り5分でしたので、やっぱりギリギリでした。
ただ、「足りなかった」ではなく「ギリギリだった」と言う受験者が多いということは、まぁ適切な時間なのかもしれませんが……どうでしょうね。
いずれにせよ、スピードは意識した方がいいと思います。
自分も「間に合った」というよりは「間に合わせた」という感覚でした。時間がもっとあってゆっくり解けたなら正解していただろうなという問題も1問や2問ではありません。そういう意味でも、寝不足で脳のクロック数を落とすのはあまりよくない気がしました。
あと、思考速度ってある程度年齢にバインドされる部分があるので、年を重ねてから受けるのはちょっと不利そうかなと思いましたね。まぁ、年齢にバインドされるという話をし出すと人間の性能は大体そうなのですけれども……時間がタイトなのも手伝って「なおさら」ということですね。
時間配分のコツ
まず、時間内に120問すべてに手を付けられないのはまずいと思います。
実際のところ、時間が足りなくなったら選択問題をあてずっぽうでマークするしかありません。皮膚科専門医試験に禁忌肢は無いので、それも立派な戦術です。
ただ、あてずっぽうマークはあくまで最終手段であり、積極的にやるべき方法ではありません。
しかし、全ての問題をじっくりと吟味するには時間が足りなくなりがちです。
なので、「よくわからない問題はとりあえずそれっぽいのをマークしておき、時間が余ったら解き直す」のがいいと思います。
少し眺めただけの印象でとりあえずそれっぽいのをマークするのは、ともすればあてずっぽうにも思えますが、実際のところはるかにマシです。
皮膚科専門医試験の問題、「皆目見当がつかない」みたいな問題も、まぁあります。
ありますが、「二択まで絞れたけど、どっちか分からない」みたいな問題の方が多いです。「2つ選べ」で「1,2は絶対違うし3は絶対合ってるけど、4,5のどっちが正解か分からない」みたいなパターンですね。
こういう問題、じっくり考えれば正解を導けることもありますが、迷っている二択のうち片方を適当にマークするだけでも50%正解できます。あてずっぽうなら10%か20%ですが、二択まで絞れば50%であり、得点の期待値が2.5倍ないし5倍に跳ね上がることになります。
ですので、問題文に一瞥もくれないような問題はなしにしましょう。
二択まで絞った末に少しでも迷ったらとりあえずどっちかをマークして次に行き、後から時間がある時にゆっくり吟味するのがおすすめです。皮膚科専門医試験のような時間の足りない試験では、二択まで絞った後の吟味は時間効率が悪いです。
もちろん、その結果50%を外しまくってしまうとあるいは終わってしまうのですが、選択問題の試験ってそういうものですからね。
記述は先に解こう
問題を解く順番ですが、記述を先に解くのがおすすめです。
というのも、前述した通り時間がギリギリなので、時間切れのリスクがあります。
そんな時、解き残しの問題が記述式だった場合はそのまま失点になりますが、選択式であれば問題を読まずにとりあえずマークすることで得点を狙えます。1つ選ぶ問題なら期待値0.2点、2つか3つ選ぶ問題なら期待値0.1点です。
もちろん、前述の通りあてずっぽうは最終手段です。
最終手段ですが、確実に0点になるのと期待値0.1~0.2点なのは話が違います。120問すべてに手をつけられるのが「最善」であり、あてずっぽうは「次善」、空白で出すのは「最悪」です。
あと、単純に問題の性質上記述問題は「知ってるか知らないか」になるので、選択式より時間がかからないです。単純に読む文章の量も少なくて済みますし。選択問題より時間がかかるのは答えの記入だけです。
なので、そういう意味でも先に解いた方がいいと思います。選択問題が記述問題の1.5倍の時間かかると仮定すると、試験時間が選択問題4問分足りない場合、記述問題を残していると6問解けないことになります。
また、記述6問解き残すとまるまる失点して-6点ですが、選択4問が択一であれば最後の5秒で全て1にマークして期待値0.8点ですから、-3.2点で済みます。
試験後は東京観光?
地方からの受験生は、せっかくなので東京観光!
……してもいいかもしれませんが、試験でめちゃくちゃ疲弊するので、微妙なところですね。
自分も疲労困憊の極致だったため、さっさと帰りました。土曜ならまだいいんですが試験は日曜で、翌日普通に仕事ですからね。帰りの新幹線でも半ば放心状態でした。観光したとしても、間違いなく心ここにあらずな感じになっていたと思います。
まぁ、自分が肉体的にも精神的にもバイタリティがないだけかもしれませんけどね。ただ、試験でかなり消耗するということはお伝えしておきたいと思います。多くの方にとって久しぶりのペーパーテストでしょうし……
試験翌日~結果発表の過ごし方
オマケとして、試験終了翌日から結果発表までの過ごし方も書いておきます。
2025年度については、試験終了後にウェブサイトで有志が解答を作成していました。皮膚科専門医試験の過去問の自作解答解説を公開しているようなウェブサイトでも、1週間前後のうちに解答が作成・公開されていました。
結果が気になるなら、とりあえずこれらの解答を使って自己採点をするのがいいと思います。自分もしました。
作成者によって解答のズレは少しありますが、基本的には調べれば分かるものが多いので、大体の解答は似通います。一部解釈の分かれる問題があったり、そもそも不適切問題だったりする場合がありえます。
これらを見て自己採点し、例年のボーダーラインを上回っていれば、おおむね合格と考えていいです。
ボーダーラインについては、学会が公開するわけではないですし、受験者に点数が告知されることもありません。ただ、例年合格者と不合格者の自己採点の自己申告からボーダーラインが類推されています。
それによれば、例年のボーダーラインは得点率55~57%のことが多いようです。なので、基本的に6割以上得点できていれば受かるものと考えていいと思います。
なお、結果発表がいつになるかは、試験当日に告知されます。
自分の時は2025年12月14日が試験日で、結果発表は2026年1月下旬でした。
自分は自己採点の点数的にそこそこ余裕がありつつも「マークミス大丈夫かな……早く発表して楽にして……」と気を揉んでいましたが、自己採点でボーダーライン付近の得点率の受験生は気が気でないと思います。
「ほとんどマーク式で500人も受けてないんだから、早めに結果出してつかあさい……」と何度も思いましたが、まぁ気を揉んでいても発表が早くなるわけではないので、記憶から抹消して結果発表時に思い出すのが理想でしょうね。
個人的なスタンスとしては、「もう受かったものとして、暫定皮膚科専門医の気分で日々を過ごそう」と思っていました。これが一番気楽だと思います。
まぁ、そう思えるかの心理的ハードルは自己採点の点数次第でしょうけれど、気を揉み続けるのも疲れるし飽きるので、年末年始に入る頃には既にその境地に到達している受験生が多かったのではないでしょうか。
さいごに
以上、皮膚科専門医試験に関するn=1の思い出話でした。
皮膚科専門医試験の受かり方という、試験対策に主眼を置いた記事も書いているので、よければそちらもご覧ください。
本記事が皮膚科専門医試験受験生の参考になれば幸いです。

