さけぶモクロー

ポケモンカード、以前集めていたことがあります。
といってもカードショップで知らない人と対戦することはなく、同じようにカードを集めている友達と遊ぶくらいのカジュアル勢でした。
そして、わたしが持っているカードの中に、ちょっと思い出深い1枚があります。
それがモクロー。「ムンク展」とのコラボのモクローです。

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フルアートで、迫力があります。芸術点の高さがいいですね。

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モクロー以外にもピカチュウ、ミミッキュ、イーブイ、コダックがムンク展とのコラボカードを出していました。
ピカチュウはムンク展に行った人がもらえ、ミミッキュはコラボのカードファイルのオマケでした。イーブイ、コダック、モクローはコラボの時期にポケモンセンターでパックを2個買うとオマケでもらえました。
日本でしかコラボしておらず、コラボ相手がかの有名なムンクとのことで海外需要も高かったこと等から、いずれも爆発的に高騰しています。一番安いモクローで2万円以上、ピカチュウやミミッキュは20万円をゆうに超えます。
モクローが安いのは、店頭配布の3匹の中ではポケモンとしての知名度が低いから……かは分かりません。わたしは、この5枚の中で一番実用性が高かったのがモクローだったので、流通量が多かったのもあるんじゃないかな?と思っています。

そうです、実用性です。
ポケカは色々なプロモーションカード(店頭購入できるパックに入っていない、特別なカード)がありますが、ほとんどのプロモーションカードは対戦で使うことができます。
それゆえにカードの性能が低めに押さえられることが多いんですが、たまに調整を失敗して環境を席巻してしまうことがあります。
過去には大会入賞者限定プロモのミステリアスパール、世界大会出場者限定プロモのトロピカルビーチといった非常に入手難易度の高いカードがトップtierデッキの有用パーツとなってしまい、値段が暴騰したことがありました。さすがによくないですね。その反省か、2023年世界大会の限定プロモは「お互いのコダックを強化する」という謎のカードでした。そのくらいがいいと思います。

ムンクの叫びとのコラボカードに話を戻します。
ムンクの叫びとコラボした5枚のカードも、プロモーションカードの一種です。
いずれも低めのHPに「さけび」という、エネルギー1個でお互いのバトルポケモンを混乱させるだけの、大して強くない技を持っています。ちなみにムンクの「叫び」という絵は、「誰かの叫び声を聞いて耳を塞いでいる」という絵なので、何者かの叫び声が自分のポケモンと相手のポケモン両方の耳をつんざき、2匹とも混乱してしまう、ということだと思います。
この技、ポケカ全体で見ると弱いんですが、進化前のポケモンとしてはそこそこの技です。混乱状態になったポケモンは50%の確率で技を失敗してしまいますし、ポケカだと状態異常は進化することで治るので、相手がギラティナやアーゴヨンのような(もう)進化しないポケモンだった場合、相手だけに混乱の運要素を強いることができます。
どうせ進化前のポケモンは(一部を除き)せいぜい10~20ダメージを与えるような弱い技しか覚えていないため、下手に攻撃するより、さけびで「50%で相手の技を失敗させる」方が強いです。ちなみに大抵の人は運要素を嫌い、混乱したポケモンを入れ替えてくることも多いですが、それでも本来不要な入れ替えにリソースを消費させられること自体がメリットといえます。

ただ、モクロー以外のムンクコラボポケモンはほぼ使われませんでした。
ピカチュウ、コダックはそもそも環境にほぼおらず、仮に使うとしてもHP70の個体や「ほっぺすりすり」持ちの個体の方が強かったです。
イーブイは「エナジーしんか」という、山札から進化先をサーチして即進化できる最強特性持ちの個体一択でした。
ミミッキュは……「さけび」はあくまで進化前の技として強いだけで、進化しないミミッキュの技としては弱すぎました。

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そして、モクローです。
・環境上位にジュナイパーGXデッキがある
・他のモクローはHP60以下のものしか存在せず、大した特性や技もない
といった理由から、当時の環境(SMA-B)では「ムンクモクローが最強のモクロー」だったのです。
それゆえに、当時のガチ対戦のジュナイパーデッキでは、ムンクモクローを4枚積むのが理想だったようです。
まぁ、技性能の差といってもそこまで大きくはないため、ムンクモクローでないと弱いということはありません。他のモクローはダメージを出せるので、ムンクモクローの完全な下位互換ではないですしね。ただ、ムンクモクローが総合的に最も優秀であったことには間違いがなく、当時は実用性の観点から店頭配布の3枚の中ではモクローが最も高値で取引されていました。
とはいえ、ジュナイパーGXデッキはいわゆる玄人向けで、あまり使われてはいませんでした。世界大会優勝経験者のとーしん選手、上位プレイヤーのあむ選手の記事を拝見すると、「ジュナイパーデッキはtier2」「上手な人が使えばトップtierのジラーチサンダーに有利がつく」と書かれており、たしかな強さがあったのは事実のようです。
ただ使用率は振るわず、配信台でもほとんど見なかったため、当時のプレイヤーとしては「ムンクモクローを血眼で探した」という記憶はおそらくほぼなく、当時ジュナイパーデッキを使おうとした人だけが買い求めた、くらいだと思いますね。

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なお、その後のSMC(タッグチーム環境)になると、タッグチームGXのパワーの高さによりジュナイパーGXが相対的に弱くなり環境から消えたため、モクロー自体をあまり見なくなりました。
その後のソードシールド環境(D)ではムンクモクローの上位互換は出なかったものの、「かぜのつぶて」という60ダメージを出せるすごいモクローが(HP50と脆いですが)登場し、強力なライバルとなりました。「みつりんめいさい」のジュナイパーデッキを使う時、わたしは未練がましくムンクモクローを使ってましたけれどもね。

そんな感じです。
まとめると、ムンクモクローが最強で需要も高めな時期がありましたが、それは半年に満たない一瞬でした。
ただ、当時ポケカを集めていたわたしとしては、その一瞬のきらめきが深く印象に残っており、思い出深いカードの1枚となっています。
ちなみに、当時ジュナイパーデッキを愛用していたわたしは、このムンク展コラボのモクローを8枚集めました。
今でも8枚持っています。うち4枚は未開封で、うち4枚はデッキに入れて。
当時はポケモンセンターで500円くらいの買い物をすると2枚もらえたオマケカードですが、今や万単位のカードになっており、デッキに高額カードを入れる習慣のないわたしとしては、ちょっとひやひやしていました。
まぁ、モクローを8枚持っていたところで、ピカチュウやミミッキュ1枚きりの方が高いんですけれどもね。ヒットしたTCGはお札を刷るようなものとはよく言ったものです。

……だいたい書きたいことは書いた気がしますので、以上としておきます。
また思い出のカードを思いついたら書いてみようかと思います。
それでは、また。

※本記事の画像はポケモンカードゲームトレーナーズウェブサイトからの引用です。

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