皮膚科専門医試験の受かり方【寄稿】

※本記事は管理人「まど」ではなく、友人の「医師D」による寄稿記事になります。


 2025年度皮膚科専門医試験に合格しました、「D」と申します。
 本記事は、自分のn=1の合格体験を踏まえ、同様に皮膚科専門医試験に合格した友人や先輩からの情報も元にして、「皮膚科専門医試験の受かり方を提案するものです。
 これから皮膚科専門医試験を受けるという方の参考になれば幸いです。


皮膚科専門医試験は大変だけど、真面目にやってれば大丈夫

 まず最初に言いますが、専門医試験はそんなに難しくありません。大丈夫です。
 ……と言うと、「いや過去問見たけど難しいよ」とか「生存者バイアスでしょ」と思う方がおられるでしょうし、実際に自分も受けている時はそう思いました。


 ただ、これについては医師国家試験みたいなものと思っていただければよいのではないかと思います。
 医師国家試験もまた、渦中の医学生にとっては非常に大変で、ともすれば大学受験を上回る人生の山場に感じられるのですが、過ぎてしまえば「あんなの下1割に入らなきゃ大丈夫ってだけの試験じゃん。まぁ範囲は広かったし、勉強は大変だったけど」くらいの感じではないでしょうか。
 喉元過ぎれば何とやらと言いますが、それ以上に実際自分は医師国家試験を過大評価していたし、必要以上に勉強してしまったと思っています。ここだけの話ですが。


 皮膚科専門医試験は毎年合格率が80%であり、基本的に「下2割を落とす試験」です。
 医師国家試験の倍落ちると考えると恐ろしいかもしれません。全診療科の専門医試験の合格率中央値は85%ほどなので、皮膚科専門医試験が相対的に「落とす試験」なのは事実です。ちなみに合格率が特に低い専門医試験は精神科や総合内科で、だいたい70%強のようです。まぁ、精神科は指定医の方が重要なのであまり参考になりませんが。
 皮膚科専門医試験は、専門医試験の中でも難しい!……とはいえ5人受ければ4人通りますし、専門医資格がなくても医業はできますから、受験者のモチベーションは医師国家試験ほど高いわけではありません。
 まぁ、種々のしがらみゆえ、医師国家試験とはまた別の理由でモチベーションの上がりやすい試験ではありますが、それでも医師資格のかかった医師国家試験ほどではないはずです。


 よく言われている「医師国家試験は普通自動車免許の試験より合格率が高いが、そもそも医師国家試験の受験資格を得るまでの時点で(大学受験や進級などで)淘汰されているので、難易度は普通免許よりはるかに高い」というのはその通りで、医師国家試験合格者しか受けない専門医試験も更に母集団のレベルが高いのは事実です。
 ただ、結局のところ「下2割を落とす」というのは、語弊を恐れず言えば「落ちこぼれを落とす試験」に他なりません。なので、みんながやってる通りに自分もやっていれば受かる試験です。


 ですから、あなたが「学部で再試はあまりなかった」「医師国家試験やその模試も真ん中より上だった」「留年したことはない」という感じの真面目な人なら、きっと専門医試験もこれまで通りで大丈夫です。
 逆に、留年を繰り返していたとか、再試験の常連だったとか、医師国家試験もギリギリで通ったとかなら、ちょっとがんばらないといけないかもしれません。
 まぁ、医師国家試験や大学入試ほど落第した時のデメリットが大きいわけではないですが、早く受かるに越したことはないですから、人生最後のペーパーテストだと思って頑張っていきましょう。




書類審査は早めに準備しよう

 皮膚科専門医試験第一の関門が、受験資格を得るための書類審査です。
 専攻医5年、学会発表8回(演者限定)、論文発表3回(1st author限定)というのが各診療科の中でも厳しめの水準であり、ここがまず第一関門です。1
 1つ言えることがあるとすれば、早めに達成しておいた方がいいです。学会発表は最悪発表しさえすればいいのですが、論文は査読に通らないと条件達成できませんから。提出してから掲載が決定するまでにもタイムラグがあります。掲載されていなくても掲載証明書さえあれば受験資格は得られますが、それでも書類審査提出期限の前月に論文を出したりすると間に合わない可能性が高いです。


 レポートについては型通りでいいと思いますが、可能なら最近専門医を取った先輩にレポートを見せてもらい、それに倣った書き方をするのがいいでしょう。(書類審査高評価の先輩ならなおよし)
 その他必要書類(各病院の指導医のサインが要るとか)もありますので、少なくとも専門医試験を受ける年の4月には日本皮膚科学会のウェブサイトで受験要項を確認し、7月までには準備できるようにしておきましょう。年度によるかもしれませんが、自分が受けた年の書類審査の提出期限は7月31日必着でした。


 ちなみに、2024年度までは書類審査は1~5の5段階評価で、1は減点、5は加点だったようです。
 しかし、自分の受けた2025年度からはアルファベット(A/B/C)に変わったうえ、最高評価のAのみならずBも加点対象となりました。
 まぁ、以前の形式だと「最高評価を取るのは困難だし時間効率も悪いので、基本的には形式だけ整えて提出すればいい(2を目指せばいい)」という感じになってしまっていたようですからね。高すぎる目標は目標にならないですし、最高評価にかける時間で試験対策した方が絶対に時間効率がいいですから。
 2025年から各評価に傾斜をかけるようにしたことで、書類審査に真面目に取り組むインセンティブが生まれたといえます。個人的にはいい変更だと思いますね。


 ちなみに自分の書類審査は評価Bで、加点対象でした。講評が見られるわけではないのでどの辺がBの理由かは分かりませんが、少し安心したのを覚えています。
 まわりの人の話を聞いていると、Cが多数派、Bもそこそこいて、Aは稀……という印象でした。
 なので、書類審査で加点を得るのは現実的だと思いますが、明確な基準なども提示されていませんので、基本的には真面目にがんばりつつ「B以上ならラッキー」くらいの認識でいるのがよいのではと思っています。


 なお、レポートについては手術10件、症例15~30件なのですが、自分は症例20件前後でした。「30件埋めたけどCだった」みたいな話も聞いたので、量が全てではないようですが、量を評価しないなら最大30件書かせる意味がないので、普通に考えたら量の加点もあるとは思います。
 なので、書類審査の重みが増した今、30件埋めるのはありでしょう。「30件埋めたけどCだった人」は「15件ならC-だった人」かもしれません。
 ただ、レポートを書くのにも時間がかかりますし、書類審査は論文や発表なども考慮されるため、追加で15件書くのに腐心すべきかというと微妙だと思います。過不足なく15件をキチッと仕上げつつ、試験勉強により時間を費やした方が時間効率的にはいいのでは、と個人的には思いますね。


 加点幅は不明ですが、今まで加点も減点もごく一部だったことで書類審査の合否に与える影響が小さすぎることを憂えた結果、書類審査の影響力を増やすためにシステムを変えたのなら、各評価ごとの点数も大きめになっていておかしくないとも思いました。
 「あなたは書類審査がんばったね!1点加点!」となったとして、1点加点で合否が変わるのはボーダーライン-1点の人だけですからね。なので、Bで2点加点、Aで4点加点とかは考えうる範囲のような気がしますが、実際のところは分かりません。試験委員のみぞ知る、です。


 まぁ、書類審査の加点が仮に1点だけだったとして、ありがたいことに変わりはありません。自分を含め、書類審査の評価がどれだろうと合格していたであろうという人の方が多いでしょうが、自身がそうなるとは限らない以上、少しでも点数は上げておくべきでしょう。
 ただ、加点幅次第ではあるものの、基本的には書類審査の評価を上げるよりは試験の点数を上げる方が時間効率がいいと思われるため、書類審査についてはなるべく高い評価を取れるように努力しつつも、時間があるなら書類審査ではなく試験対策にかけた方がいいのではないかと思います。
 発表や論文については、正直アンコントローラブルな要素も大きいですからね。書類審査高評価の先輩のものを参考にしつつレポートを丁寧にやる、余裕があったら症例も多めに報告する……くらいではないでしょうか。




いつから勉強を始めるべきか

 自分は9月から始めました。
 ただ、7月に書類提出を終えるので、基本的には8月から勉強し始めるのがいいと思います。
 ここは意見の分かれるところかと思いますが、必要な勉強量という意味では8~12月の4ヵ月+αで十分間に合います。自分は医師国家試験も順位的には平均くらいで受かっているので、ことさら頭がいいというわけではないと思いますが、それでも9月からで間に合いましたから。
 8月からやっていればより確実でしょう。8割近く得点して合格した同期も、8月から始めたと言っていました。


 ただし、これについては仕事がどれだけ忙しいかによって変わる部分もあります。
 たとえば「一日中手術をしていることが多い、時間外も多い、当直も多くて忙しい」とかだと、勉強時間が確保しにくく、半年前から勉強しないと間に合わないという可能性はあると思います。
 一方で、そこまで多忙ではない市中病院にいて、ほぼ毎日定時で退勤して試験勉強に時間を充てられるとかなら、3~4ヵ月で十分でしょう。
 なので、自分の結論としては「労働環境的に特に多忙な方は早めに始めておいた方がいいかもしれないが、そうでなければ7月まで書類審査の準備、8月から試験勉強で問題ない」です。




皮膚科専門医試験は過去問とあたひふで受かる

 皮膚科専門医試験の勉強法ですが、1にも2にも過去問です。医師国家試験と同じです。
 自分が専門医試験の勉強を始めた後、前年度の問題の傾向を分析してみたのですが、2024年度専門医試験の問題の3分の2は過去10年間の過去問+あたひふ(新しい皮膚科)で周辺の知識を押さえていれば解ける問題でした。
 例年ボーダーラインは得点率55%あたりなのですが、上記より66%は10年分の過去問で解けるので、過去問をしっかり勉強していれば受かります。


 なので、とにかく過去問を繰り返しやって解説を読んで、あたひふで周辺知識を固める……という作業をやるべきです。あたひふに記載がない情報もありますが、受験生の多くはあたひふで勉強していますので、あたひふの知識をしっかり頭に入れていれば後れを取ることはありません。
 「新傾向の問題も押さえておくべきでは?」と思われるかもしれませんが、新傾向についてはド本命だけでいいと思います。
 たとえば直近でノーベル医学生理学賞を受賞した日本人とか、過去1~2年で適応の拡大した皮膚疾患の薬剤とか、そのあたりは押さえるべきでしょう。
 一方で、本命でない新傾向についてはあたりをつけにくいため、勉強の労力に対する効率(コスパ、タイパ)が悪く、合格を目指すにあたっては優先度が低いと思います。


 たとえば2024年度の試験では「KID症候群に舌癌が合併する」という知識を問う問題がありました。過去問にもあたひふにも載っていない知識で、もちろんより詳しく書かれた書籍などを使って深く勉強していれば正解できるでしょうけど、そのレベルまで種々の疾患を掘り下げるというのは遠大な労力を要しますし、それだけ頑張っても大きく点数は変わりません。
 まぁ「皮膚科専門医試験で1点でも高い点を取りたい」という、専門医試験スコアアタックをしている方であればそのくらい頑張ってもいいかもしれませんが、皮膚科専門医試験に合格したいだけであればそんなに掘り下げる必要はないと思います。
 受験生時代の癖なのか、試験の点数が高いことをすごく特別なことのように考えがちな方が少なくないように思いますが、高得点のインセンティブがないなら1位合格も最下位合格も等価です。あるいは、合格という同じ結果に対して費やした時間的・金銭的リソースが多ければ多いほど要領が悪いという見方すらできるでしょう。もちろん、試験勉強を通じて皮膚科学の知識を増やせるという点では、決して無駄ではないのですけれど。


 なお、上で「3分の2は過去問とあたひふで解ける」と書きましたが、「66%だけじゃ心配だけどな……」と思う方も少なくないと思います。
 ただ、残りの33%は新傾向を勉強しておかないと解けないかといえば、そんなことはありません。
 あくまで「過去問10年分と、あたひふにおける周辺知識」に含まれるかどうかだけで杓子定規に数えて66%ですからね。専門医試験の勉強を1秒もしてなくても解けるような問題も新傾向の中にはありますし、新傾向だから難しいというわけではないです。


 この記事を読んでおられる方は皮膚科学会の会員だけだと思うので、こちらから問題を見ていただきたいのですが……(2025年度の問題は2026年4月以降に公開されると思います)
 たとえば2025年度記述問20ですが、新傾向ではあるものの学生レベルの易問です。医者なら誰でも解けるでしょう。自分は本番で見た時、「さすがに簡単すぎないか?」と思い、「英語で書け」という文字を見落としてるのではないかと問題文を二度見しました。英語でもそのままではあるんですが、黙字のpは抜ける人もいるかと思うので……
 2024年度記述問15についても、過去10年に出題はなかった(2013年にはありました)のですが、疾患自体が国試レベルであり、ヒントも山盛り入っているため、ほとんどの人は外さないでしょう。国試では114A18に似たような問題がありますが、正解率98%ですからね。
 ……といった塩梅で、「過去問10年とあたひふで解ける66%」に入らない問題でも、普通に解ける問題は少なからずあります。(ちなみにあたひふはあくまで過去問10年分の周辺知識のみ見ており、過去問周辺知識限らないならもう少し正解できます


 なお、過去問については学会のウェブサイトで問題のみ公開されており、公式の解答解説はありません。
 これについては、解答解説を自作してもいいんですが、効率を考えると自作の解答解説を掲載しているウェブサイトを見るのが最良だと思います。
 おすすめはそれいきノート様で、2012年からの過去問の解答解説が全問載っています。皮膚科専門医試験受験生の多くがこのサイトで過去問の勉強をしたのではないでしょうか。自分は、ところどころに掲載されている図や表を保存して穴埋め形式に編集することで暗記に使ったりもしました。
 ただ、たまにデータの古いものもあったりするので、全部を鵜吞みにせず「最新のデータではどうなってるかな?」等とチェックすることも大事です。




英語・略語・キーワードについて

 英語については、微妙なところだと思います。
 皮膚科専門医試験では、間違いなく英語の問題は出ます。それも「この疾患の英語名を答えよ」みたいな、純然たる英語の問題が出ます。個人的にはどうかと思いますが、事実として出ます。
 ただ、そのために専用の対策をするかはまた別の話です。医師国家試験でも英語の対策をする人は少ないと思いますが、それは範囲が広すぎてコスパが悪いからです。


 2025年の選択問36、記述問6がいずれも純然たる英語問題でした。
 ただ、これら以外はありませんでした。記述の問9、問13、問16も英語で書かされるのですが、いずれも疾患に関するキーワード(Touton型巨細胞みたいな)であり、元々英語で覚えるものなので、英語問題という印象はありません。
 まぁ選択肢の疾患名が英語で書かれていることはちょこちょこあるのでそれは読める必要がありますが、あまり英語問題という印象はありません。だいたい雰囲気で分かるからです。


 120点中2点が英語問題なこともあると思えば、英語をガッツリ対策してもいいんですが……まぁ微妙なところですね。
 皮膚科の全疾患を英語で書けるようにするのは割と大変です。書き出してみれば分かりますが、めちゃくちゃ多いですし、ある程度法則性があるとはいえ、ラテン語病名も多いので難しいです。Lupus miliaris disseminatus facieiとか、どう見ても英語じゃないですからね。英語圏でもラテン語病名を使うので実質英語病名みたいな感じです。
 自分も一時覚えようとしましたが、ラテン語の格変化とか知らんがなとなりましたね。ラテン語は覚えなくていいのではと思いきや、実際にラテン語病名を訊いている過去問もあるので、いかんともしがたいです。英語病名でも、1つの日本語名に2~3通りの英語病名があって、どれを訊かれるか分からないので覚えるなら全部覚える必要がある、みたいなものもあります。


 微妙なところですが、個人的には英語はあまりやらなくていいと思います。なんとなく雰囲気で読んで病名が分かればセーフ派です。英語の勉強はしてもいいが時間効率が悪く、他の勉強をした方が同じ時間で増やせる点数が多いというのが持論です。配点が更に増えるなら別ですが。


 略語は英語よりは勉強しやすいので、対策してもいい派です。
 あたひふの目次より手前にある略語をまとめたページvi~viiに200個くらい略語が書いてあるので、それを覚えました。過去問を見る限り、略語の問題はここから出ることが多めです。また、それ以外でも日常的に見る略語はちゃんとフルスペルで書けるようにしていました。ICとかDNARとかですね。
 まぁ、2025年は略語が1問も出なくて悲しい思いをしたので、この傾向が続くようなら略語の勉強を辞めてもいいかもしれませんが、過去問を見る限り略語が1問は出る年の方が多いので、上記の約200個を丸暗記するくらいはしてもいいのではと思います。出ても1点ですが、コスパ自体は悪くない1点でしょう。


 キーワードは、記述問題で最も問われるところです。
 すなわちKamino小体とかCivatte小体とかTombstone appearanceとかの、皮膚科疾患で特徴的な専門用語ですね。これらは記述問題でよく出るので、少なくともあたひふに記載のあるキーワードはしっかりチェックしておきたいところです。
 ただ、キーワード単体でまとめて覚えるのは少し微妙というか、各疾患を覚える要素の一環として出てくるものなので、特に意識してまとめる必要はないようにも思います。


 皮膚科専門医試験の記述問題がいわゆる自由論述のような形式ではなく、あくまで短い単語を記入する形式である以上、各疾患で特徴的なキーワードというのは非常に出題されやすく重要なので、たとえ過去問になくともしっかり覚えておいた方がいいと思いますね。




専門医試験対策系の講義について

 専門医試験は、過去問とあたひふだけで受かります。それは確実です。
 ただ、プラスアルファで何かしないと安心できないという場合、専門医試験対策系の講義がおすすめです。
 国試と違って予備校はありませんが、ちょこちょこ大学の皮膚科医局の先生がオンラインで専門医試験対策の講義をしているので、見てみてもいいと思います。


 自分はそれ系を全く見てなかったので、エアプで申し訳ないんですが、見ていた友人から「オンライン講義のお陰で解けた問題あったよ」という声を聞きました。2025年度だとパドセブや皮膚動脈炎の問題はオンライン講義で出ていたようですね。
 合否のボーダーラインを考慮すると必要ではないです(し自分も無しで受かりました)が、オンライン講義の時間を考慮すると割と費用対効果高めに得点できそうなのと、あとは国試予備校と同じ「受験者の学力底上げ効果」があることから、講義の受講者が多ければ多いほど自分も見ておいた方がいいと思います。


 医師国家試験もそうなんですが、学習塾や予備校をはじめとする「有力な試験対策」が出てきてしまうと、それをした受験者が特に優位になるため、対策を行う受験者がどんどん増えて、対策をしない受験者が不利になります。
 これによって、特別だった「有力な試験対策」は「やって当たり前」の実質的なdutyになり、受験者のレベルが底上げされて差をつけにくくなるため、問題を出す側もそれに対応して試験の難易度を上げる……という学力のインフレが生じます。大学受験が難化の一途を辿るのも、これが一因と言われています。


 ある種の合成の誤謬ですね。抜け駆けで特別な試験対策をすると有利になるけれど、みんながそれをし出すと試験のレベルが上がって損になる……という。
 ただ、これは受験者側からすると損というだけであって、試験を出す側からすれば受験者のレベルが底上げされるわけで、必ずしも悪いことではないと思います。競争が激化するから塾も予備校も作ってはいけない、というのもどうかと思いますしね。




SNSは気にしすぎない程度に見る

 試験勉強期間中にSNSは不要!気が散る!見るな!
 ……と言いたいところですが、正直そうも言えません。
 自分自身、Xで流れてきた「シイタケ皮膚炎」の画像を見たおかげで解けた問題がありました。皮膚科医のアカウントをフォローしておけば、トピックス的な内容も流れてきます(真偽の精査は必要ですが)。専門医試験対策講義の情報なんかも流れてきたりします。
 なので、そのためにSNSを始める必要はないですが、あえてやめる必要もないのでは?というのが自分の考えです。


 ただ、他の受験生の発信する内容、特に勉強量や得点などについては意識しなくていいです。
 基本的に、勉強量や過去問の得点について自ら発信する受験生というのは、「ペーパーテストが取り柄です」みたいな人が多いです。そもそも、ありきたりな勉強量やふつうの得点は発信の意義に乏しいですしね。自己採点を言い合う場所で低い点数の人は黙ってるので全体的に高得点に見える、みたいな話です。あるいはソシャゲのガチャは運がよかった人ばかりが報告するので、期待値通りでも自分がひどく不運に見える、みたいな話でもあります。
 なので、「8月なのに前年の過去問初見で7割取れちゃった」とか「9月だけど、もう10年分の過去問3周終わってほぼ覚えちゃったから次何やろっかな」みたいなのを基準にして「えっ、わたしの勉強量少なすぎ……?」みたいに思う必要はありません。平均的な受験生は何も発信せず黙々と勉強しています。


 この「他人の勉強量を見ていると不安になる」理由の1つは、自分の位置が分からない点にあると思います。
 医師国家試験や大学受験では何度となく全国模試を受けることで、受験者全体における自分の位置を把握できますので、他人の勉強量の申告なんかよりも模試の偏差値の方がはるかに有用な情報になります。
 しかし、年間500人も受けない皮膚科専門医試験に全国模試は無いので、試験後に自己採点をするまで、受験者全体における自分の立ち位置は分かりません。それゆえに、他の受験生の勉強の量や進捗という与太話で心が動きうるんです。
 対処法は、まぁ……心の持ちようですよね。気にしないことです。
 あと、大学の進級や医師国家試験を順調に進んでこられた方は、「2割しか落ちない試験を落とすか?この俺様が?」というポジティブ思考でいくのもありですね。自分もこの夜郎自大スタイルで過ごしていました。




さいごに

 以上、皮膚科専門医試験の受かり方に関するご提案でした。
 また、皮膚科専門医試験前日・当日の過ごし方と、合格のコツという記事も書いているので、よろしければそちらも併せてご覧ください。
 本記事が、皮膚科専門医試験受験生の参考になれば幸いです。

  1. 学会発表6回・論文発表4回、学会発表4回・論文発表5回などでも大丈夫ですが、多くの方は論文発表を最小にするのが最も労力が少ないと思われるため、ここではこのように記載しています。 ↩︎