変幻の仮面で現れた新しいエース、ドラパルトex。
その高い性能と弱点なしという隙のなさゆえに、多くのデッキが対応に苦慮しています。
特に、ファントムダイブによるダメカンばら撒きは強力です。200+60で1進化exまではほぼほぼ倒されてしまいますし、2進化exなら耐えはするもののデヴォリューションによる退化でまとめてサイドを取られてしまうこともありえます。
そこで、変幻の仮面環境のカードプールから、ドラパルトexの対策をしよう!という趣旨の記事になります。ドラパルトexのパワーに抗うすべについて、現実的なものから絵空事レベルまで色々と考えてみましたので、よろしくお願いします。
・案1:回復
ダメカンばら撒きへの回答その1、回復です。
かがやくアマージョは特性エレガントヒールにより、1ターンに1回、自分のポケモン全員のHPを20回復できます。これにより、ドラパルトex側のサイドプランを崩せる可能性があります。
しかも、かがやくアマージョは使い切りではないため、場に長く残ることでより強く使えますし、仮に相手がそれを嫌ったとしても、ファントムダイブをかがやくアマージョに撃たせることでアタッカーを守ってサイドレースを有利に進められる可能性があるのがいいところかな、と思います。
かがやくポケモンの枠を消費してしまうことと、一度に回復できるのが20ダメージだけなのとが難点です。たとえば200+60を2回撃って260ダメージずつ乗せてexやVを倒すプランの場合、一度20回復を挟んだところで240ダメージずつになり、結局たねポケモンのexやVは倒される可能性が高いです。あくまで少しずらせば耐えられる時にのみ有効といえます。
マシマシラは変幻の仮面の新カードで、悪エネルギーが付いていることが条件ですが、自分の場のダメカン3個を相手の場に移し替えることができます。回復とは書いていませんが実質回復であり、しかも相手の場のダメージを増やせるので実質攻撃でもあるという、高いポテンシャルを感じるポケモンです。
1匹いればファントムダイブの効果で乗せられたダメカンのうち半分をお返しでき、2匹いればダメカン6個乗せをなかったことにする……どころか相手の盤面に移し替えるので、むしろこっちがファントムダイブを撃っているみたいな感じになります。ただ、悪エネルギーをマシマシラ1匹1匹に付ける必要があり、超ポケモンなのでダークパッチも使えないですから、少し工夫が必要になりそうです。
基本悪エネルギーである必要はありませんから、ルミナスエネルギーでも条件を満たすのが嬉しいところですね。
きんきゅうゼリーは回復量がとても高いのが優秀で、たとえばHP230のたねexやたねVがファントムダイブの200ダメージを受けた後、30回復だと結局ダメカン6個乗せによるきぜつ圏内から逃れられませんが、120回復すればさすがに逃れられます。
ドラパルト側からしても、残りHP30にしておくことは、対たねex・Vのデッキに対しては意味がありますし(いれかえカートを使われてもダメカン6個乗せで倒せる)、きんきゅうゼリーの採用率も低いため、あえて避ける理由もありません。
もっとも、普通に戦っているとHP30以下にならないケースもあるうえ、30足りないだけの状況だとまけんきハチマキなどを使ってワンパンされるケースもあるため、あまり信用できないところではあります。
回復については「多少ずらしたところで変わらないよ」と思われるかもしれませんが、ドラパルトex側もそこまで余裕をたっぷり持ってサイドプランを立てているわけではないでしょうし、少しずらせれば勝機が見えるということも十分ありそうだとわたしは思っています。
・案2:回収、トラッシュ
ダメカンばら撒きへの回答その2、回収またはトラッシュです。
手負いのポケモンも盤面から消してしまえばサイドを取られません。古来より伝わるツーパン対策です。特に、200ダメージ乗せられたexやVポケモンを消してしまえれば最高ですね。
崩れたスタジアムは、自分の場が満員であることが条件ですが、任意のポケモンを1匹ベンチからトラッシュに送ることができます。
これによって手負いのポケモンを消し、スタジアムだけでなくドラパルトexのゲームプランをも崩すことができます。ただし回収できるわけではないので、盤面のリソースは減ってしまいます。特に手負いのアタッカーを放逐する場合は、次のアタッカーをしっかり用意しておく必要がありますね。
フトゥー博士のシナリオは、崩れたスタジアムと違ってサポート権を消費してしまいますが、ポケモンのカードだけは手札に回収することができます。
崩れたスタジアムでトラッシュしたポケモンを手札に戻してくる場合、多くのデッキではすごいつりざおで山札に戻してから更にボール等で引いてくる必要があり骨なので、手札に直接戻せるのは利点です。特に進化ポケモンを戻した場合、盤面の進化前ポケモンに重ねてそのまま進化させられることもありますしね。横に広げた盤面で有効活用しやすいサポートです。
ポケモン回収サイクロンはボタンの対象制限をなくしグッズにしたようなカードで、ポケモン回収カードとしてはほぼ最強です。ただACE SPEC枠を取るのが難点で、ドラパルトex対策のためだけに積むのはどうかな?というところでもあります。
ただ、ドラパルトexがトップシェアであるならば十分その価値はありますし、仮にドラパルトexを想定しないとしてもポケモンを回収するというのは汎用性の高い効果なので、採用価値は十分ありそうですね。
回収やトラッシュは回復よりも更に効果が高いです。場から消してしまうわけですから、ダメージをなかったことにできて、半ば全回復するようなものです。しかし、場から消すことで自分の場の完成度は落ちてしまい、立て直す必要が生じうるので、単純に上位互換とは言えません。しかし有用な対策に違いはないと思います。
・案3:無効化
ダメカンばら撒きへの回答その3、無効化です。
ベラカスはベンチポケモンに対するワザのダメージと効果をすべて遮断してくれるので、当然ファントムダイブのダメカン6個乗せも防ぎます。
ファントムダイブのダメカン乗せはダメージではなくワザの効果なのでマナフィで防げず、またジラーチのステラヴェールはたねポケモンによるダメカン乗せしか防げないためファントムダイブはやはり防げません。変幻の仮面環境で頼れるのはベラカスだけです。
それと、進化前のシガロコがHP40とHP50しかいないので、ファントムダイブのダメカン乗せで倒されてしまうリスクがあります。ただ立てられさえすれば、ベラカス1匹倒すためだけにワザを1回使わせられるのは割と大きそうです。ファントムダイブのダメカン乗せはほぼほぼ防がれませんから、わざわざベラカスのためにキャンセルコロンを積むことは稀かと思いますし、ベラカスを倒しながらベンチにダメカンを6個乗せてくることはほぼないと思います。
また、ミストエネルギーもダメカン乗せを無効化できます。
ただし、ミストエネルギーを付けているポケモン限定です。手貼りの権利も使ってしまうのと、改造ハンマーで対策されうることがデメリットですが、デヴォリューションも防げるため、ドラパルトexに対しては比較的強いエネルギーだと思います。部分的な対策ですが、刺さる時は刺さりそうです。
なお、ダメカン乗せや200ダメージによって瀕死状態に追い込まれたポケモンにミストエネルギーを付ける、という手もあります。更なるダメカン乗せによる効率的なサイドプランを妨害できます。ただし、ルチャブルやかがやくフーディンなどの特性によるダメカン乗せは防げませんから、そこは要注意です。
・案4:HP70
現在、HP60の進化前たねポケモンの採用は数多くあります。
ヤミラミのロストマインで2匹同時きぜつというリスクはありますが、それはジラーチで対策できますし、HP60の方がワザが強かったりにげるコストが低かったりする傾向があるので、メリットを重視してHP60採用が多かったです。しかし、ファントムダイブの余波で一撃となってしまう以上、耐久力を優先してHP70の個体を採用することが勝利に繋がる可能性があります。HP80もいるならありですが、なかよしポフィンの対象外になるデメリットが大きすぎる印象はあります。
まぁ、ルチャブルでダメカンを乗せられることでHP70も圏内になってはしまうのですが、要求が高まるだけ幾分かマシだとは思います。ルチャブルの特性はなかよしポフィンやネストボールで出した際には発動しませんから、使う側からしても発動させるのはちょっと面倒ですしね。
ビッパはHP60の「へっちゃらがお」持ちの採用がクリムゾンヘイズ環境までは基本でした。ベンチにいるとダメージを受けない特性は、自分限定のなみのヴェールのようなもので、ベンチ狙撃への耐性を内蔵していて強力ではあるのですが、ファントムダイブのダメカン乗せに対しては無力であり、それならHP70のビッパを採用するのも手です。まぁ、げっこうしゅりけん等に対しては弱くなってしまうので、ドラパルトexの使用率によっては逆効果ですが……
HP70のビッパは2種類いて、どちらもにげる2でありHP60のビッパと比べると機動力に劣ります。そこは違いがないので、ワザがどちらが好きかで決めるといいと思います。エネルギーがいっぱいつけられるデッキなら50ダメージが勝ちに繋がりうる「とっしん」の方でしょうか? わたしは「ころがる」ビッパの方がイラストが好きなので、こちらを優先的に入れたいなと思っています。
なお、ポッポはHP70以上の個体が変幻の仮面環境には存在しないため、ファントムダイブの余波によるきぜつを防ぐことはできません。ただ、HP60個体はいるため、そちらの採用が望ましいと思います。HP50個体を採用すると、ファントムダイブのダメカン6個乗せのうち1個余ったダメカンを他のHP70に乗せられてしまって、次のファントムダイブの圏内に入れられてしまいます。HP50個体の「なかまをよぶ」が強すぎて、こちらを使いたいところではありますけれどもね。
ヒトカゲはHP60のヒートタックルが人気です。大会上位リストを見ていると、4枚ともヒートタックルの構築も珍しくないですよね。
ただ、HP60だとファントムダイブが心配とのことであれば、HP70の個体を優先するのもありです。
HP70なのは上の画像の2匹です。左側はスタジアムを壊せるけど2エネ30点だけ、右側は2エネ40点出せるけどエネルギーのトラッシュが必要です。まぁ一長一短で、30と40はまけんきハチマキ込みでミミッキュをワンパンできるかどうか等の違いはあります。頂への雪道なき今そこまで壊したいスタジアムはない気もしますね。
ちなみに、右のHP70ヒトカゲはプロモーションカードでややお高め、左の方はコモンカードかつ無限に再録されているのでお安く手に入ります。
ルギアデッキでお馴染みのチラチーノ。
その進化前のチラーミィは、「なかまをよぶ」がとても強いことからHP60の個体が採用されがちですが、新しい方のチラーミィはちゃんとHP70あります。安定感の低いルギアにとって「なかまをよぶ」はありがたいのですが、対ドラパルトexのマッチアップが増えてくるならHP70チラーミィの採用もありかなと思っています。
チラーミィはHP70でもにげるコストが高い等はなく、ワザを使わない想定であればHP70が上位互換です。キュートなARもあります。ご検討いかがでしょうか。
ラルトス……は皆さんだいたいテレポートブレイクを採用していると思います。
ただ、HP60のメモリースキップも強いので、テレポートブレイク3のメモリースキップ1あたりで採用している方もおられるかと思います(カビゴンLO対策でテレポートブレイク4も少なくないですが)。変幻の仮面環境になってからはテレポートブレイク4の優位性がより高くなったと思います。
ただ、サーナイトexについてはサイコエンブレイスでダメカンをばら撒くのがファントムダイブと相性が悪く、手負いのフワンテをダメカン乗せで倒しつつ200ダメージで他のポケモンを倒されてしまうリスクがあります。それでも使うのならやはりラルトスは全員HP70がいいかもしれません。
パオジアンデッキのセビエもまた、HP60が主流です。
ワザが強いからというよりは、唯一にげる1なのを買われているイメージです。HP70のセビエはどちらもにげる2ですからね。
ドラパルトex想定でHP70にするのもありでしょう。事故った時に1ドローが五臓六腑に沁みる「もってくる」個体と、50ダメージで弱点を突いてリザードをワンパンできたりする「ひんやり」個体、どちらもありだと思います。
あとはコレクレーもHP50とHP70がいますね。
HP50も2種類いて、どちらもワザは(少なくともHP70よりは)強く、またHP50はにげる1、HP70はにげる2なのですが、ここはにげるコストが重くなってしまっても、HP70の方を採用していいかもしれません。エネルギー加速手段が限られがちなデッキなので、にげるコストの重さはしんどいのですが、ドラパルトexを重く見るなら致し方ありませんね。
HP60以下の採用をやめてHP70にする、というのはシンプルながら効果的な対策だと思います。HP60の強い技や軽いにげるコストを犠牲にすることもありますが、ドラパルトexを重く見るのならありな選択でしょう。特にチラーミィやビッパはクリムゾンヘイズ環境ではほとんどHP60個体しか見ないくらいでしたから、HP70個体を使う選択肢を考え出してもいいかなと思います。ちなみに、変幻の仮面環境3日目にして、既にシティリーグのルギアデッキでHP70チラーミィの採用率が爆増しているようですね。
なんだかんだで環境デッキの進化前たねポケモンってHP70個体がいることが多いですよね。HP70のポッポも出してくれないでしょうか……
PCG1のマッハサーチピジョットもHP40の低耐久ポッポに悩まされましたし(正確にはHP50のポッポがランダムスターター封入で入手困難なことに悩まされた)、そこはある種の宿命なのかもしれません。
・案5:進化促成
HPの低い進化前のたねポケモンがやられてしまうなら、そういったポケモンを場に残して番を返さなければいい、という発想です。
つまり、自分の番の間にエヴォリューションやセイジでさっさと進化させておくことで、ダメカン6個で倒されない1進化へと時計の針を進めておきます。盤面の早期完成によってつけ入る隙をなくすというアプローチですね。
……ただ、セイジはもちろん、エヴォリューションについてもデッキに合う合わないがありますから、進化デッキならみんな使えるわけではないでしょう。ピジョリザはエヴォリューション使いにくいうえに、序盤はロトムVでそくせきじゅうでんしたいですしね。ただ、デッキによっては先2ファントムダイブで試合を破壊されないよう、後攻を取った時の保険としてエヴォリューションを入れておくというのもありかな、とわたしは思います。
■まとめ
・ドラパルトexはファントムダイブによるダメカンばら撒きが脅威であり、そこへの対策が重要となる。ここでは、その手段をいくつか考えた。
・案1:回復でばら撒かれたダメカンを取り除く。かがやくアマージョやきんきゅうゼリーなどが有効で、本来耐えられない攻撃を耐えることで勝機が生まれる。
・案2:手負いのポケモンを回収またはトラッシュする。崩れたスタジアムやフトゥー博士のシナリオが該当し、ドラパルトex側のサイドプランを崩して優位に立てる。
・案3:ダメカンばら撒きの無効化。ベラカスでベンチを守ったり、ミストエネルギーを付けたポケモンに対するダメカン乗せを防いだりできる。前者は1進化、後者は1匹だけという制限があり、不完全ではあるものの、サイドレースを有利に進められる公算がある。
・案4:進化前たねポケモンをHP60以下ではなくHP70にする。現環境の進化ポケモンはHP60以下の個体もけっこう採用されているものの、進化前たねポケモンはHP70の個体もちゃんといることが多く、ワザの強さやにげるコストを犠牲にすることでファントムダイブへの耐性を高められる。
・案5:エヴォリューションやセイジにより、自分の番のうちにポケモンを早期進化させ、ダメカンを6~7個乗せられても耐えられるようにする。使えるデッキが限られるのと、やるにしてもワザやサポート権を費やす必要があるのが欠点。
……といった塩梅です。
いずれも完璧な対策ではないかもしれませんが、弱点無しのHP320と耐性面に隙が少なく、またHP320をワンパンできるデッキも限られていることを考えると、多くのデッキにとっての汎用的な対策というのは攻撃面ではなくむしろ防御面、ファントムダイブによって容易に壊されない盤面を築き上げるという点にあるのではないかと、わたしは思います。
まぁ、スグリが追加されたことでダメージを増やす手段が増え、マキシマムベルト+スグリの80ダメージアップでHP320をワンパンできるポケモンも増えた気はしますが、そのあたりの攻撃面でのアプローチについてはまたの機会に考えてみたいと思います。
(2024年5月1日追記)
続きも書きました。見てもらえると嬉しいです。
それでは、また。
※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。
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