ポケカ:ミロカロス(なぎのきょうち)発表時考察

 新拡張「変幻の仮面」の新カードが発表されました。
milotic
 ミロカロスです。特性なぎのきょうちが特徴的。
 相手の場のポケモンとついている全てのカードについて、手札に戻せなくします。このカードの強さについて考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

・カビゴンLO対策になる?
 なりえますが、イマイチだと思います。
 たしかにカビゴンLOのボタンによる回収は封じることができますが、そもそもミロカロス自身が攻撃に水エネを必要とするポケモンなので、水エネ不採用のデッキだと縛られるリスクがあります。カビゴンLO対策にデッキを2枠割いて縛られるミロカロスを出すくらいなら、縛られないミカルゲ(しっこくのわざわい)に1枠使った方がいいかもしれません。
 逆に言うと、カビゴンのロックを逃れるためにフトゥー博士のシナリオを使うという手があり、一昔前のサーナイトexデッキなんかはともだちてちょうも絡めて2回フトゥー博士のシナリオを使うことで勝ち筋をたぐり寄せる、という戦い方がありましたが、カビゴンLO側がミロカロスを採用することでそういった動きを封じられます。
 また、カビゴンLO対策として採用されうるミカルゲ(しっこくのわざわい)がワザ「ぱっときえる」で手札に戻るのを封じられるため、カビゴンLO側からするとミカルゲを縛れるようになるというメリットがあります。
 カビゴンLO対策になりうる可能性はありますが、カビゴンLO側としても採用価値があるのは面白いですね。まぁ、いずれにしても2枠割く必要があるというのをどう考えるか次第ではありますが……

 

・特定のワザの対策にはなる?
 手札にエネルギーやポケモンを戻す系のワザについては、基本的に「ワザは使えるが、戻せない」という処理になると思われます。
 これは、バリヤード(かいしゅうふうじ)ウルガモスGX(バックファイヤー)の件で過去に裁定がありますので、それに倣うなら今回も同じ処理でしょう。
 なので、場のエネルギー等を戻すことが重要なワザであれば有効に働くでしょうけど(n枚戻して50nダメージ、みたいな)、ただ強いワザのデメリット効果として付いているだけなら、あまり意味はないでしょう。むしろ逆利用されてしまいます。
 現在、「好きなだけ場のポケモンのエネルギーを手札に戻して、戻した枚数×40ダメージ」みたいなワザは環境デッキに採用されていませんし、「望むならこのポケモンのエネルギーを2個手札に戻して、100ダメージ追加」みたいなワザもあまりなかったような気がします。ヒスイドレディアVSTARがそういうワザを持っていますが、まぁメジャーではないですよね。
 カイオーガのダイナミックウェーブは3個戻してどこでも180ダメージですが、これについては「3個戻す。その後~」とか「3個戻すなら使える。」みたいな書き方ではないので、エネルギーを手札に戻さずにどこでも180ダメージが出せるかと思います。ミロカロス側からするとあまりおいしい処理ではないですね。
 ポケモン自身を戻すワザについても、戻ることを封じられはしますが、2024/3/30の環境ではそれが主力のデッキはあまり無いでしょうか……オトシドリexがそういうワザを持っていますが、オトシドリex自体あまり見ませんしね。
 ちなみに、ネオラントVのアクアリターンは自身を山札に戻すワザなので、ミロカロスでは封じられません。あくまで手札に戻せないだけで、山札には戻せるからです。
 
・盤面整理で負け筋を消す戦法の対策にはなる?
 ボタンやフトゥー博士のシナリオを封じられるため、盤面から負け筋になる手負いのリザードンexやネオラントVを消す戦い方について、ミロカロスは対策になります。盤面にダメージを溜めておくことの多そうなゲッコウガex等では活用しやすいかもしれませんね。
 ただ、対策になりきらないところもあります。
 ころころルギアなんかもそうですが、「盤面から負け筋になるポケモンを消す」という動きについては、ボタンやフトゥー博士よりも崩れたスタジアムが採用される傾向にあります。崩れたスタジアムはサポート権を消費しない点や相手のスタジアムを壊せる点で優れており、回収したカードを再利用することに重点を置かない場合、ボタンやフトゥー博士のシナリオよりも優先的に採用されているように感じます。
 崩れたスタジアムでの盤面整理をも封じられるならとっても強いのですが、こちらを防げないとなると負け筋潰しの盤面整理への対策としてはやや片手落ちな感じがしなくもありません。
 
・ミロカロスを使う場合の注意点
 ミロカロスの効果は手札に戻そうとする側がどちらであるかを問わないため、ミロカロスを使う側が相手の盤面のカードを手札に戻す効果を使う場合、それもまた封じられてしまいます。
 ミロカロスが自分の場にいる限り、デヴォリューションで相手のポケモンは退化しませんし、サカキのカリスマで相手のバトルポケモンのエネルギーは戻せません。ただ、あくまで手札に戻せないだけなので、スター団のしたっぱで相手のバトルポケモンのエネルギーを相手の山札の上に戻すことはできます。
 実際使うのであれば、効果範囲についてはしっかり把握しておく必要があるでしょうね。
 なお、デヴォリューションについては「はがして退化させる。はがしたカードは、相手の手札に戻す」という記載であり、「手札に戻せないだけで、はがされて退化はするのでは?」と思われるかもしれませんが、似たような効果のジュペッタ(たいかののろい)×バリヤードで「そもそも退化させられない」という裁定が下っているので、デヴォリューションも同様に退化しないと思います。
・ミロカロスを使われた場合の注意点
 ボタンやフトゥー博士のシナリオについて、前例に倣うのであれば「使えない」ではなく「使えるが、特性で戻す効果が打ち消されて何も起こらない」という処理になると思われます。
 ポケカでは明らかに処理を行えないカードは使えない原則(例:相手のベンチがいないのにボスの指令は使えない)がありますが、処理を特性で封じられる場合は「使えるが打ち消される」という処理になります。同様の前例がいくつもあります。(アブリボン×グズマとか)
 そのため、相手のベンチにミロカロスがいるのにフトゥー博士のシナリオを宣言してしまった、という場合、お友達との対戦なら巻き戻しもできるでしょうけれど、ガチの大会となると「あ、言っちゃいましたね?」と巻き戻しを許可されない可能性がありますし、対戦相手には当然その権利があります。その場合、サポート権とサポート1枚を失いつつ何も起こらないという大きなデメリットを生じるため、ミロカロスを出された場合は要注意でしょうね。
・総評
 現状、そこまで強くなさそうな印象です。
 回収ネットのような万能回収カードが大流行しているとか、あるいは崩れたスタジアムが存在せず盤面整理については手札への回収しかまともな方法がないとかなら、2枠割いてそれを封じる価値もあると思いますが、現状2枠割くなら自分の勝ち筋を太くするよう構築を練った方が強くなりそうな気がします。
 カビゴンLO対策になるかもという点で注目されている部分もあるかもしれませんが、ミロカロス自身が縛られるリスクを持つ以上は微妙な気がします。水エネルギーを採用しているデッキならあるいは、ですけれどもね。
 それでは、また。

※本記事の画像はポケモンカードトレーナーズウェブサイトからの引用です。

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