ポケカ:レガシーエネルギー発売前考察(+多色特殊エネ考察)

 変幻の仮面で新たなACE SPECの特殊エネルギーが登場します。

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 レガシーエネルギーです。
 付けたポケモンがきぜつした時に相手に引かれるサイドの枚数を1枚少なくする効果があります。
 このカードの強さについて、またこのカードに限らず多色の特殊エネルギーについて、考えてみたいと思います。よろしくお願いします。

・サイドレースの優位性
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 レガシーエネルギーは、ある意味サバイブギプスに通じる性質があります。
 それは、自身のHPを超えるダメージを受けた時に発動し、サイドレースを有利にするという点です。
 サバイブギプスは付けたポケモンが倒されないことでサイドレースを有利にし、レガシーエネルギーは引かれるサイドの枚数を減らすことでサイドを有利にします。
 サバイブギプスはロストスイーパージャミングタワーで対策され、レガシーエネルギーは改造ハンマーで対策されます。どちらがいいかは環境次第ですが、一般的には改造ハンマーよりもロストスイーパーの採用率の方が高いため、対策への耐性という点ではレガシーエネルギーが上でしょう。
 ただし、特殊エネルギーというのはサーチが比較的難しめです。アーケオスの特性プライマルターボでサーチどころかそのまま付けられますが、アーケオスの汎用性を考慮するとそれはごく一部のデッキでしかできない芸当でしょう。一方、サバイブギプスはペパータウンデパートで簡単にサーチできます。

 他にも相違点は多くあります。というか、別に両者は似た者同士というわけではなく、サイドレースを有利にできるという一点で類似している、というだけですからね。
 サバイブギプスは一発で倒されるダメージでないと意味がないが、レガシーエネルギーは2回の攻撃で倒されても大丈夫だとか、サバイブギプスは発動するとそもそも生き残れるが、レガシーエネルギーは倒されてしまうとか、違うところばかりです。
 ただ、両者のメリットとしてサイドレースを有利にできるという点がありますから、サバイブギプスを採用する時に「これでサイドレースを有利にしよう」と思うなら、レガシーエネルギーも頭の隅っこで「そういえばあれもサイドレースを有利にできるけど、どっちの方がこのデッキに合ってるかな?」と考える余地があり、また逆もしかりだと思います。
 その点でいえば、ヒーローマントも近しい部分がありますから、合わせて検討するべきかもしれません。
 なお、レガシーエネルギーはワザのダメージできぜつした場合のみの発動なので、トドロクツキexのくるいえぐるやヤミラミのロストマインなど、ワザの効果できぜつした場合は対象になりません。これはサバイブギプスも同じです。


・多色エネルギー
 レガシーエネルギーは全てのタイプのエネルギー1個分になります。
 カードの効果としては引かれるサイドの枚数が1枚減るのがメインっぽくて、この多色効果はどちらかというとオマケ寄りな感じもあるものの、割とありがたい要素です。
 というのも、クリムゾンヘイズ環境では、無条件の全色エネルギーが実は存在しません。
 ルミナスエネルギーは他の特殊エネルギーが付いていたら無色になりますし、ネオアッパーエネルギーは2進化以外だと無色1個分です。リバーサルエネルギーは言わずもがな、非ルール・進化・サイド不利時の三重条件です。
 無条件の全色エネルギーは今まで色んな環境で存在したのですが、サンムーン以降だとAのレインボーエネルギーが落ちてDでオーロラエネルギーが登場して、そしてオーロラエネルギーが落ちた2023年から、無条件の全色エネルギーはスタンダード環境にありません。
 ただ、これが恒久的な措置かは分かりません。一因として、アーケオスという特殊エネルギー加速に特化したすごいポケモンがいるので、その暴走を防ぐため抑制している可能性はあります。全盛期のルギアVSTARって多色特殊エネを加速し放題の多色デッキでしたからね。
 そのため、アーケオスがスタンダードレギュレーションから落ちた後、ないし落ちる少し前に無条件の全色エネルギーが登場する可能性は高いと思います。ただ、レインボーエネルギーの再録については若干懐疑的です。

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 レインボーエネルギーは旧裏で登場して以降、VS、e、ADVなどほとんどのポケカシリーズに再録されてきました。BWは不採用だったので、そこで2009年→2013年と4年飛びましたが、それ以外ではほぼ3年以内の再録を繰り返しています。しかし、Aのカードが落ちてオーロラエネルギーに取って代わって以降、剣盾で登場していないのはもちろん、SVに入っても音沙汰ありません。
 2019年の「サン&ムーン デッキビルドBOX TAG TEAM GX」が最後なので、5年飛んでなお出ていないことになり、これは過去最長のブランクです。(なお、「刷られていない」という意味でのブランクなので、環境での不在という意味ではまた異なります)
 個人的には、今後レインボーエネルギーが出てこないとしてもおかしくはないと思っています。そもそも、2進化ポケモンのHPが100~120だった初登場時と、たねHP260や1進化HP340がいる今日とでは、レインボーエネルギーのデメリットである「ダメカンを1個乗せる」の重みが違いすぎるんですよね。レインボーエネルギーのスタン落ちと同時に、デメリットが「手札を1枚捨てる」に置き換わったオーロラエネルギーが登場したのも、「もはやレインボーエネルギーのデメリットは軽すぎる」と判断されたのかもしれません。
 なので、レインボーエネルギーはサンムーンを最後に再録されなくなり、そのうち「ダメカンを2個乗せる」がデメリットになった新特殊エネルギーが出る、という可能性はあると思います。
 個人的にはレインボーエネルギー、大好きなんですけどね。元祖全色エネルギーですし。オーロラエネルギーも嫌いではなかったのですが、当時はクイックボールにハイパーボールにオーロラエネルギーと、「なんだか雑に手札コスト要求するカードが多すぎない?」と感じていたところもあったので……

 閑話休題。
 レガシーエネルギーは、少なくとも変幻の仮面環境では唯一の無条件で全色になるエネルギーですから、そういった点での採用価値もあると思います。
 たとえば、クリムゾンヘイズ環境のころころルギアで無色以外のエネルギーを要求するポケモンを採用したい場合、原則的には基本エネルギーを採用する必要があります。有色1個だけのワザならルミナスエネルギーでいいとか、進化ポケモンならリバーサルエネルギーで動けるとかの抜け道はありますが、前者はアーケオスがいるのにわざわざ1エネ要求の慎ましいポケモンを採用する意味が乏しいですし、後者は安定感に欠けます。実質たねポケモンのレントラーとかならありかもしれませんが……
 しかし、レガシーエネルギー採用であれば有色1個+無色のエネルギーを要求するポケモンを採用しやすくなります。対象となる強いポケモンはたくさんいますが、その筆頭がテツノカイナexでしょうね。今までころころルギアでごっつあんプリファイしようとすると基本雷エネルギーを入れざるをえませんでしたが、レガシーエネルギーを採用するなら基本エネルギーを積む必要はなくなります。
 まぁ、ころころルギアについてはチラチーノとサバイブギプスの相性がよく、特殊エネが4~5枚ついたチラチーノにサバイブギプスを付けて2回ワザを使わせることで試合中の必要エネルギー枚数を圧縮する効果がありますから、レガシーエネルギーの採用が手放しに最善と言えるかは分かりませんが、それを言うならテツノカイナexでサイドを1枚余分に取ることも試合中の必要エネルギー枚数の圧縮に繋がりますから、比較対象にもならないというのは少し早計かなと思ってしまいます。

 まとめます。
・レガシーエネルギーは「付けたポケモンがHPを超えるダメージを受けた時に発動し、サイドレースを有利にする性質がある」という点でサバイブギプスと類似性があり、サイドレースを有利にするACE SPECを採用したいという意図があるなら、サバイブギプスとの比較も一考の余地がある。
・レガシーエネルギーは、実は変幻の仮面環境で唯一の「無条件で全色になるエネルギー」であり、その性質を活かすための採用というのもありえる。
・無条件で全色になるエネルギーの定番はレインボーエネルギーだったが、過去の再録ペースと比べるとかなり長い期間再録がなく、また全色になる代わりのデメリット要素(ダメカン1個)がどんどん相対的に軽くなっている背景もあるため、今後再録されない可能性も考えうる。
・無条件で全色になるエネルギー自体は今後も刷られる可能性が高いものの、アーケオスが強いためレギュ落ちする少し前あたりまでは控えめ性能のものが多いかもしれない。
 ……といったところです。

 わたしは多色デッキが大好きなのですが、あくまで単色や2色が原則であってこその多色デッキだとも感じます。
 ものによっては、多色の土地などが強くなりすぎたあまり、もはや単色デッキという概念が崩壊しつつあるTCGもあると聞きました。わたし個人としては、それはあんまり好きじゃないかな、と感じます。完全に好みの問題ですが、単色が原則の環境で多色という選択肢があるのが好きなんです。
 せっかく色の概念があるのに、みんな多色でデッキを組んでいるんじゃあ、色が分かれている意味が少ないな、と感じてしまいます。もちろんロストバレットみたいな多色デッキはあってもいいんですが、あくまで選択肢の1つであって、単色+αが基本、というのがわたしは好きです。
 まぁ、2色がデフォルトで、3色以上にするのも単色にするのも多少尖った選択である、くらいはありだと思いますけどね。ポケカも「弱点のワザはダメージ2倍」というのは相性差として少しやりすぎなきらいがある、と言われることもありますし、ポケカの歴史的には弱点ダメージが2倍ではなく+30とかになっていた時期もあります。そもそも、SVのテラスタルにしても、自然に2色デッキを組めるようにしてくれている感じですよね。
 色の概念が崩壊するのはわたしとしても望むところではないです。なので、多色エネルギーについてもほどほどに、けれども常に多色という選択肢があり続ける程度の性能で、刷り続けてほしいです。
 SVはテラスタルで色が増え、ある程度自動的にデッキのタイプを散らせるため、無条件の全色エネルギーが強くなくていい……という考え方もできますね。テラスタルなしでデッキの色を散らしやすければ散らしやすいほど、相対的なテラスタル(によるタイプ変更)の魅力は落ちますから。もちろん、アーケオスが強すぎて無条件の全色エネルギーが刷りにくい、というのもあると思いますけれどもね。

 それでは、また。

(記事内の画像はポケモンカードゲームトレーナーズウェブサイトからの引用です。)

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