ハースストーンの29.2.2パッチノートはご覧になりましたでしょうか。
「やはり私は正しかったのだ……」
レノをはじめとするハイランダー系カードについて、以下の変更が加えられました。
使用時の自分のデッキ(山札)に重複するカードがなければ発動
→対戦開始時の自分のデッキ(構築)に重複するカードがなければ発動
要するに、ハイランダーではないデッキがドローしまくって残りの山札がハイランダー状態になっている場合は発動せず、ちゃんと構築段階でハイランダーデッキを組んでいないと発動しないということです。
また、構築段階でハイランダーになっているデッキに対して、疫病など対戦中のカード混入によってハイランダーカードの雄叫びを不発にすることが出来なくなりました。
なお、これらの変更は2024/4現在、スタンダードで使用可能なすべてのハイランダーカードに適用されます。ワイルドは調整対象外ということですね。
・調整の理由について
少し話が飛びますが、複数のクラスで使えるカードというのはもっとも強く使えるクラスが使った時の性能を基準に調整せざるをえない部分があります。カザカサンもドルイド以外にとってはさほどでしたが、ドルイドが使って強すぎたのでナーフされましたよね。
ハイランダーカードもまた、そうです。ハイランダーデッキが使うよりも大量ドローする非ハイランダーデッキが使う方が強いなら、後者の強さに合わせて調整しないと環境が破壊されてしまいます。
ただ、後者の強さに合わせて調整すると、ハイランダーデッキが使った時にあまり強くなくなってしまい、結果としてハイランダーデッキを組む意味がなくなってしまう可能性があります。
それも1つの手段ではあります。レノロックをはじめ、ハースストーンの歴史には多くのハイランダーデッキがありましたが、「もう飽きたでしょう?これからは大量ドローの時代ですよ」という流れもありえるでしょう。
しかし、今回の仕様変更がなされたということは、開発側としてはハイランダーデッキの存在を優先したと考えるのが自然です。
Players should be able to play the game in a way they want, but if it’s a way that is widely despised they should be penalized for doing so. Meaning that deck probably shouldn’t be the most powerful one in the game, or the most played.
— August Dean Ayala (@RiotIksar) July 22, 2021
実際、ハースストーンのリードデザイナーだったアヤラ氏も、XでのQ&Aでチケッタスや精神与奪者イルシアについて似たような趣旨の回答(不快に思われやすいカードはパワーや使用率が抑制されるべき)をしています。ここではカード単体の話をしていますが、いわんやデッキをや、でしょう。
また、その根拠の1つとして、大量ドローによるハイランダーカードの活用という裏道を潰しながらも、疫病など相手のデッキへのトークン混入によるハイランダーカード発動の妨害という対抗策をも潰している、いうのがあります。
つまり、大量ドローによる後天的ハイランダーを禁止しつつ、ハイランダー構築によるハイランダーカードの活用についてはむしろ強化しているわけです。「ハイランダーデッキをちゃんと使ってね」という意図を感じますよね。
まぁ、大量ドローするデッキ自体をナーフする(除去やドローを弱くしてテンポロスを増やし、ビートダウンに弱くする)という手もあるんですが、この手の裏道は今後も問題になりえますから、転ばぬ先の杖、ということでしょうね。
わたしが以前書いた記事では、大量ドローによるハイランダーカードの活用をやめさせるための手段として、3つの提案(という名の妄想)をしていました。
すなわち、
「案1:構築および使用時点のリストの両方がハイランダーでないと発動しないようにする」
「案2:ハイランダー構築にしかハイランダーカードを積めなくする」
「案3:案1+2」
です。
案1がやや近いですが、今回の変更はいずれにも該当しません。というのも、わたしはハイランダーカードへの対抗策、つまりデッキへの不純物混入によるハイランダーカード不発については残す方向で考えていたからです。
ハイランダーデッキは構築を大きく制限されるデメリットと引き換えに強力なハイランダーカードを使えるわけですが、上振れしたハイランダーデッキの対戦相手からすれば「なんでも持ってるじゃん!インチキ!」となってしまいますから、有用性はともかく対抗策としては残すのではないか、と思ったのです。
ただ、まぁ……裏道を無くしてハイランダーデッキ基準のパワーにしたとしても、疫病デスナイトがいる限りハイランダーデッキは左前かも、と思われたのかもしれません。
ハイランダー対策カード、わたしは好きでした。
ただ、疫病デスナイトはやりすぎかなと感じていました。統計サイトを見れば分かりますが、疫病デスナイトの対ハイランダーデッキの勝率、70%近いですからね。
ハイランダーデッキは構築段階での制約のもと、ハイランダーカードを強く使えるというメリットを享受します。
クライヤミ、土蜘蛛みたいな対策カードはいいんです。引かれなければかわせますし、トークンを埋められてもドローを進めれば解除できる可能性もあります。対策する側も、あえて対策カードに枠を割く必要があります。
しかし、疫病デスナイトはデッキ単位でカウンターになっているため、ほぼ確実にハイランダーカードを不発にできますし、ヘルヤを出されると解除不可能(スチームクリーナーはいますが、埋め直されると終わり)、構築段階からハイランダーカードは好きに使わせてもらえない公算大の辛いマッチアップです。
もちろん、ハイランダー側もハイランダーカードを使わずにビートダウンする手はありますが、ハイランダーデッキってハイランダーカードを強く使えるから組んでるわけですし、出したらほぼ勝てるカードならともかく、そうでもないハイランダーカードが疫病デスナイト相手だと高確率で使えないのはストレスだなと思っていました。
そういうわけで、疫病デスナイトに妨害されなくなったのは朗報でしたが、相手のデッキへの不純物混入がハイランダー対策にならなくなったのは駆け引きの減少に繋がるので、どうかな……とも思いました。
まぁ、今回の修正については間違いなくわたしは収支プラスと感じていて、嬉しい気持ちの方が圧倒的に上なのですが、代償は少しあったかな、という感じです。
まとめです。
・大量ドロー自体をナーフする手もあるけど、そうしたとして今後もドローが強くなると類似の問題が発生しうるし、そこまでして嫌われ者の後天的ハイランダーを保護する価値を開発側が見出だしていないのでそうしなかったのだと思う。
・デッキへの異物混入によるハイランダーカードの不発を無くしたのは、疫病デスナイトがハイランダーに対して刺さりすぎていてハイランダー構築を左前にしうる一因だからだと思うけど、クライヤミや土蜘蛛でハイランダーカードを封じられるのは面白かったので、それもできなくなるのはちょっと淋しい。
……という感じです。
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