リッチエネルギーが発表されました。
2024年9月13日発売の新拡張「楽園ドラゴーナ」の新カードで、手札から場のポケモンに付けた時、自分の山札を4枚引ける、エーススペックの特殊エネルギーです。
そんなリッチエネルギーについて、発表時点の情報から考察を加えてみたいと思います。よろしくお願いします。
【目次】
・サポートにすら許されない無条件4ドロー
・エネルギーとしての性能はひかえめ
・反復使用の裏技
・相性のいいデッキ
・まとめ
・サポートにすら許されない無条件4ドロー
ステラミラクル環境で定番のドローサポートといえば、ナンジャモ、博士の研究などでしょうか。
博士の研究は7ドローというさすがの貫禄なのですが、しかし手札を全て捨てなければならないデメリットがあります。ナンジャモにしても、手札を入れ替える性質がありますから、純粋なドローソースとは少し異なる風合いです。
純粋なドローソース、つまり手札をそのまま維持して引ける「縦引き」のカードとしては、3枚ドロー+100%メリットとは言い切れない効果、が上限になっています。
すなわち、5枚から選べるが2枚ロストゾーンに行くデメリット持ちのアクロマの実験、場に古代ポケモン・トラッシュに基本エネルギーがないと使えないオーリム博士の気迫、自分のスタジアムをトラッシュしてしまうかもしれないさぎょういん……等々ですね。
要するに、現代ポケカのドローサポートは純然たる3ドローのネモが性能の基準であり、ネモの上位互換は存在しないバランスになっています。縦引きサポートは3ドローが基準、それがポケカの大原則です。
一方で、リッチエネルギーは4ドローです。
サポートにすら許されない無条件ノーコストの縦引き4ドローを、サポート権を使わずに達成することができるという、極めてパワフルなドローソースであるといえます。
・エネルギーとしての性能はひかえめ
エーススペックの特殊エネルギーといえば、レガシーエネルギーがあります。
とられるサイドの枚数を1枚減らすという強力な効果に加えて、すべてのタイプのエネルギー1個分になってくれるため汎用性が高く、色んなデッキに採用できる性質がありました。
しかし、リッチエネルギーは無色1個ぶんであり、場に付けた後のエネルギー単体としての性能は最低レベルです。
まぁ、レガシーエネルギーは改造ハンマーなどでトラッシュすることで効果を不発にできますがリッチエネルギーは付けた時点で効果が得られますし、妥当なところかもしれません……が、少し残念ですね。
無色エネルギーを採用しても問題のない色拘束のゆるいデッキなど、採用を考えるデッキは限られそうです。
・反復使用の裏技
サポート権を使わない4ドローの効果、使い回せれば最高だと思いませんか?
レガシーエネルギーと違って対戦中一度しか発動しない縛りはないため、エネルギーを手札からつけ直せるなら何度でも4ドローできます。
たとえば、ボタン。
たねポケモンを付いているエネルギーやポケモンのどうぐごと手札に戻すため、リッチエネルギーを回収して再利用することができます。
カビゴンLOのようなコントロールデッキでも使える手ですね。リッチエネルギーを付けて4ドローし、ボタンで回収してまた次のターンにリッチエネルギーを使う、という。ロトムVの「そくせきじゅうでん」と合わせて7ドローです。
たとえば、ピジョットV。
ボタン同様、ついているカードごと場から戻るため、再利用が可能となります。
手札ではなく山札に戻るため、引き直すのが難しいというデメリットはありますが、ノココッチみたいな感触で繰り返し使える4ドローになっている、というのは面白いところです。
もっとも、ノココッチは採用枚数の厚さとノコッチサーチの容易さにより反復使用の期待値が確保できたり、HP60ノコッチがにげる0であり単体で潤滑油になりえたりといった性質がありますが、そこはピジョットV+リッチエネルギーにはない利点です。ピジョットVはボウルタウンやなかよしポフィンでサーチできませんし、特殊エネルギーってポケカで最もサーチしにくいカテゴリの1つですからね。
まぁ、ボタンで手札に戻したとしてもナンジャモで埋められてしまうリスクはあるのですが……
たとえば、オーガポン いどのめんex。
自分についているエネルギーを手札か山札に戻す効果のあるワザであれば、ワザを使いながらリッチエネルギーを手札に戻すことができます。このポケモンは山札ですが、カイオーガやウェーニバルexなど、手札に戻すポケモンもいます。
特性でエネルギーを戻し放題の、e2エーフィ(エナジーリターン)みたいなポケモンがいればいいんですが……ステラミラクル環境では残念ながらいませんね。
ちなみに、ノココッチもついているカードごと山札に戻るため、ノココッチにリッチエネルギーをつけて特性を使うことで、合計7ドローしながらノコッチ、ノココッチ、リッチエネルギーをすべて山札に戻すことができます。アンノーンHANDみたいな大量手札での特殊勝利カードが登場すれば有用かもしれません。
・相性のいいデッキ
サポートを使わずに4ドローしたいデッキはいくらでもあります。というか、全デッキそうでしょう。
しかし、無色エネルギーを積極的に採用できるというデッキはあまりありません。色の縛りがあるからですね。
単色デッキならまだ余裕はありますが、2色以上のデッキだとどちらの色にもならないエネルギーがあるのはけっこうしんどかったりもします。ミラージュゲートでの加速が前提のロストゾーン軸とかなら話は別ですが……
ですが、リッチエネルギーと相性のいいデッキというのも、実際存在すると思います。
まず、強力なエネルギー加速のあるデッキ。
ミストエネルギーを採用できるリザードンexデッキ、基本悪エネルギーを採用できるサーナイトexデッキ、これらに共通するのは「特性による強力なエネルギー加速があるために、エネルギー手貼りの権利をアタッカー用の純粋なエネルギー供給以外に使える」という点です。
まぁ要するに、リザードンexはれんごくしはいでバーニングダークの必要エネルギーをまかなえるので、手貼りの権利をミストエネルギーで防御を固めるために使えるし、サーナイトexはサイコエンブレイスで基本超エネルギーを付け放題なので、マシマシラのアドレナブレインのために基本悪エネルギーを貼る余裕がある、ということです。
アタッカーに一生懸命手貼りしないといけないレジドラゴVSTARデッキなどでは、無色エネルギーを手貼りしている余裕はないですからね。上記のようなエネルギー加速の強力なデッキであれば、手貼りの権利を4ドローに費やす選択肢もあるかもしれません。
コントロールデッキも相性がいい類でしょう。
エネルギー手貼りの権利を4ドローに費やすというのは、エネルギー手貼りでワザを使って敵を倒したいビートダウン系のデッキではデメリットになりますが、元々ワザを使わないターンの多いコントロール系のデッキであれば手貼りの権利は余っていますから、相対的に手貼り4ドローがしやすいといえます。
コントロールデッキであればヒーローマントのような耐久系のエーススペックを採用したいところかもしれませんが、まぁそれはアンフェアスタンプやプライムキャッチャーを採用できなくなるビートダウンについても似たような話ではあります。
それと、ビートダウンだとリッチエネルギーを手札や山札に戻す仕掛けも合わせて準備するのがややおっくうですが、コントロールデッキであればピジョットVやボタンを元から採用していたりもしますから、再利用の仕掛けも使いやすいかと思います。
ちなみに特殊エネルギーの総合商社ことルギアVSTARデッキもありますが、ルギアVSTARについてはアーケオスのプライマルターボによるエネルギー加速が基本であり、手貼りでしか発動しないリッチエネルギーの4ドローが使いづらいことから、イマイチだと思います。
「でもジェットエネルギーも採用してるよね?」と言われればそうなのですが、手貼りでなくとも問題なくて全色になるお陰で採用ポケモンに幅の出るレガシーエネルギーの方が、ルギアVSTARデッキのエーススペック枠としては相性がいいように思えます。ドロー用エネルギーとしては既にギフトエネルギーもありますし……
まとめです。
・リッチエネルギーは、サポートですらなしえない無条件ノーコストの4ドローができるパワフルなドローソースであり、エネルギーとしては無色1個分でしかなく頼りないものの、エーススペックの名に恥じない可能性を秘めた1枚に思える。
・特に再利用ができると非常に強力で、ボタンやピジョットV、ノココッチなどを活用することで繰り返し使える。ただ、山札に戻すと引き直すのが大変で、手札に戻してもナンジャモなどで埋められるリスクはある。
・相性のいいデッキを挙げるとすれば、手貼りの権利をアタッカーへのエネルギー供給以外に使う余裕があるようなエネルギー加速の強いデッキや、ワザをあまり使わず手貼りの権利が余っているコントロールデッキがある。
……という感じです。
なかなか面白いエネルギーで、ポテンシャルはありそうなものの、無色1個というのがやや向かい風ですね。
リザードンexが無色1個分のミストエネルギーを積んでいたこともありましたが、あれはくるいえぐるやスターレクイエムといったサイドレースに直結する要素をケアできるというメリットがありました。しかし、4ドローは確かに強いものの、ドローというのは代替のきかないものではないので、あえて入れるほどの価値があるか、というのが争点になりそうです。
ソードシールドの時代に、2枚ドローのついているスピード雷エネルギーというカードがありましたが、あれは強かったです。ただ、ちゃんと雷の色がついていたから強かった、みたいなところもあると思うのですよね。特殊エネルギーであるという点を除けば基本雷エネルギーの上位版でしたから。リッチエネルギーもすべてのタイプ1個分だったり、無色2個分だったりすればもっと使えそうなんですけど、エーススペックでありながら場のエネルギーとしては基本エネルギー未満の性能なのですよね。
ただ、全てのタイプ1個分かつ3ドローとかではなく、4ドローかつ無色1個という尖らせ方が思い切りがよくて面白いなと思うので、このカードをうまく活用したデッキを考えてみたいですね。まぁ、エーススペックへの依存度が高いデッキはどうしてもサイド落ちのリスクが高いので、そこが大きな課題ではありますが……
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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