異能チームと車とマンモスの夢

 夢を見ました。
 漫画やアニメに出てくるような、異能力者(超能力者)。
 わたしもその1人で、どうやら「能力者は1人につき1つの異能を持つ」という仕組みのようでした。
 そして、わたしは能力者の一員として、とある任務に向かうことを命じられました。そのために、自身が属している能力者グループのうち4人で一時的にチームとなり、車に乗ることになりました。
 わたしは正直、気が進みませんでした。本拠地でバックアップの方が性に合っているというか。能力者チームとして派遣される時点で危険が満点なのは言うまでもありません。
 しかし、グループに属する以上は命令に逆らえず、わたしはしぶしぶ後部座席に乗り込みました。
 運転席、助手席にも能力者が座り、そしてトランクにも1人能力者の男性が乗りました。トランクと後部座席はさほど大きく遮られてはおらず、半分後部座席みたいな印象のトランクでした。もっとも、座席はありませんでしたけれども。
 トランクの能力者は不平を述べました。なぜ自分は後部座席じゃないのかと。そして、わたしに対して半ば敵視するような視線を送ってきました。上の命令で座っているだけなので、わたしをねめつけられても困りますし、わたしは後部座席どころかそもそも車に乗りたくなかったのです。
 ただ、野心家で功名心の強い彼を前にそんなことを言っても神経を逆撫でしてしまうかもしれずよくないと思ったため、わたしは無言で嘆息するばかりでした。
 やがて車は走り出し、目的地への道のりにつきました。
 窓の外はまぁ普通の街中という感じで、荒廃した世界だとか、ポストアポカリプスだとか、そういった風情ではない現代日本の日中の街並みでした。
 座って到着を待っていたわたしでしたが、目的地に到着する前に異変は起こりました。
 頭の中に話し声が響きます。男性の声。何かを語りかけてくるような。
 それが敵の精神支配能力者のものであることを直感した時、既に車内に異変が生じていることに気づきました。
 助手席に座っている能力者男性の右手が震えています。彼は拳銃を使う能力者のようですが、既に右手には拳銃が握られており、まるで意に反して動き出そうとする右手を制止しているように見えました。
 敵の意図を察したわたしは、彼の右手を強くつかみ、思いきり押し下げました。誰を狙っていたのかは定かではありませんが(ふつうは運転手でしょうけれど)、発射された弾丸は誰に当たることもなく、車の座席を貫き、トランクの能力者の横をかすめました。わたしは安堵に胸を撫で下ろしました。
 こちらもやられっぱなしではありません。
 運転手かトランクの能力者か、はたまたここにいないバックアップの味方かは分かりませんが、いずれかの味方が精神支配能力者に対して精神支配を試みたようでした。その効果は敵の精神支配能力者から頭に響いてくる声を通じてわたしにも伝わりました。
 虚を突かれたのか、精神支配能力者の声は急に乱れ、「脳が、かゆい!!」という絶叫が一度頭の中で響いた後、もう声は聞こえなくなりました。
 ようやく一安心か、と思いきや、すぐに第二波の攻撃が訪れました。
 車の後ろの景色、そこにある家々や道路がめくれあがり、地中からマンモスのゾンビの大群が車めがけて押し寄せてきたのです。
 トランクの能力者は窓越しにマンモスゾンビの大群を見て驚愕するも、特に何もできないようでした。助手席の能力者も銃を構える様子はありません。まぁ、大群ですし、1匹や2匹撃ったところで意味がないのかもしれません。
 車は速度を上げますが、逃げ切ることはできそうにありません。マンモスと車との距離が縮んでいきます。
 わたしは小さく嘆息しました。
 「しょうがないな。使いたくなかったんだけど……」
 そう言って、わたしは車の窓越しにマンモスの大群を見据えました。
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 目が覚めました。

 ……えっ、わたしの能力は??という感じですが、目が覚めてしまったので分かりません。そんなのありですか? すごく見たかったんですが……
 でも、楽しい夢でした。いつか、続きが見てみたいものですね。

 それでは、また。

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