ポケポケにおけるメガシンカexの登場が発表されました。
このメガシンカex、ポケポケにおいては全く新しい未知数の存在ではあるのですが、紙のポケモンカードにおいては類似カードの前例があります。そのような情報や公開済みの情報を元に、ポケポケにおけるメガシンカexがどういう立ち位置を占めるか、予想してみたいと思います。
メガシンカexとは?
ゲームのポケモンにおける「メガシンカ」を反映させたカードです。
ゲームでは戦闘中限定で1回だけ使える特殊なパワーアップで、その対戦中だけステータスが大きく上昇し、タイプが変わったり特性が変わったりします。ゲームにおいては「メガストーン」というメガシンカをつかさどる石を持たせる必要があります。
一方、ポケポケにおいてはexを更に強くした大型exともいえる存在です。
exよりも更に高いパワーを持ち、HP200を超える超高耐久になる場合もありますが、その代わり倒されると3ポイント取られてしまいます。ポケポケは3ポイント先取なので、それまでの展開がどうあれ、メガシンカexポケモンを倒された時点でゲーム終了ということですね。
また、ゲームではギャラドスがメガギャラドスに進化しますが、ポケポケではコイキングからメガギャラドスに直接進化できます。つまり、余分に進化を重ねる必要はなく、そういう意味でも「3ポイント取られるようになったexの亜種」という解釈が可能かと思います。
なので、おそらくですがメガガルーラやメガクチートといった未進化ポケモンのメガシンカについては、ポケポケにおいてもたねポケモンとして登場すると思われます。
メガシンカexは強いのか?
強いと思います。
理由はいくつかありますが、まず「倒されると3ポイント取られる」というデメリットは、プレイングでカバーすることができます。
今のexポケモンでもそうですよね。1ポイント→2ポイントと取られてしまうとあっさり負けてしまいますが、1ポイント→1ポイントと取らせてからexポケモンを出せば相手に4ポイント分の労力を強いることができますし、2ポイント→2ポイントもしかりです。
もちろん、0ポイントの状態からいきなりメガシンカexポケモンを倒されて3ポイント取られて負け、というパターンもありえはしますが、逆に相手に5ポイント分の労力を強いることもできるわけですから、強く使える余地は大いにあります。
そもそも「倒されるといっぱいポイントを取られるから弱い」のなら、今のexポケモンも弱いという話になりますからね。
無論、メガシンカexポケモンも3ポイント献上するのに見合った性能かどうかはカードにより異なるでしょうけれど、少なくとも「3ポイント取られるから弱い」と断じることはできません。
なお、紙のポケモンカードでは倒されると3ポイント取られる「タッグチームGX」や「VMAX」が既に登場しています。(※1)
それらが弱かったかといえば、当然強かったです。タッグチームGXもVMAXも、環境の中軸を支配していました。たまにそんな環境の間隙を突いて勝つデッキもありましたが、環境に席巻していたのがこれらであったことについて疑う余地はないでしょう。
ただ、タッグチームGXもVMAXも、2ポイント取られる通常の大型ポケモンとは性能に大きな開きがありましたが、メガシンカexについては比較的控えめには見えます。たとえばズガドーンGXのHP180に対してレシラム&リザードンGXはHP270ありましたが、リザードンexのHP180に対してメガバシャーモexのHP210ですからね。環境がメガシンカex一色になるかというと微妙なところかとは思います。
また、「最後の1匹として出せばそれまでに何ポイント取られていようと同じこと」というのもそうですが、単純にメガシンカexポケモンをのっけから大暴れさせるというのもマッチアップ次第で強い戦い方だと思います。
MTGやデュエマのマナと違い、ポケポケのエネルギーは場に滞留するのではなくポケモンに付属します。なので、ポケモンが倒されるとそこに付いているエネルギーも失われ、継戦能力を奪われてしまいます。
そのため、速攻戦法によって相手の場からエネルギーを失わせることで一方的に叩き潰すことができます。もちろん、相手もそうされないよう立ち回るんですが、うまくいけば速攻でそのまま勝ちきれるというのは速攻デッキを使ったことのある方ならお分かりいただけるかと思います。
メガシンカexデッキの戦い方
当然ですが、ポケモンによって理想的な戦い方は異なります。
たとえばメガバシャーモexは炎2エネで120ダメージ+やけどという、高い攻撃性能を有しています。実質140ダメージ確定ですから、小型~中型のexポケモンまでなら一撃で倒してしまいます。
ただし、反動で自身のエネルギーを1個トラッシュしないといけないため、メガバシャーモexで殴り続ける限りベンチにエネルギーを付けることが難しいです。
ですから、序盤にメガバシャーモexを立て、ひたすら120ダメージ+やけどで殴り切る、というのが基本戦術になります。たしかに2エネで実質140ダメージは驚異的ですが、よりコストの重い3エネ4エネのワザと比較すると劣る部分も出てきますし、エネルギー破壊系のワザが弱点にもなりますから、相手がコストの重いワザを使えない序盤から殴り出してイニシアチブを握るのが1つの理想でしょう。
一方で、メガギャラドスはそこまでの速攻は期待しづらいです。
水にはタマンタ、マナフィ、カスミなどがいるとはいえ4エネワザはさすがに重く、2ターン目に使うのは困難と思うべきでしょう。
しかし4エネとはいえ140ダメージの破壊力があり、更に相手の山札を3枚トラッシュします。ポケポケはサーチもあまり強くありませんし、デモコン理論的にはあまり強くないともいえますが(※2)、山札を引き切ることもそこまで珍しくないゲームですから、山札トラッシュによるリソース切削が奏功するケースもあるでしょう。
ちなみにメガバシャーモexもやけど込みで140ダメージになりますが、特殊状態を無効化される状況だと120ダメージ止まりなので、たとえばアルセウスexを一発で倒せないという点で違いはあります。まぁ、やけどだと160ダメージや180ダメージに増えることもありますから、そこも違いではありますが……
なお、大型ポケモン1体で勝ちきりたいとなると、そこを倒されると終わってしまうというデメリットもありますが、逆に言うと大型ポケモン1体にリソースを傾注できることから、ゲームメイクをしやすい部分もあるかと思います。
ゲッコウガ絡みのデッキなんかは、2進化のゲッコウガを立てつつバトル場は他のポケモンに戦わせて……といった感じで場の完成に費やすリソースが多いですが、大型ポケモン1体で戦って勝ちが目指せるデッキなら場の完成が比較的容易なので、そのぶんの余力をトレーナーズによる干渉などに傾注できる可能性があります。シルバーで妨害するとか。
紙のポケカでいうならNo Waterや滋賀レック、カビゴンLOでしょうか。あれらのデッキはポケモンやエネルギーにデッキの枠をあまり割かなくていい分、トレーナーズをしこたま搭載して対応力を上げています。
ポケポケでも強力なたねのメガシンカexポケモンが登場するなら、ポケモンのスロットを大きく切り詰めたトレーナーズ主体の構築が実現できるかもしれません。
また、個人的に大きく貢献しそうだと思うのがベイビィポケモンです。
メガシンカexポケモンのデッキは、エースとなるメガシンカexポケモンをしっかり育成することが特に重要になります。そこで、ブビィやピチュー、タマンタといったエネルギー加速ができるベイビィポケモンというのは大いに役立ちます。
それに、メガシンカexポケモンはどうせ倒されたら負けになるため、それまでに1~2ポイント取られても大して問題になりません。通常のexポケモンのデッキだとベイビィポケモンを倒されて1ポイント取られるとその時点でexポケモンを1体倒されるだけで負けの状況になってしまいますが、最終的にメガシンカexポケモンで戦うならそれまでに1ポイント取られようと2ポイント取られようと誤差ですから、ベイビィポケモンを倒されてもほとんどデメリットになりません。
壁になってくれてありがとう、という感じですね。マーズの効きがよくなるというメリットすらあります。
お誂え向きにメガバシャーモexが炎タイプなのでブビィを使えますし、メガギャラドスもまたタマンタを使えます。
メガギャラドスの4エネという重いワザのコストを満たすために有用でしょうし、メガバシャーモexに至っては先攻1ターン目にブビィでエネルギー加速をすることで先攻2ターン目から120ダメージ+やけどを連発できるようになるという最高の相性です。
ベイビィポケモンの活躍は既に2025年8月時点でも雷軸や炎軸のアルセウスexデッキなどで見られていますが、メガシンカexポケモンの登場にあたってベイビィポケモンが更に版図を拡大する可能性も大いにあると思いますね。
まとめ
・メガシンカexポケモンという、倒されると3ポイント取られる大型exポケモンの登場が予告されているが、これらは強いと思われる。
・3ポイント取られるデメリットはプレイングでカバーしうるものであり、そこがデメリットにならないなら単純にexより強いポケモンになる。大型ポケモン1体で戦うというのはそこを倒されると脆いものの、逆に言えばリソースを一点に集中できるため、ゲームメイクがしやすい場合もある。
・3ポイント取られるデメリットは逆に言えば1~2ポイントが戦況に大きく影響しないということでもあるので、ポイントを取られやすい代わりに0エネで強めのワザを持つベイビィポケモンと相性がよく、既にアルセウスexなどと組んで活躍しているベイビィポケモンが更に躍進する可能性がある。
……という感じです。
メガシンカexのような「ハイリスクハイリターン」なカードは、構築やプレイングでリスクを抑制しリターンを増幅することで、大いにTier1となりうるポテンシャルがあるはずです。もちろん、実際にどのくらい活躍するかは個々のカードのパワー次第ではあるでしょうけれども。
ただ、紙のポケカにおけるタッグチームexやVMAXほど圧倒的に数値が大きいわけではないので、環境がメガシンカex一色とまではいかない可能性が高いと考えています。いったらいったでオドリドリでも使っていきたいところですけどね。
それでは、また。
※1……正確には「サイドを3枚取られる」であり、サイド6枚なのでポケポケとは色々異なりますが、倒された時に相手に3匹分のアドバンテージを与えてしまうという点では同じです。
※2……大まかにいうと「山札を引き切らない試合の場合、山札をトラッシュされてもその試合で引き切らなかった山札の底のカードを消されたのと同じようなものであり、山札トラッシュは対戦に大して影響を与えない」という理論。MTGのDemonic Consultationというカードが名前の由来。