ヤドキング(ひらめきチャレンジ)発表時考察

 2024年7月19日発売の新拡張「ステラミラクル」の新カードが発表されました。
yadoking
 ヤドキング(ひらめきチャレンジ)です。
 この手の「他のポケモンのワザが使えるポケモン」、好きですか? わたしは大好きです。
 ワザ「ひらめきチャレンジ」は、山札の一番上のカードをトラッシュし、それがポケモンであったならそのワザを使うことができます。
 今回、このカードについて考えてみたいと思います。よろしくお願いします。
 
・非ルールのワザコピー持ちとして非常に優秀
 エネルギーを踏み倒して味方のワザをコピーできるポケモンは稀です。
 過去のポケモンでいうとミュウEXミュウ(ロストリンク)が理論上すべてのワザを使えるのですが、エネルギーを踏み倒せませんし、ミュウexは踏み倒せますが相手のワザしか使えないのでパフォーマンスに安定感がありません。
 レジドラゴVSTARがドラゴンポケモンに限り味方のワザを踏み倒して使えますが、本体がVSTARでルール持ちですし、踏み倒すといっても草草炎の3エネなので、言うほど踏み倒せません。キュレムのトライフロストでようやく2エネ踏み倒しですね。ただ、それですらナイトワンダラー環境で強いのは周知の通りです。
 エネルギーを踏み倒して味方のワザをコピーすることが難しいというのは、考えてみれば当然のことです。
 ポケモンのワザというのはそのポケモンの持っているルール、進化の段階、進化系の強さ、タイプ相性、環境の立ち位置、他のワザや特性などを考慮して、慎重に与えられるものです。極端な話、ビッパがファントムダイブできたらゲームが破壊されますからね。
 ただ、そんな繊細な調整をされているがゆえに、そこを踏み倒して色々使えるというのはロマンに満ちたワザであり、同時に極めて高いポテンシャルを秘めたワザでもあります。
 ひらめきチャレンジ、2エネですからね。超無なのでダブルターボエネルギーでは起動できませんが、超エネルギーはネイティオやらサーナイトexやらで比較的簡単に踏み倒せますし、なんならリバーサルエネルギー1枚で起動することもできます。ワザのエネルギーを踏み倒し放題ですし、1進化の身でありながら2進化の5エネワザも使い放題です。
 まぁ、いいところばかり言うのもアレなので、悪いところも挙げますが、やはり条件が厳しい(後述)のと、ルールを持つポケモンのワザは使えないこと、あとはワザを使ったポケモンがトラッシュされてしまうことでしょうか。
 レジドラゴVSTARは、使いたいワザを持つドラゴンポケモンは一度トラッシュに投げ込めばその試合中ずっと使えるんですが、ヤドキングの場合は一度使っても次に使う時はまた山札の上に置かないといけませんから、けっこう面倒そうです。本当にそれだけやってられるならいいんですが、崩された盤面を立て直しながら山札の上まで操作するとなると、けっこう大変そうです。
 
・山札の一番上のポケモンを消費するという条件について
 ひらめきチャレンジ、非ルールの味方のワザなら2エネでなんでも使える代償に、条件が面倒です。
 山札の一番上をトラッシュして、それがポケモンだったならばそのワザが使える……というのは、基本的には山札の上に事前に仕込む前提のワザであり、テキトーに使って強いワザではありません。
 ただ、ステラミラクル環境では、山札の上にポケモンを仕込む手段はいくつかあります。
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 その1、暗号マニアの解読
 預言者やマオといったデッキトップ操作サポートの系譜で、山札にある好きなカード2枚を山札の上に任意の順番で置けます。つまり、山札にありさえすればどんなポケモンでも置き放題、すなわちどんなワザでも使い放題ということですね。
 とても確実性の高い手段なのですが、サポート権を使うという弱点があります。大量ドロー、手札干渉、ベンチ呼び出しなどサポートでやりたいことはいくらでもありますが、その番のそれを放棄してひらめきチャレンジの準備に費やさないといけないということです。割としんどめですね。
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 その2、夜のアカデミー
 自分の手札1枚を山札の上に置くことができるスタジアムで、これによって手札にあるポケモンのワザをヤドキングに使わせることができます。サポート権を使わないのが大きなメリットですが、使いたいワザを持つポケモンを別途ハイパーボールなどで手札に加えてくる必要があります。
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 その3、シマボシ
 コイントス依存ですが、75%の確率でトラッシュにあるポケモンを少なくとも1枚は自分の山札の上に置けますから、すなわち75%の確率でトラッシュにあるポケモンのワザを使えるサポートとして活用できます。
 25%で空振りするのが怖いですが、ひらめきチャレンジで一度ワザを使ったらそのポケモンはトラッシュされますから、ワザを使い直すのに便利な方法ではあります。ただ、やはりサポート権を使うのと、夜コンボこと夜のタンカ+夜のアカデミーで同じことができるので、そっちの方がいいかなとも思いますね。
 あとはレホール先生もいますが、上から5枚見て並び替えるのはあまり強くないというか、先生を使うなら暗号マニアの解読でいい気がするので、割愛します。テツノブジン(えんざん)ポリゴン(ぶんきけいさん)も並び替えられますが、ワザで並び替えた番はひらめきチャレンジできないのが弱いと思います。テツノブジンのマジェスティソードは暗号マニアの解読と噛み合ってはいますけれどもね。
 ……といった具合です。
 まぁ、夜のアカデミーを軸にして暗号マニアの解読も積む、あたりが落としどころでしょうか。
 手札トラッシュが重いとはいえ、ポケモンについてはグッズのハイパーボールでサーチがききますから、ポケモンサーチの枚数を調整すれば夜のアカデミーで好きなワザを使うこと自体はそこまで非現実的ではないような気もします。

 

・踏み倒したいワザについて
 ワザをなんでも使えるとなると、必然的に使いたいワザは決まってきます。
 レジドラゴVSTARデッキが参考になりますが、要するに高火力ワザ、範囲攻撃ワザ、防御ワザ等々ですね。ただ、全く同じとも言い切れない部分があるのが難しいところです。
 いくつか実例を見ながら考えてみたいと思います。
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 ローブシン(ガッツスイング)は、高火力枠です。
 デメリットなしの250ダメージを放てますから、ガチグマ アカツキexを除くたねex/Vポケモンを一発で倒せますし、こだわりベルトがあればVSTARポケモンも一発、まけんきハチマキマキシマムベルトで1進化exポケモンも一発でしょう。
 レジドラゴVSTARはオノノクス(りゅうのはどう)の230ダメージを使っていますが、あちらは山札の上から3枚トラッシュのデメリットがありますから、タイプを選ばないヤドキングであればこちらの方が強いです。まぁ、特殊エネ対策のアックスダウンも使いたいならオノノクスもいいんですけどね。
 なお、非ルールの高火力といえばオーダイル(おおなみ)の280ダメージなのですが、特性がないと160ダメージまでしか出せませんから、採用価値は無いと思います。

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 カイリュー(エナジーハリケーン)は、中火力+エネ加速枠です。
 レジドラゴVSTARでも稀に採用のあるカードですが、小型のシステム系ex/Vに届く180ダメージを放ちつつ、山札から盤面に3エネ加速できるのが優秀です。
 もっとも、レジドラゴVSTARもあまり採用していないうえ、ひらめきチャレンジはりゅうむそうよりも軽い2エネ&1色ですから、採用価値が高いかというと高くないかなとは思います。まぁ、盤面のヤドンにエネを付けておけばトップ操作に集中できるのは悪くないのかもしれません。
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 キュレム(トライフロスト)は、範囲攻撃枠です。
 レジドラゴVSTARも愛用している強力な範囲攻撃ワザマシンです。たねポケモンなのでキュレムスタートしてしまうリスクがあるのが玉に瑕ですが、他の進化ポケモンはトライフロストより強い範囲攻撃を持っていないですから、仕方ありませんね。
 小粒なポケモンを並べるデッキに対する切り札になりますから、1枚は採用しておきたいカードかなと思います。
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 クロバット(クリティカルバイト)は、サイドレース枠です。
 ごっつあんプリファイの120ダメージと比べると30ダメージは弱いんですが、なんとサイドを2枚余分に取れるという、サイドレースについてごっつあんプリファイを上回る効果を有しています。
 ……もっとも、HPを30以下にしないといけないので、仕込みが大変ですけどね。ベンチも狙えるのがいいところではあります。かがやくゲッコウガをキュレムのトライフロストで削ってクリティカルバイトでトドメ、みたいなのは1つ考えられる動きではありますね。
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 ニドクイン(クイーンプレス)は、防御枠です。
 あとは1ターン無敵のテラキオン(がんくつタックル)、特性持ちから無敵のヤナッキー(つっぱりニードル)等もあります……が、これ系統は基本あまり強くないと思います。
 理由は簡単で、レジドラゴVSTARと違って使い切りだからですね。レジドラゴVSTARは盤面を1匹だけにしてオンバーンexのおんみつひこうを擦っているだけで進化ポケモン不在のデッキに勝てますが、ヤドキングはいちいち山札の上に使いたいワザを持つポケモンを置かないといけませんし、ワザを使うとトラッシュされてしまいますから、延々同じワザを使い回すことができず、詰ませる戦法が困難です。
 これは、ドータクン(しんかジャマー)クロバット(マッドエコー)などのロック系にも同じことが言えます。ワザを撃てる回数が限られるうえに下準備も面倒な都合上、回数を重ねる耐久戦術がイマイチであり、ワザ一発でどれだけ勝ちに近づけるかというのが1つ要点になりそうです。
 まぁ、使い回しに特化するなら、テラキオン(がんくつタックル)4積み、夜のアカデミー4積み、夜のタンカ4積み、みたいな構築もできるとは思いますが、ただ結局大量に積んでも安定して毎ターン使うにはサポート役のポケモンがいないとしんどいので、盤面を単騎にしつつひらめきチャレンジを連発するのは困難な気がしますね。
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 ペンドラーは、HP10+どくのコンボ要員です。
 アラブルタケブーストエナジー 古代との組み合わせにより、どんな大型ポケモンも一発で倒せます。過去にも似たようなコンボは多くありつつもほぼ使われていないのが微妙なところではありますが、手間の割に非ルールに刺さらないのも理由の1つだと思うので、あくまでサブプランとしての採用ならありかもしれません。ヤドキングは非ルール相手にトライフロストがありますからね。
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 コノヨザルは、終盤戦で強いポケモンです。
 相手のサイドが2枚なら280ダメージを出してくれます。1枚だと350ダメージになって2進化exも倒せます。ただ、相手のサイドが1枚ならヤドラン(たそがれのひらめき)の方が強そうですし、3枚以上ならローブシン(ガッツスイング)でいいので、中途半端な感じは否めませんね。
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 ランクルスは、進化ポケモン展開要員です。
 ……が、ヤドキングとは噛み合いが悪いようにも思います。
 ヤドキングは強い非ルールポケモンのワザを踏み倒せるのが強いわけですから、ヤドキングデッキに入れるポケモンはワザに必要なエネルギー度外視でとにかくワザが強いポケモンが好まれるでしょう。
 しかし、ランクルスで4エネ250ダメージみたいな大型2進化アタッカーを出したところで4エネも付ける準備はないですからね。リバーサルエネルギーは付けられますが……
 あと、ランクルスを使って強い動きって「強力な特性を持った2進化を出しまくって、普通の構築ではありえないシナジーが得られる」みたいなところがあると思うんですが、ヤドキング側は特性の強さは度外視ですし、特性が超強いポケモンはワザがあまり強くない傾向にありますから、やはりちぐはぐに感じます。
 まぁ、リバーサルエネルギーで動かせたり、超以外の弱点を突く選択肢が生まれたりと、独自の強みもあるにはありますが、ヤドキングとランクルスはどっちか片方だけの方がおさまりがいいように個人的には感じます。

 

・優秀な分岐進化先の存在

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 ヤドラン(たそがれのひらめき)は、ゾロアーク(げんえいへんげ)のデッキや、リバーサルエネルギーを軸にしたサーナイトexデッキ(いわゆるリバサナ)等でも採用された実績のある強力なカードです。
 そんなつよつよポケモンが分岐進化先にいるのはありがたいことです。もちろん使って試合を決めるのも強いですし、対戦相手からすればヤドキングデッキ相手にサイド枚数1-2の状況を作りたくないので、仮に積んでいなくても相手のプレイが歪む可能性はあります。まぁ、積んでよさそうなカードに見えますけれどもね。
 なお、たそがれのひらめきはヤドランに進化して使ってもいいですし、当然ひらめきチャレンジでヤドランをトラッシュして使ってもいいですから、割と器用に動けますね。



・ヤドンについて
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 新ヤドンです。
 「しっぽをたらす」はヤドキングと噛み合ってはいますが、ワザとしてはあまり使いたくない(毎ターンひらめきチャレンジしたいので)ですし、何よりなかよしポフィンでサーチできないので強くないと思います。
 幸い、他にもヤドンはいますから、そちらを採用するのが丸そうです。
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 他の超ヤドン、2種類いますがどちらもHP80です。にげるは3と2でそれぞれ違います。
 超タイプのヤドンを使いたいなら、なかよしポフィンはあきらめる必要がありそうですね。
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041700_P_YADON
 水ヤドンも2匹いて、どちらもHP70です。
 雷弱点でにげる2なのも同じなので、どちらを採用してもよさそうです。
 水エネはおそらく採用しませんから、無色1個でHP30回復なのはどちらも同じであり、本当にほぼ差はないんですが、あえて言うなら眠らないヤドン(じっとする)の方がわずかに強いかもしれません。
 なお、水タイプなので一応カイでもサーチができます。

 

・サーナイトexでの採用
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 サーナイトexデッキはベンチ攻撃は強くても範囲攻撃はさほどでした。
 しかし、ヤドキングを採用することで範囲攻撃をカバーできます。超タイプなので、サイコエンブレイスに対応しているのも偉いですね。
 仮に入れるとするなら、ヤドン1、ヤドキング1、キュレム1、暗号マニアの解読1あたりでしょうか。暗号マニアは元々キルリア(リファイン)と相性がいいですから、採用の余地もあるでしょう。
 ただ、けっこう枠をしっかり取るため、「そこまでしてトライフロストを撃ちたい環境か否か」が要点になりそうです。2ターン目にトライフロストを撃つのが現実的なレジドラゴVSTARと異なり、サーナイトexデッキで2ターン目にトライフロストするのは至難のワザですから、進化デッキを想定していてもサーナイトexデッキでさぁトライフロストするぞと思った時にはもう刺さるポケモンがいなくなっている……かもしれません。
 まとめます。
・非ルール限定とはいえ2エネでワザを使い放題のヤドキングはすごい可能性を秘めている。
・山札の上にポケモンを置かないといけない条件が大変だけど、暗号マニアの解読や夜のアカデミー、シマボシなど色々やりようはある。
・無反動250ダメージとか110ダメージ×3とか、けっこう強いワザは揃っている。レジドラゴVSTARでは使えない、サイドを2枚追加で取るワザとか相手のHPを10にするワザとかもある。
ヤドラン(たそがれのひらめき)という強い分岐進化先があるのも頼もしい。
・ヤドンは新カードのHP80を使うよりも、HP70の水タイプを採用した方が、なかよしポフィンでサーチもできていいかも。
・サーナイトexデッキに1-1で積んでトライフロスト要員にするのも、環境次第ではなくはないかも。(一応フワンテやサケブシッポをトラッシュして300ダメージやベンチ200ダメージも出せる)
・今後、非ルールで強い技を持つポケモンが増えるとパワーが増すので、ステラミラクルが出た瞬間強いというよりは、今後に期待できそうなポケモンだと思う。
 ……という感じです。
 それでは、また。

※本記事の画像はポケモンカードトレーナーウェブサイトからの引用です。

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