シレン6とマゼルンと怪盗ペリカン

 2023/9/14のニンテンドーダイレクトで、風来のシレン6の発売予定が告知されました。
 発売日は2024/1/25、ハードはニンテンドースイッチです。
 正直なところ、シリーズは息を引き取ったと勝手に思っていたので、シレン2かアスカのリメイクがそのうち出たら嬉しいな、くらいの気持ちだったのですが、新作とはまたびっくりですね。シレン5がDSですから、何年前?ってなりますね。13年前らしいです。

 そんなシレン6の告知動画で、みんな大好きな1匹のモンスターが映りました。

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 マゼルン。
 今でこそ当たり前になった、異種合成のモンスターです。
 異種合成というのは、剣と草、盾と巻物など別の種類のアイテムを合成することで、シレン2が初出です。シレン2ではマゼルンが異種合成をするモンスターとして登場したため、マゼルンといえば異種合成の本家本元、ということですね。
 そして一方で、外伝の「アスカ見参」に出てきた異種合成モンスターがいて、それが「怪盗ペリカン」です。

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 怪盗ペリカン。
 怪盗ペリカンは、マゼルンを更に洗練したようなモンスターですが、登場したのは「アスカ見参」の1作品きりです。
 そのあたりを少し書いていきたいと思います。
・マゼルンの能力
 マゼルンは、投げつけられたアイテムを食べて、お腹の中で合成します。
 進化系があり、マゼルンが容量2、マゼモンが容量3、マゼゴンが容量4でした。
 アイテムを食べるたびにマゼルンの攻撃力が上がるため、異種合成をガンガンしていきたいけれど、アイテムを食べさせるたびに強くなるので、頑張って合成すればするほど対処が難しくなる……というモンスターだったんだと思います。コンセプト的には。間違った指針ではないと思います。
 ですが、マゼルンはおいしすぎたのです。
 合成ができると、冒険はかなり楽になります。武器に薬草、命の草、弟切草を混ぜると回復の剣になりますが、この回復の剣は与えたダメージの1/3(余剰ダメージは除く)だけシレンのHPを回復するという、規格外の性能を持っています。
 ここまでの外れ値でなくとも、合成によって冒険がグッと楽になることは多く、異種合成には大きな価値がありました。なので、飛び道具を持たず等速で直接攻撃してくるだけのマゼルン系統の攻撃力が多少上がったところで、いくらでも対応のしようがありますし、アイテムを使って対処するだけの価値が十二分にありました。異種合成ができるなら、鈍足の杖を1回振る価値は十分にあります。
 なので、マゼルン系統は基本的にボーナスモンスターでした。
 もう異種合成いらないよ!という状況ならば、飛び道具を何度か無効化する(無効化するたびに攻撃力が上がる)面倒な敵なんですが、基礎攻撃力はそこまで高くないため、合成せずに殴り合う分には大して怖い敵でもありませんでした。
 でも、別にボーナスモンスターだっていいと思います。そもそもシリーズには純然たるボーナスモンスターみたいなぴーたん系統、Mrブーン系統などがいますからね。出会うと嬉しいモンスターだって、十分いてもいいでしょう。
 なお、マゼルンはシレン2以降もよく登場していて、4と5では特定の状態異常の時はアイテムを食べてくれないという性質を持ち、若干強化されてはいるんですが、おおむねボーナスモンスターであることには変わりありません。
・怪盗ペリカンの能力
 怪盗ペリカンは、基本性能としてはシレン2のマゼルンと変わりません。
 進化系があり、怪盗ペリカンは容量2、怪盗ペリカン2世は容量3、怪盗ペリカン3世は容量4、怪盗ペリカン4世は容量5です。n世の容量はn+1、です。
 ただ、怪盗ペリカンは「投げつけられたものを食べる」「食べるたびに攻撃力が上がる」というマゼルンの性能に加えて、特殊な性質を持ちます。
 それが、「プレイヤーの持ち物を勝手に食べる」。要するに、こっちの持っているアイテムを盗んでくるんです。この特殊能力は隣接していると高確率で使ってくるため、通路で出会い頭にアイテムを食べられることはよくあります。
 こうなると厄介です。容量2の怪盗ペリカンに武器と盾以外を食べられるともう合成ができませんし、容量3以上だとまだ合成の余裕はありますが、しょうもない武器や盾を食べられていると合成の手順を迷いますし、そもそも攻撃力が上がっていてこっちのアイテムを勝手に食べてくるペリカンと隣接しているので、単純に対処が面倒です。
 しかも怪盗ペリカン3世以上は倍速になっており、通路などで出会い頭にアイテムを食べられるリスクが更に上がっています。倍速でパワーアップするため、盾が弱いとペリカンにつつかれて倒れてしまいます。マゼルン同様、素の攻撃力は大したことないですが、勝手に食べて勝手にパワーアップするのが厄介ですね。
 まぁそれでも一対一ならやりようはあるんですが、部屋で複数のモンスターと戦っている時に脇から滑りこんできてアイテムをパクパクされると結構しんどいです。しかも、アイテムを食べた怪盗ペリカンは逃げるようになるので、ペリカンアタックでボコボコにされるリスクもあり、大事なアイテムを盗んで逃げまわることで取り戻せなくなるリスクもあり……怪盗ペリカンを倒すと食べられたアイテムは床に落ちるんですが、水路フロアだと水没して取り戻せなくなってしまうこともあります。
 だいぶ厄介になっていますが、それでも異種合成可能な唯一のモンスターなので、ボーナスモンスターであることは変わりません。マゼルンほどではないですが、おいしい1匹です。
 そのためかアスカ見参では出現率が絞られており、特に裏白蛇の怪盗ペリカン系統は他のモンスターの5分の1になっています。露骨に出現率が下げられているうえに、アイテムを盗む性質のせいで、出会っても合成できるかは分かりません。
 上手に合成するには部屋で待ち伏せしたり、「あかりの巻物」で通路の先まで見えるようにしたりと、工夫が必要になっています。
 ちなみに、他のモンスターに化ける「ハヤブサ天狗」と怪盗ペリカン2世が同時に出現するフロアがあり、ペリカンと思ってアイテムを投げたら天狗の脳天に突き刺さってロストするという、意地悪なトラップもあったりします。まぁ、これ自体はシレン2でもなりきりマスクがマゼゴンに化けるという似たシチュエーションがあるんですが、ペリカンは出現率が低いので余計に気落ちしますね。

 さて。
 このマゼルンと怪盗ペリカン、どちらがバランスのいいモンスターかというと、怪盗ペリカンだと思います。
 マゼルンはかなりボーナスモンスター寄りです。異種合成ができるというメリットが大きすぎて、飛び道具が効きにくいとかアイテムを食べてパワーアップするだとかのプレイヤーに不利に働く要素が、ほとんど問題になりません。
 一方で、怪盗ペリカンもボーナスモンスター寄りながら、御しがたい難敵でもあります。異種合成のメリットは大きいですが、勝手にアイテムを食べて異種合成を邪魔したり、逃げ回ってアイテムの回収が難しくなったりします。更には出現率もぎゅっと絞られており、プレイヤーは怪盗ペリカンを上手に利用したり、怪盗ペリカンが出るフロアで粘れるように下準備したりする必要があり、ダンジョン攻略に深みを加えています。

 ただ、怪盗ペリカンはアスカ見参以外には出ませんでした。
 あくまで外伝のキャラだから? それもあるかもしれません。しかし、怪盗ペリカンにはデザイン上の弱点があります。
 それは、「複雑すぎる」ということです。

・投げつけられたアイテムを食べる。
・食べるたびに攻撃力が上がる。
・食べたアイテムを合成する。この合成は異種のアイテムでも成功する。
・食べられるアイテムの数は、進化系ごとのレベル+1個まで。
・隣接したプレイヤーのアイテムを勝手に食べることがある。
・アイテムを1個以上食べていると逃げ出すことがある。
・レベル3以上は倍速。

 能力を書き出すとこんな感じです。
 青がマゼルンと怪盗ペリカンの共通点赤が怪盗ペリカンだけの性質です。
 そう、怪盗ペリカンはややこしいんです。マゼルンを知っていれば、プラスアルファで怪盗要素が加わったんだな、とすんなり理解できるんですが、マゼルンを知らないと特殊な性質が多すぎて混乱してしまうんですよね。初心者泣かせです。
 まぁ、初心者でも何度か見ていれば分かってくるんですが、直感的ではなく、マゼルンの方が「出会って嬉しいボーナスモンスター」として分かりやすく、またボーナス面を差し引いても飛び道具無効という敵としての厄介さも内包しています。
 アスカ見参自体、初心者向けダンジョンが少なめで、シレン2ではクリア後要素だった罠師のダンジョンやモンスター利用(モンスターの壺/エレキ箱)のダンジョンをストーリー中にやらされたりと、全体的に玄人向けなところがありました。
 怪盗ペリカンの性能に関しても、マゼルンより理に適っていて仕様としての完成度が高い一方で、初心者にとっての理解のしやすさという点では劣ります。ある意味アスカ見参の象徴ともいえる1匹ですね。

 ……という感じです。
 わたしは怪盗ペリカンが好きですが、異種合成モンスターとしてマゼルンの方が圧倒的に採用されているのも納得です。別に不満はありません。まぁ見飽きたので、性能は同じでいいから名前と見た目を変えてほしい感じもありますけども。マムル系みたいに愛くるしい見た目でもないですしね。
 ちなみに、シレン6の紹介動画に出てきたマゼルンは、アイテムを食べた時に「マゼルンは状態異常になっていなかった」みたいな文章が出ていたので、アイテムを食べるたびに状態異常が治癒する特性が加わっているのかもしれません。鈍足の杖を振っておいて安全に合成する、みたいなのがやりづらくなっているのかもしれませんね。
 新作に期待しつつ、記事を終わります。
 それでは、また。

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